HOME > サステナビリティ > 環境への配慮 >化学物質管理

化学物質管理

最終更新日: 2024.12.27
to English page

ファーストリテイリングは、水や大気の汚染防止と低減および化学物質の管理を徹底し、お客様と工場従業員の安心・安全を守り、環境を保護します。

化学物質管理方針

化学物質は、染色その他の加工工程、仕上げ工程など、服の生産において重要な役割を担っています。ファーストリテイリングは、商品の生産プロセスにおいて、水や大気の汚染防止と低減に努めるほか、化学物質の管理を徹底し、環境を保護します。全ての取引先工場の協力のもと、商品や生産プロセスにおける有害化学物質の排出ゼロをめざし、お客様と工場従業員の安心・安全を守ります。また、化学物質管理に関する取り組みを行う団体とパートナーシップを結び、一企業では解決が難しい業界全体の課題に取り組んでいきます。

目標

ファーストリテイリングは、商品や生産プロセスにおける有害化学物質の排出をゼロにする取り組みを行っています。これまで、有害物質の廃絶に向けた取り組み、アルキルフェノールエトキシレート(APEOs)の廃絶、有機フッ素化合物(PFAS、パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の廃絶、主要な素材工場および縫製工場における排水検査の実施と結果の開示を行ってきました。2023年12月末時点では、主要な縫製・素材工場における排水基準の遵守率は99.7%となっています。2030年12月末までに、排水基準の遵守による汚染ゼロ(排水基準遵守率100%達成)をめざします。

今後も、サステナブルな化学物質管理の実現に向けて、継続的に安心・安全な商品の開発を推進します。また、工場で使用される化学物質の透明性および安全性を高めるとともに、工場と協働し、化学物質の取り扱い管理におけるベストプラクティスを展開していきます。

取り組み

ファーストリテイリングは、有害化学物質の排出をゼロすることに2013年にコミットし、このコミットメントに従い、取り組みを行ってきました。具体的には、生産パートナー向けに化学物質管理ガイドラインおよび制限物質リストを作成し公開しています。また、主要な素材工場および取引先の縫製工場では排水検査を年に2回実施しています。検査は認定試験機関によって実施されます。検査の結果、有害化学物質が検出された場合は、工場に根本原因の分析および分析結果に基づく改善計画書の提出を義務付けています。工場から提出された改善計画書に基づき、必要に応じて、ファーストリテイリングの従業員が工場施設を訪問し、技術的なサポートと現場でのコーチングを行います。素材工場では、有害化学物質の代替物質の採用と、化学物質管理の強化を推進しています。さらに、業界全体の課題解決に貢献するため、有害化学物質排出ゼロ(ZDHC: Zero Discharge of Hazardous Chemicals)グループにも加盟しています。ZDHCグループは、消費者と労働者の保護および環境保全の促進のため、テキスタイル、レザー、フットウェアのバリューチェーンにおける有害化学物質の排出ゼロに向けて取り組む業界団体です。ZDHCが提供する製造時制限物質リストや情報プラットフォーム「ZDHC Gateway」を活用することで、業界統一の基準でパフォーマンスを測定し、より効果的に改善を進めることが可能となります。

業界全体の課題解決に貢献

ファーストリテイリングは、業界全体の課題解決に貢献するため、有害化学物質排出ゼロ(ZDHC: Zero Discharge of Hazardous Chemicals)グループや国際的な制限物質リスト管理団体であるAFIRMグループに加盟しています。ZDHCグループは、消費者と労働者の保護および環境保全の促進のため、テキスタイル、レザー、フットウェアのバリューチェーンにおける有害化学物質の排出ゼロに向けて取り組む業界団体です。ZDHCが提供する製造時制限物質リストや情報プラットフォーム「ZDHC Gateway」を活用することで、業界統一の基準でパフォーマンスを測定し、より効果的に改善を進めることが可能となります。AFIRMグループは、アパレル・フットウェア製品に使用される制限物質の管理レベルを向上させるため、関連法規制の監視のほか、ガイダンスツールや研修サービスの提供などを行っています。同団体への参画を通して、有害化学物質に関するリスク管理とコンプライアンスの強化に努めています。

関連リンク

化学物質管理ガイドラインの作成と公開

適切な化学物質の選択および工場での安全な使用、排水の適切な処理といった、生産パートナーに求めることや期待することを示したガイドラインを作成し、運用しています。

制限物質リストの作成と公開

より包括的な化学物質管理を実施するため、商品と生産プロセスにおける制限物質リストを設けています。制限物質リストは毎年更新し、工場に基準の遵守を要求しています。有害化学物質の混入は未然に防止すべきとの考え方(未然防止アプローチと予防原則)に基づき、法令や業界基準だけでなく、当局、NGO、文献から得られた情報も参考にし、専門家と協議したうえで、対象物質を特定しています。

排水については、ZDHCグループの排水ガイドラインにおける基準を採用しています。

関連リンク

商品企画

ファーストリテイリングでは、 R&D(デザイナー・パタンナー)、マーチャンダイジング、生産部が一体となり、商品を企画しています。商品の企画段階で、MRSL およびPRSLに基づき、有害化学物質を使用しない原材料の選択と商品デザインが行われます。製品に対する有害化学物質試験を実施し、万が一、有害化学物質が検出された場合は、原因究明を行い、再発防止に努めています。MRSLおよびPRSLへの遵守を誓約いただける工場とのみ契約し、基準見直しの都度、誓約をいただいています。

