最終更新日: 2024.09.02
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人権デューディリジェンスやステークホルダーエンゲージメントを通じて提起された様々な人権侵害のリスクについて、地域やグローバルの専門家とともに、未然防止策を実施しています。
責任ある調達
サプライチェーンにおいて責任ある調達を実施するための方針とガイドラインを策定し、生産パートナーとのより良い関係の構築に努めています。
責任ある調達方針
ファーストリテイリングの各ブランドは、取引先の工場に商品の生産を委託する、発注者の立場にあります。発注者側が、適切な手順で取引(責任ある調達)を行うことによって、受注者側である工場の経営の安定化や成長、より良い労働環境の実現につながると認識しています。適切な取引を行うための指針として、「責任ある調達方針」を策定しています。この方針を着実に実行し、説明責任を果たすことが、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーからの信頼を得るために重要であると考えています。また、取り組みの見直しと改善にあたり、公正労働協会(FLA)や、国際労働機関(ILO)と国際金融公社(IFC)の共同活動プログラムである、ベター・ワークの助言を受けています。
責任ある調達方針では、生産部などの調達関連部門が業務を行う上で配慮すべき事項について定めています。例えば、発注においては、工場の生産設備や生産能力に基づく発注計画を立案することや、事前に合意した数量、納期で発注し、工場の同意なしに数量や納期の変更をしないことを求めています。また、価格や、支払い時期の交渉などにおいて、優越的地位の濫用があってはなりません。価格の交渉においては、法定最低賃金を含む労働コスト、原材料コストの上昇といった要素も考慮に入れます。さらに、工場との取引関係を終了する際には、工場の経営・雇用状況などを踏まえた適切な終了時期を設定し、工場に適切なタイミングで伝えるとともに、取引終了まで工場の状況をモニタリングし、人権侵害などの問題が発生していないことを確認します。
教育活動とモニタリング
責任ある調達方針にもとづき、生産部などの調達関連部門の従業員に対して、定期的にトレーニングを実施しています。2022年度には、ファーストリテイリンググループ各ブランドのマーチャンダイジング、商品計画、R&D、生産などの担当メンバーのべ454人に対してトレーニングを行いました。また、方針の遵守状況に関して、取引先へのアンケートとヒアリングを定期的に行い、改善に努めています。
より良いパートナーシップ構築のための生産部門による取り組み
ファーストリテイリングは、商品がつくられる背景も含めて、「本当に良い服」をお客様にご提供するため、長年にわたり、少数の取引先と長期的なパートナーシップを構築してきました。また、工場が計画的な生産を行えるよう、発注計画を事前に共有し、生産キャパシティを確保しています。
パートナーシップを強化するため、主要工場を中心にさまざまな施策を行っており、こうした取り組みは、「責任ある調達方針」を推進する基盤となっています。例えば主力ブランドのユニクロでは、下記の取り組みを行っており、効果が高いものについては、ユニクロ以外のブランドへの展開も進めています。
- 定期的なトップミーティングおよび工場カンファレンスを毎年開催することにより、事業展開や商品生産に関する方針を、取引先に適時に共有しています。
- 生産事務所がある上海、ホーチミン、ダッカ、ジャカルタ、ベンガルールに、品質や生産進捗管理を担う生産部の従業員が常駐しています。工場担当者および繊維産業で経験を積んだ技術者(匠)が、毎週、担当の縫製・素材工場を訪問して、直接自分の目で工場の現場を把握し、正しい生産プロセスへの改善指導などを実施しています。こうした取り組みにより、適正な生産能力を現場で把握し適正な発注につなげ、課題の迅速な発見と対応が可能になります。
- 工場との発注計画の共有を毎週行っています。
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企業取引倫理委員会による取引審議
ファーストリテイリングと工場の取引において重要な問題が発生した場合(例えば、不良品の発生、納期遅延など)、その問題を企業取引倫理委員会に上程し、責任割合や取引見直しなどを審議します。企業取引倫理委員会の委員は、社外監査役などが務めています。
