最終更新日: 2025.03.03
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ファーストリテイリングは、原材料の調達、生産、販売、お客様の商品の使用までのライフサイクルすべての過程において、地域の水環境の課題解決をめざし、水の汚染防止と低減、使用量の削減などに努めます。
水資源の管理方針
水は、ファーストリテイリングの服づくりにとって大切な資源です。服の原料となるコットンは、栽培の過程で大量の水を消費します。染色などの生産工程においても、多くの水が使用されます。ファーストリテイリングは、原材料の調達、生産、販売、商品の使用までのライフサイクルすべての過程において、地域の水環境の課題を特定し、その解決に取り組みます。具体的には、地域の課題に即した水の汚染防止と低減、使用量の削減を行うことで、地域の水環境を健全な状態にする「ウォーター・アクション」を実行していきます。また、一企業では対応しきれない課題解決に貢献するため、水資源に対しての取り組みを行っている企業・団体・NPOとパートナーシップを結んでいます。
リスクアセスメント
水のリスクアセスメント
世界資源研究所(World Resources Institute)が開発した水リスク評価ツールAqueductを用いて、バリューチェーン全体を通じたリスクアセスメントを定期的に行っています。2021年8月期は、ファーストリテイリングの主要な店舗・オフィスおよび生産委託先の縫製・素材工場につい評価を行い、高リスク地域に立地する施設を特定しました。洪水に関して高リスク地域に立地する店舗・オフィスにおいては、過去の被害状況や既存の対応策に関する追加的な調査を実施し、全社的なリスクマネジメントの観点で実施している対策によりリスクが低減されていることを確認しました。また、サプライチェーンに関しては、水の使用量や排水の多い工程もあり、利用可能な水資源に関するリスクや洪水リスクについて丁寧にアセスメントを実施しています。さらに、リスク評価を行った工場に対して、工場周辺地域の実態や水価格の変動などに関するアンケート調査を実施し、実際に水リスクを抱えている工場を特定しました。
2022年に、アンケート結果に基づき、NGOや政府など現地のステークホルダーと協働し、ベトナムの塩害リスクを抱える工場周辺の学校に水処理システムを寄贈する取り組みを始めました。また、ベトナムの出店地域でも同様の活動を実施し、2024年8月末時点で累計21校に水処理システムを寄贈しています。ファーストリテイリングは、このような取り組みを通して、塩害リスクにさらされている地域のコミュニティを支援し、可能な限り効果的に必要な人々に水を届けています。また、原材料の生産地と、地域の水リスクについても、把握を進めていきます。
関連リンク
目標
ファーストリテイリングは、地域の課題に即した水の汚染防止と低減、使用量の削減を行うことで、地域の水環境を健全な状態にする「ウォーター・アクション」を実行していきます。
自社
・店舗やオフィスの水リスクアセスメントと環境マネジメント
店舗やオフィスの水リスクアセスメントを定期的に実施し、洪水リスクなどに対し未然防止とリスクの低減に努めるとともに、地域のリスクに応じた課題の特定と解決に向けた取り組みを推進します。
サプライチェーン
・取水量の削減
水供給リスクが高い地域や水使用量の多い工場を中心に、工場などで使用される取水量を把握し、協働して水使用量の削減に向けた取り組みを推進します。2020年の取水量の上位80%を占める縫製・素材工場について、取引先ごとに目標を設定し、2025年12月末までに、各工場の単位当たり*取水量の10%削減(2020年比)をめざします。
*単位当たりとは、生産量一単位当たりを指します。生産量は、kg、m、製品点数(pcs)などで把握されます。
・水使用量が少ない技術の導入
工場との協働により、水使用量が少ない技術の導入をめざします。例えば、ジーンズの「洗い」(仕上げ加工工程)や「ダメージ加工」などの加工工程において、ナノバブル洗浄やオゾン洗浄の採用などにより、水の使用量を大幅に削減する技術「ブルーサイクル」を開発し、2020年12月までに、グループ傘下の全ブランドで生産・販売するジーンズにこの技術を導入しました。
・適切な排水処理の実施
主要な縫製工場および素材工場に対して、有害化学物質排出ゼロ(ZDHC: Zero Discharge of Hazardous Chemicals)グループの排水ガイドラインに基づく排水検査の実施およびZDHCの情報プラットフォーム「ZDHC Gateway」への検査結果のアップロード・公開を義務付けています。検査の結果、有害化学物質が検出された場合は、工場に根本原因の分析および分析結果に基づく改善計画書の提出を義務付けています。工場から提出された改善計画書に基づき、必要に応じて、ファーストリテイリングの従業員が工場施設を訪問し、技術的なサポートと現場でのコーチングを行います。2030年12月末までに、排水基準の遵守による汚染ゼロをめざします。
・原材料の利用における水使用量の削減
商品の企画および原材料の選定において、より少ない水で生産することのできる原材料の使用を促進し、水使用量の削減に貢献します。具体的には、2025年12月末までにサステナブルなコットンの調達比率を、ファーストリテイリンググループのすべてのブランドで、100%にすることをめざしています。サステナブルなコットンの定義には、水の利用などの課題が改善されている地域から調達されるコットンも含まれています。
サステナブルコットンの詳細は関連リンクをご覧ください。
関連リンク
お客様
・商品の使用における水使用量の削減
衣類の洗濯に使用される水の量を削減するための方法を研究するとともに、水使用量やエネルギー使用が少なく環境負荷が低い方法によるお手入れ方法を提案するなど、お客様へのコミュニケーションに努めます。