排水検査の実施と情報公開

主要な素材工場および縫製工場に対して、ZDHCグループの排水ガイドラインに基づく排水検査の実施およびZDHCの情報プラットフォーム「ZDHC Gateway」への検査結果のアップロード・公開を義務付けています。検査の結果、有害化学物質が検出された場合は、工場に根本原因の分析および分析結果に基づく改善計画書の提出を義務付けています。2030年12月末までに、排水基準の遵守による汚染ゼロ(排水基準遵守率100%達成)をめざし、取り組みを進めています。

工場の化学物質管理のアセスメントを実施

主要な縫製工場と素材工場に対して、アパレル業界の環境負荷低減を推進するNPO Cascale(旧サステナブル・アパレル連合(SAC))が開発した、業界標準の工場環境影響評価ツールHigg Facility Environmental Module(Higg FEM)を導入しています。化学物質管理はHigg FEMの主要テーマの一つです。Higg FEMの導入により、工場の化学物質管理状況を評価し、工場とともに改善に取り組んでいます。

関連リンク

特定物質の廃絶に向けた取り組み

・アルキルフェノールエトキシレート(APEOs)
APEOsは、界面活性剤として使われる化学物質の一種であり、工業用の洗浄剤として広く使われていますが、内分泌かく乱性が指摘されています。ファーストリテイリングでは、2012年からAPEOsを含む製剤の使用を廃絶しました。

・有機フッ素化合物(PFAS)
PFASは、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称で、PFCsと呼ばれることもあります。雨や汚れから衣服を守るために、アパレル・アウトドアウェア業界で広く使用されている耐久撥水加工剤ですが、自然界や体内で分解されにくく、一度生成されると蓄積されやすい特性があります。ファーストリテイリングは、生産段階におけるすべてのPFAS使用を廃絶することを目標とし、これまで取引先とともに、より安全なPFASの代替物質・代替技術の開発を進めてきました。その結果、2017年秋冬シーズンからは全商品でPFASの使用を廃絶しました。

関連リンク

マイクロプラスチック(石油系繊維屑)に関する取り組み

プラスチックごみによる環境汚染の懸念が世界的に増大する中、マイクロプラスチック(石油系繊維屑)の環境への影響について、世界中でさまざまな研究機関や団体が実態解明に向けて取り組んでいます。近年、化学繊維を洗うことでも排水中に微細な繊維くずが流出し、それがマイクロプラスチックとして海洋などの自然界に残留することが明らかになっています。 ファーストリテイリングは、この繊維状のマイクロプラスチックによる環境への影響を重要課題として認識し、影響の最小化に向けて取り組んでいます。マイクロプラスチックは、素材生産工程と家庭などにおける完成製品の洗濯時に抜け落ち、排水とともに環境に流出することが懸念されています。ファーストリテイリングは、これらの影響の正確な把握を優先事項とし、自社製品を対象に洗濯時のマイクロプラスチック流出量の測定と結果の分析、また、対策の検討を進めています。素材生産工程においても、戦略的パートナーと連携し、影響の検証と対策を進めています。具体的には、検証を実施した自社の定番製品について、検証結果に基づき、サプライヤーとのコミュニケーションなどを通じて改善のための取り組みを実施しています。 また、ユニクロのウェブサイトでは、お客様向けにマイクロファイバーの抜け落ちや排出の防止に繋がる洋服のお手入れ方法などをご紹介しています。

一方、ファーストリテイリングは、マイクロプラスチックの問題は自社だけでは根本的な対応が困難な課題であるという認識のもと、業界横断もしくは業界を超えた取り組みにも積極的に参画しています。例えば、マイクロプラスチックを含むマイクロファイバーに特化したアパレル業界横断の枠組みであるマイクロファイバーコンソーシアムに加盟し、繊維製品のライフサイクル全体で環境へのマイクロファイバーの流出を最小限に抑えるための研究と連携の取り組みに継続的に参画しています。
2021年9月、マイクロファイバーコンソーシアムは、マイクロファイバーによる環境影響の最小化に向けたコミットメントを発表しました。具体的には、2030年までに、加盟企業を250社まで増やすこと、研究・試験結果のデータベースと評価システムが業界全体で採用されていること、また、マイクロファイバー放出量の基準値を策定し、それを加盟企業の80%が採用し、環境への放出を管理できている状態をめざしています。ファーストリテイリングは、コミットメント発表後の3年間、定められた素材試験を毎年実施し、データを提供しました。提供されたデータは、データベースに蓄積され、コミットメント達成のためのツールとリソースの開発に役立てられています。また、自社のサプライチェーンでマイクロファイバーの低減措置を実施するとともに、業界全体にベストプラクティスを展開することにより、コミットメントの達成に貢献しています。
今後も、商品のライフサイクル全体を通じてマイクロプラスチックの環境への放出を最小限に抑えるため、業界全体での協働と取り組みの改善を続けていきます。

関連リンク

ページトップへ