主要取引先向けの年次アンケート
公正な取引を推進することを目的に、主要取引先向けに年1回のアンケートを実施しています。アンケートでは、労働環境や人権が守られた発注が行われているかなどについて確認します。主要な縫製工場と素材工場に対しては、2022年8月期から、ベターバイイングによる匿名でのアンケートに変更しました。ベターバイイングは、アパレル産業のサプライヤーが中心となって発足した、発注者側の責任ある調達推進に取り組むグローバルNPOです。アンケート内容で改善が必要と判断された場合は、サステナビリティ部が取引先とファーストリテイリング側の双方にヒアリングを実施し、問題がある場合は企業取引倫理委員会に上程します。
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児童労働の防止
児童労働は、子どもたちの健全な成長を阻害するとともに、教育の機会を奪うことにもなる深刻な社会課題です。ファーストリテイリングは、「子どもの権利とビジネス原則」などに基づき、児童労働の撤廃と防止に取り組んでいます。
サプライチェーンにおいては、児童労働防止のための施策を講じるよう生産パートナーに求めています。「生産パートナー コードオブコンダクト」に児童労働の禁止を明記し、労働環境モニタリングでは、工場が従業員を採用するときに、信頼できる身分証明書を用いて年齢をチェックしているかなどを確認しています。
ファーストリテイリングは、著しく人権を侵害する問題に対して、ゼロトレランス方針を採用しています。児童労働もゼロトレランス項目に該当する問題と位置付けられており、監査等で検出された場合は、工場との取引見直しの可否を判断するため、企業取引倫理委員会に上程されます。同時に、工場と解決策を検討し、改善が完了するまで状況を確認します。企業取引倫理委員会では、当該工場の経営・雇用状況も踏まえた審議が行われ、取引の見直しを生産部門に勧告します。その後のフォローアップ監査で問題の是正が確認されなかった場合は、取引停止となります。ファーストリテイリングは、児童労働が発生しないよう、工場とともに未然防止に努めています。
責任ある雇用
ファーストリテイリングは、人身取引を含む強制労働を絶対に許容しない方針を明確にしています。とりわけサプライチェーンにおいて、国や地域を越境して働く移住労働者は差別的な処遇を受けやすい立場にあります。「すべての移住労働者及びその家族の権利の保護に関する国際条約」を尊重し、こうした立場にある移住労働者が雇用時や雇用中に不当に扱われていないか確認するとともに、雇用側の縫製工場や素材工場に対するトレーニングなどの取り組みを強化しています。また、生産パートナーリストにおいて、各取引先工場で雇用する移住労働者の割合を開示しています。
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責任ある雇用方針
ファーストリテイリングは2019年2月、公正労働協会(FLA)とアメリカン・アパレル・フットウエア協会(AAFA)が2018年10月に策定した「責任ある雇用」に関する業界コミットメントへの支持を表明しました。これは、グローバルなサプライチェーンにおける移住労働者に対する強制労働のリスクを低減するための業界をあげたコミットメントです。
FLAとAAFAは2023年3月、このコミットメントを更新し、労働者が支払った雇用手数料や関連費用の払い戻しなど、労働者保護のための要件を強化しました。ファーストリテイリングは改めて支持を表明し、全世界の縫製工場、素材工場と協力して、以下の状況が実現されるよう取り組んでいます。
- 労働者が雇用手数料などを負担しないこと
- 労働者が就職または雇用維持のために雇用手数料および関連費用を支払った場合、遅滞なく払い戻しを受けること
- 労働者が身分証、パスポート、その他の書類を自己所有し、移動の自由が確保されていること
- 労働者が出身国から出発する前に、当該労働者が理解できる言語で、基本的な労働条件が通知されていること
