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水資源の管理

最終更新日: 2024.02.16
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ファーストリテイリングは、原材料の調達、生産、販売、お客様の商品の使用までのライフサイクルすべての過程において、地域の水環境の課題解決をめざし、水の汚染防止と低減、使用量の削減などに努めます。

水資源の管理方針

水は、ファーストリテイリングの服づくりにとって大切な資源です。服の原料となるコットンは、栽培の過程で大量の水を消費します。染色などの生産工程においても、多くの水が使用されます。ファーストリテイリングは、原材料の調達、生産、販売、商品の使用までのライフサイクルすべての過程において、地域の水環境の課題を特定し、その解決に取り組みます。具体的には、地域の課題に即した水の汚染防止と低減、使用量の削減を行うことで、地域の水環境を健全な状態にする「ウォーター・アクション」を実行していきます。また、一企業では対応しきれない課題解決に貢献するため、水資源に対しての取り組みを行っている企業・団体・NPOとパートナーシップを結んでいます。

リスクアセスメント

水のリスクアセスメント

世界資源研究所(World Resources Institute)が開発した水リスク評価ツールAqueductを用いて、バリューチェーン全体を通じたリスクアセスメントを定期的に行っています。2021年8月期は、ファーストリテイリングの主要な店舗・オフィスおよび生産委託先の縫製・素材工場について評価を行い、高リスク地域に立地する施設を特定しました。高リスク地域に立地する店舗・オフィスにおいては、洪水などによる過去の被害状況や既存の対応策に関する追加的な調査を実施し、全社的なリスクマネジメントの観点で実施している対策によりリスクが低減されていることを確認しました。サプライチェーンに関しては特に影響が大きいため、Aqueductでリスク評価を行った工場に対して、さらに、工場周辺地域の実態や水価格の変動などに関するアンケート調査を実施し、実際に水リスクを抱えている工場を特定しました。2022年には、アンケート結果に基づき、NGOや政府など現地のステークホルダーと協働し、ベトナムの塩害リスクを抱える工場周辺の学校に水処理システムを寄贈する取り組みを始めました。2023年8月期時点で、14校に水処理システムを寄贈しています。ファーストリテイリングは、このような取り組みを通して、塩害リスクにさらされている地域のコミュニティを支援し、可能な限り効果的に必要な人々に水を届けています。また、原材料の生産地と、地域の水リスクについても、把握を進めていきます。

関連リンク

目標

ファーストリテイリングは、地域の課題に即した水の汚染防止と低減、使用量の削減を行うことで、地域の水環境を健全な状態にする「ウォーター・アクション」を実行していきます。

自社

・店舗やオフィスの水リスクアセスメントと環境マネジメント
店舗やオフィスの水リスクアセスメントを定期的に実施し、洪水リスクなどに対し未然防止とリスクの低減に努めるとともに、地域のリスクに応じた課題の特定と解決に向けた取り組みを推進します。

サプライチェーン

・水使用量の削減
水供給リスクが高い地域や水使用量の多い工場を中心に、工場などで使用される水の使用量を把握し、協働して水使用量の削減に向けた取り組みを推進します。水消費量の上位80%を占める縫製・素材工場については、取引先ごとに目標を設定し、2025年12月末までに、各工場の単位当たり水使用量の10%削減(2020年比)をめざします。

・水使用量が少ない技術の導入
工場との協働により、水使用量が少ない技術の導入をめざします。例えば、ジーンズの「洗い」(仕上げ加工工程)や「ダメージ加工」などの加工工程において、ナノバブル洗浄やオゾン洗浄の採用などにより、水の使用量を大幅に削減する技術「ブルーサイクル」を開発し、2020年12月までに、グループ傘下の全ブランドで生産・販売するジーンズにこの技術を導入しました。

・適切な排水処理の実施
主要な縫製工場および素材工場に対して、有害化学物質排出ゼロ(ZDHC: Zero Discharge of Hazardous Chemicals)グループの排水ガイドラインに基づく排水検査の実施およびZDHCの情報プラットフォーム「ZDHC Gateway」への検査結果のアップロード・公開を義務付けています。検査の結果、有害化学物質が検出された場合は、工場に根本原因の分析および分析結果に基づく改善計画書の提出を義務付けています。工場から提出された改善計画書に基づき、必要に応じて、ファーストリテイリングの従業員が工場施設を訪問し、技術的なサポートと現場でのコーチングを行います。2030年12月末までに、排水基準の遵守による汚染ゼロをめざします。 

・原材料の利用における水使用量の削減
商品の企画および原材料の選定において、より少ない水で生産することのできる原材料の使用を促進し、水使用量の削減に貢献します。具体的には、2025年12月末までにサステナブルなコットン※1の調達比率を、ファーストリテイリンググループのすべてのブランドで、100%にすることをめざしています。サステナブルなコットンの定義には、水の利用などの課題が改善されている地域から調達されるコットンも含まれています。
また、2030年8月期までに全使用素材の約50%をリサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材に切り替えることをめざしています。