関連リンク
自社における取り組み
店舗やオフィスの水リスクアセスメント
店舗やオフィスの水リスクアセスメントを定期的に実施し、洪水リスクなどに対し未然防止とリスクの低減に努めるとともに、地域のリスクに応じた課題設定と取り組みを推進しています。例えば、洪水のリスクが高いと判断された施設に関しては、ハザードマップの活用や止水板と土嚢の整備など未然防止やリスク低減の施策を策定し、順次実行しています。また、店舗では節水を含む環境負荷低減の取り組みを推進しています。
サプライチェーンにおける取り組み
生産パートナー
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・取水量の削減
ファーストリテイリングの取水量の上位80%を占める縫製・素材工場について、各工場とともに削減計画を策定し、2025年12月末までに、各工場の単位当たり*取水量10%削減(2020年比)をめざしています。2023年12月末時点で、対象工場のうち51%の工場が目標を達成しています。対象工場とは目標に対する進捗を定期的に確認しており、2024年から第三者の専門家も交えたアセスメントを実施し、さらなる改善に繋がるアクションプランを提供しています。また、取水量の削減に向けたトレーニングの実施を行い、生産パートナーの優れた取り組みの共有を行っています。*単位当たりとは、生産量一単位当たりを指します。生産量は、kg、m、製品点数(pcs)などで把握されます。
関連リンク
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工場むけの取水量の削減に向けたトレーニングの様子
・適切な排水処理の実施
ファーストリテイリングは、有害化学物質の排出をゼロすることに2013年にコミットし、このコミットメントに従い、取り組みを行っています。主要な素材工場および縫製工場に対して、有害化学物質排出ゼロ(ZDHC: Zero Discharge of Hazardous Chemicals)グループの排水ガイドラインに基づく排水検査の実施を義務付けています。2024年12月末時点では、主要な縫製・素材工場における排水基準の遵守率は99.7%となっています。なお、検査の結果、有害化学物質が検出された場合は、工場に根本原因の分析および分析結果に基づく改善計画書の提出を義務付けています。詳細は関連リンクをご覧ください。
関連リンク
水関連データ
自社
対象範囲 | 小項目 | 単位 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 |
---|---|---|---|---|---|---|
本社:山口本社と六本木本部と有明本部 | 消費量(取水量) | m3 | 51,806 | 48,545 | 50,396 | 51,748 |
サプライチェーン
目標 | 2020年の取水量の上位80%を占める縫製・素材工場について、取引先ごとに目標を設定し、2025年12月末までに、各工場の単位当たり*1取水量の10%削減(2020年比)をめざす | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
2023年実績 | 対象の工場のうち、51%の工場が上記目標を達成 | |||||
対象範囲 | 小項目 | 単位 | 2020年1月-12月 | 2021年1月-12月 | 2022年1月-12月 | 2023年1月-12月 |
ユニクロ・ ジーユー 縫製工場*3,4 |
取水量*2 | m3 | 10,859,566 | 10,015,880 | 11,377,616 | 11,460,375 |
排水量*2 | 9,009,059 | 8,060,037 | 9,476,521 | 9,580,994 | ||
消費量*2 | 1,794,611 | 1,955,843 | 1,901,095 | 1,879,381 | ||
ユニクロ・ ジーユー 素材工場*3,4,5 |
取水量*2 | 30,336,061 | 35,283,409 | 36,747,927 | 33,187,387 | |
排水量*2 | 25,280,679 | 28,755,387 | 31,459,308 | 28,427,189 | ||
消費量*2 | 5,055,382 | 6,528,022 | 5,288,619 | 4,760,198 |
- 単位当たりとは、生産量一単位当たりを指します。生産量は工場ごとに、kg、m、製品点数(pcs)などで把握されます
- 取水量、排水量、消費量の定義は以下のとおりです
取水量:報告期間中にあらゆる用途のためにすべての水源から事業の境界内に引き込まれたすべての水の合計
排水量:報告期間中に組織の境界を離れ、地表水、地下水、海水または第三者に放出された排水、使用済み水、その他の水のうち、組織がそれ以上使用しないものの総量
消費量:報告期間中に事業(または施設)の境界内に引き込まれ、水環境または第三者に排出されなかった水量。水消費量は取水量から排水量を差し引いた量。 - アパレル業界標準の工場環境影響評価ツールであるHigg Facility Environmental Module (Higg FEM)を導入している工場については工場が報告した数値(一部は報告前に第3者検証を実施)を利用し、その他の工場については生産量に基づき推計を行い、全体の数値を算定しています。
- これまでは使用量(=取水量)のみを開示していましたが、より実態を適切に示すため、2020年以降の数値を取水量、排水量、消費量に分けて開示しています。なお、2020年から2022年の数値についても対象範囲の拡大や算定の精緻化を行い、遡及修正を行っています。
- ジーユーの対象範囲は、2021年までは一部の工場のみを集計し、2022年から全工場へ拡大推計しています。