「責任ある雇用」のコミットメント実行に向けて、2019年9月、ファーストリテイリングは、国際移住機関(IOM)と、外国人移住労働者の採用および雇用の条件をより良く理解し課題に対処していくための新しい連携プロジェクトを開始しました。IOMは、移住労働に関わる課題解決の第一人者として、各種の取り組みを行っている国連機関です。このプロジェクトの目的は、ファーストリテイリングのサプライチェーンの管理向上と、外国人移住労働者の人権と労働権の保護に関する取り組みを強化することです。外国人移住労働者を採用している日本、マレーシア、タイの縫製工場と素材工場の雇用慣行に関する調査を行い、その結果をもとに、外国人移住労働者を守るための原則と具体的な対応策を工場の方針やガイドラインに盛り込みました。
責任ある雇用に関する基準およびガイドライン
ファーストリテイリングは2020年、IOM、FLA、ASSC*の支援のもと、「ファーストリテイリング 生産パートナー 移住労働者の責任ある雇用に関する基準とガイドライン」(以下、「責任ある雇用に関する基準およびガイドライン」)と、工場における遵守状況を確認するための評価手法を策定しました。その後、FLAおよびAAFAの「責任ある雇用」に関するコミットメントが更新され、より厳格な原則が導入されたことを受け、ファーストリテイリングは2023年9月に「生産パートナー コードオブコンダクト」および「責任ある雇用に関する基準およびガイドライン」を更新し、外国人移住労働者の権利を保護する方針をより明確にしました。
*ASSC:移住労働者の強制労働のリスク低減などに取り組む一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン
2020年3月以降、日本、マレーシア、タイの縫製工場と主要素材工場に対し、「責任ある雇用に関する基準およびガイドライン」の周知と理解促進のための説明会やトレーニングを継続的に行っています。工場のマネジメントシステムも強化されており、同ガイドラインに則った運用の徹底、関連法令についての社内トレーニングなどを主体的に実施しています。
実施トレーニングの例:
- 2022年8月、ファーストリテイリングは、IOMの協力を得て、日本の生産パートナー向けに「責任ある雇用に関する基準およびガイドライン」の導入方法についてのトレーニングを実施しました。このトレーニングにより、採用プロセスにおける外国人移住労働者の人権侵害リスクの特定方法や、採用担当者の慣行に問題がないかを評価する方法について、工場経営者の理解が進みました。
- 2022年8月から9月にかけて、IOMは、送り出し国であるスリランカとネパールの人材斡旋会社に対し、責任ある雇用の基礎トレーニングを実施しました。トレーニングを通じて、対象となった人材斡旋会社が、「責任ある雇用に関する基準およびガイドライン」を理解し、遵守していることを確認しました。
また、外国人移住労働者の送り出し国の人材斡旋会社への働きかけも行っています。
外国人移住労働者を雇用する工場の労働環境監査
2022年1月からは、「責任ある雇用に関する基準およびガイドライン」に則って、外国人移住労働者に特化した労働環境監査を開始しました。当該監査は縫製工場および主要素材工場を対象に実施しています。
外国人移住労働者の採用プロセス・労働環境に関するアセスメントに先立ち、生産パートナーから情報を収集し、労働者の構成や、送り出し国および受け入れ国での採用プロセスの管理方法について理解し、現地アセスメントにおける優先課題を絞り込みます。工場に対する監査は、年に1回実施しています。現地アセスメントには、現場視察、採用、賃金・福利厚生、苦情処理などに関する方針、給与明細、雇用契約書などの書類レビュー、経営者や労働者へのインタビューが含まれます。生産パートナーが労働者に住居を提供している場合は、住居も評価対象となります。人権侵害リスクの高い状況が確認された場合、またはアセスメントの過程で生産パートナーが誠実な対応を欠いたと疑われる場合(虚偽の記録、二重帳簿、労働者の回答を誘導するなど)、安全な場所で労働者と個別に話をするためのオフサイト・インタビューや、抜き打ち訪問によるフォローアップなどを追加で実施します。
監査において、外国人移住労働者が雇用手数料やその他採用にかかわる費用を支払った場合に払い戻しがされていないなどのゼロトレランス項目が見つかった場合、もしくは前年の監査で見つかった重大項目に改善が見られなかった場合は、企業取引倫理委員会に上程されます。委員会では、当該工場の経営・雇用状況も踏まえた審議が行われ、取引の停止や見直しを生産部門に勧告します。同時に、工場と問題の解決策を検討し、フォローアップ監査で改善状況を確認します。問題の是正が確認されなかった場合は、取引停止となります。ゼロトレランス項目や重大項目以外の問題が見つかった場合も、工場は期限付きの改善計画書をファーストリテイリングと合意し、改善活動を実行することが求められます。改善状況は翌年の監査で確認されます。