※当社は、栽培過程での水・農薬・化学肥料の使用量削減、土壌保全・生態系保全への配慮、農家における労働環境への配慮がなされているコットンを、サステナブルなコットンと定義しています。具体的には、ベター・コットン*1、米国産およびオーストラリア産のコットン、リサイクル・コットン*2、オーガニック・コットン*3、フェアトレード認証コットンを、サステナブルなコットンとしています。
*1 下記「ベター・コットン・イニシアティブ」参照
*2 リサイクル原料を使用する製品の認証プログラムであるGRS(Global Recycled Standard)または、RCS(Recycled Claim Standard)による認証を取得したもの
*3 オーガニック原料を使用する繊維製品の認証基準であるGOTS(Global Organic Textile Standard)またはOCS(Organic Content Standard)による認証を取得したもの

お客様

・商品の使用における水使用量の削減
衣類の洗濯に使用される水の量を削減するための方法を研究するとともに、水使用量やエネルギー使用が少なく環境負荷が低い方法によるお手入れ方法を提案するなど、お客様へのコミュニケーションに努めます。

自社における取り組み

店舗やオフィスの水リスクアセスメントと環境マネジメント

店舗やオフィスの水リスクアセスメントを定期的に実施し、洪水リスクなどに対し未然防止とリスクの低減に努めるとともに、地域のリスクに応じた課題設定と取り組みを推進しています。例えば、洪水のリスクが高いと判断された施設に関しては、ハザードマップの活用や止水板と土嚢の整備など未然防止やリスク低減の施策を策定し、順次実行しています。また、店舗では、建物と敷地利用における国際的な環境性能評価システムLEED®(Leadership in Energy & Environmental Design)の認証取得などを通じて、節水を含む環境負荷低減の取り組みを推進しています。

サプライチェーンにおける取り組み

生産パートナー

・水使用量の削減
ファーストリテイリングはサプライチェーンにおける環境負荷の低減に取り組むため、主要縫製工場および素材工場を対象とし、アパレル業界の統一指標(Higgインデックスなど)を用いて、環境負荷を把握し、削減に努めています。2021年には、ファーストリテイリングの水消費量の上位80%を占める縫製・素材工場について、取引先ごとに目標を設定し、2025年12月末までに、各工場の単位当たり*水使用量10%削減(2020年比)をめざしています。2022年12月末時点では、対象工場のうち49%の工場が、単位当たり水使用量10%以上の削減(2020年比)を達成しています。

*単位当たりとは、生産量一単位当たりを指します。生産量は、kg、m、製品点数(pcs)などで把握されます。

関連リンク

・ジーンズの加工工程(仕上げ加工時)で最大99%の水使用量を削減
「洗い」や「ダメージ加工」などのジーンズの加工工程において、ナノバブル洗浄やオゾン洗浄の採用などにより、仕上げ加工時の水使用量を最大99%*削減できる技術「ブルーサイクル」を開発しました。ファーストリテイリングのすべてのブランドで、ジーンズ加工工程における水使用量の削減を進めています。
*ユニクロの2017年メンズレギュラーフィットジーンズ(68 BLUE)と2018年同型商品を比較した場合。商品により水使用量の削減率は異なります。

関連リンク

・適切な排水処理の実施
詳細は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

原材料の利用における水使用量の削減

・サステナブルなコットンの選定による水使用量の削減
ファーストリテイリングは2025年12月末までに、サステナブルなコットンの調達比率100%をめざしています。当社は、栽培過程での水・農薬・化学肥料の使用量削減、土壌保全・生態系保全への配慮、農家における労働環境への配慮がなされているコットンを、サステナブルなコットンと定義しています。具体的には、ベター・コットン*1、米国産およびオーストラリア産のコットン、リサイクル・コットン*2、オーガニック・コットン*3、フェアトレード認証コットンを、サステナブルなコットンとしています。

*1 下記「ベター・コットン・イニシアティブ」参照
*2 リサイクル原料を使用する製品の認証プログラムであるGRS(Global Recycled Standard)または、RCS(Recycled Claim Standard)による認証を取得したもの
*3 オーガニック原料を使用する繊維製品の認証基準であるGOTS(Global Organic Textile Standard)またはOCS(Organic Content Standard)による認証を取得したもの

・ベター・コットン・イニシアティブ
2018年1月にファーストリテイリングは、サステナブルなコットンの生産をめざすNGO「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」に加盟しました。BCIは、綿花を生産する農家に水の適正な使用や殺虫剤などの農薬の使用方法や労働者の権利の尊重などについて指導することで、より良いコットンの栽培方法を普及させる取り組みを行っています。BCIの基準を満たした綿農家はベター・コットン生産者として認定されます。

関連リンク

水使用量

自社

項目 対象範囲 単位 2019年8月期 2020年8月期 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期
本社
水使用量
山口本社
六本木本部
有明本部
(倉庫含む)
m3 53,633 55,637 51,806 48,545 50,396

サプライチェーン*1

項目 対象範囲 単位 2020年1月-12月 2021年1月-12月 2022年1月-12月
縫製工場
水使用量
ユニクロ・
ジーユー
m3 10,859,566 10,922,548 10,080,537
素材工場
水使用量
ユニクロ・
ジーユー*2
30,063,449 29,293,514 32,534,716

*1 アパレル業界標準の工場環境影響評価ツールであるHigg Facility Environmental Module (Higg FEM)に各工場が報告した数値に基づき、一部推計し算出しています
*2 2021年まではユニクロ素材工場のみ、2022年からはユニクロ・ジーユー素材工場

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