これまで、縫製工場および主要素材工場において、外国人移住労働者による雇用手数料(渡航費用やパスポート更新費用など)の負担、外国人移住労働者が契約書の雇用条件を渡航前にきちんと理解していないといった、基本原則に反する問題が数件見つかっています。これらの問題については、工場と改善計画を合意し、改善完了に至るまで進捗を確認しています。
IOMと生産パートナーと連携したこうした取り組みを通じ、2024年5月末までに、約9,800名の移住労働者が総額約4.5百万ドル(約7億円)の雇用手数料などの払い戻しを受けたことを確認しました。
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抑圧とハラスメント
抑圧とハラスメントは、労働環境や労働者の精神的・肉体的な健康状態に悪影響を及ぼします。健康的な労働環境の実現のために、労働者が抑圧とハラスメントを受けることなく働ける環境を作ることは極めて重要です。ファーストリテイリングはいかなる形の抑圧・ハラスメントも容認しません。「生産パートナー コードオブコンダクト」にも、従業員の尊厳を守ることが明記されています。
バングラデシュの工場における苦情処理委員会
ファーストリテイリングのホットラインでこれまでに受け付けた相談内容と、カントリーリスクを分析したところ、特にバングラデシュの工場におけるハラスメントの防止と改善が重要事項であることが判明しました。対策の一つとして、2019年より、現地NGOのアワジ財団(Awaj Foundation)、チェンジ・アソシエーツ社(Change Associates Ltd.)と協働し、工場に苦情処理委員会を設置するプロジェクトを進めています。苦情処理委員会は、5人以上から構成され、委員長および委員の過半数を女性とし、委員のうち2名は工場外から招へいする必要があります。隔月で開催され、ハラスメント防止に関する方針やガイドラインを策定し、ハラスメントの調査や調停の役割を担います。
2022年8月期は、新たに取引を開始した8工場の経営者、労働者、苦情処理委員会の委員に対し、ファーストリテイリングによるトレーニングを実施しており、2023年8月期も4つの新規工場を対象に同様の取り組みを行っています。2021年8月期にトレーニングを実施した29工場では、1工場につき2人育成したトレーナーに対し、課題解決に焦点を当てたトレーニングを実施しました。トレーナーは、工場の管理職および全従業員に対して、ジェンダー平等や苦情処理委員会に関するトレーニングを行いました。
2022年8月末までに、バングラデシュの全ての縫製工場が、ハラスメント禁止方針とガイドライン、苦情処理委員会の運営手続きを策定したうえで、苦情処理委員会を設置しました。2023年8月期は、計19件の苦情が、苦情処理委員会の調査と調停を経て解決されました。また、ファーストリテイリングは、従業員のハラスメントに対する意識向上を目的とした工場内アナウンスを作成しました。音声が流されているかを工場訪問時に確認しています。このアナウンスは、ハラスメントの定義をシンプルかつ、わかりやすい言葉で伝え、従業員が相談案件を誰に報告すべきか、どのような対応が期待できるかを説明しています。さらに、ファーストリテイリングは、苦情処理委員会が適切に機能しているかについても評価を行っています。これは、工場内の方針や規程、トレーニングや苦情処理プロセスといったマネジメントシステムについて、整備状況や運用実態を評価するものです。
工場で働く女性の人権の尊重とキャリア形成支援
労働環境モニタリング
ファーストリテイリングは、工場における差別やハラスメントの有無や、女性の人権尊重に関わる作業環境の整備状況を労働環境モニタリングの中で確認しています。問題があった場合は、工場とともに改善に取り組んでいます。具体的な確認項目の例としては、下記があげられます。
- 工場の規定は、抑圧とハラスメントおよび差別に関する現地の法令や、ファーストリテイリングの「生産パートナー コードオブコンダクト」を遵守しているか。
- セクシャルハラスメントがないことを確認できたか。
- 社内の懲戒規則とその運営は、公平かつ適切で、法定の要件を満たしているか。また、懲戒の対象には、肉体的・精神的なハラスメント、セクシャルハラスメントが含まれており、管理層にも適用されるか。
- 採用、昇進、補償、福利厚生、解雇および退職において、差別にあたる事象がないことが確認できたか。また、入社前または入社後に、妊娠検査の受診など、差別にあたることを義務付けていないか。
- 従業員は、差別が禁止されていることについて、教育を受けているか。また、差別について苦情を申し立てる手段があるか。
- 工場は、組合結成の自由に関する法定の権利行使の阻害にあたる行為を行っていないことが確認できたか。
- 工場の各階で、飲み水が十分提供されているか。
- 工場は、騒音、換気、気温、照明、清潔さ、整理整頓の点で、適切な作業環境を備えているか。
また、工場従業員がファーストリテイリングに直接申し出ることのできるホットラインを通じて、課題を把握し、バングラデシュでの苦情処理委員会の設立支援など、具体的な改善策につなげています。
工場で働く女性の人権の尊重とキャリア形成支援
ファーストリテイリングは、2019年より、主要生産拠点であるアジアの取引先縫製工場で働く女性を対象としたキャリア形成支援プログラムとして「女性エンパワーメントプログラム」の開発と展開に取り組んでいます。2019年にUN Womenと2年間のパートナーシップ合意を締結し、バングラデシュの女性労働者の支援を開始しました。適切な支援を行うために、まず、現地のCSO(civil society organization、市民社会組織)、工場経営者との対話や、取引先工場でのパイロットプロジェクトを通し、女性労働者や工場が直面する課題を特定しました。具体的には、女性従業員の課題として、出産や育児、通勤に関する支援が不足しているため、管理職への昇進に対して関心を持ちにくいこと、工場経営の課題としては、工場の諸制度に、女性従業員のキャリア形成への配慮が盛り込まれていないことなどが含まれます。
その後、特定された課題に基づき、取引先工場でトレーニングを実施してきました。選抜された男女従業員に対してジェンダー平等に対する意識の向上や、労働者の権利と責任などに関する基礎トレーニングの実施、さらに将来的に管理職になる意欲を持つ女性従業員に対しては、リーダーシップや技術の習得のための上級トレーニングを実施しました。また、実施されたトレーニングを工場が継続して実行できるよう、社内トレーナーの育成も同時に行いました。
2021年から本格的に当プログラムを運用し、同年6月から、女性の働き方に関する調査や、女性活躍に関するトレーニングで多くの実績があるバングラデシュのコンサルティング会社との協働により他の工場でも同様の取り組みを展開し、対象者へのトレーニングを実施しています。この取り組みをさらに推進するために、バングラデシュにおける主要取引先縫製工場8工場とともに、2025年末までに以下を達成することを目指します。
- 1,500人の女性従業員が管理職になるためのトレーニングを受講
- 対象工場における女性管理職比率が平均30%以上に上昇
-
すべての女性従業員が、以下のサービスやサポートを受けやすい環境が整備されている
- 託児所や託児サービス
- 身体的・精神的健康を増進するためのサポート
- 安全な通勤手段
2024年3月末時点で、959人の女性従業員がトレーニングを受講し、対象工場における女性管理職比率は平均で16%となっています。2023年からは、トレーニングを拡大し、工場で働くより多くの女性が参加できるようにすることに加え、女性が職場で活躍し、安心して働ける環境を整備することをプログラムの新たな焦点としています。具体的な取り組みとしては、保育施設やサービスの導入支援、女性の身体的・精神的ウェルビーイングのための課題と機会の把握、女性従業員の通勤に伴うリスクへの対応が含まれます。
生活賃金を含む賃金、福利厚生
サプライチェーンで働く人々のより豊かで安定した暮らしの実現に向けて、ファーストリテイリングは最低賃金の保障だけではなく、生活賃金の実現を目指しています。賃金、福利厚生および労働時間に関する監査指摘事項に対して、目標を掲げ、改善に取り組んでいます。サステナビリティ部は、工場と密にコミュニケーションを取りながら改善状況を確認するとともに、労働時間が削減されることによって工場従業員の収入が損なわれないよう、賃金と福利厚生を維持する施策について他社の好事例の共有などを行っています。
ファーストリテイリングは、「生産パートナー コードオブコンダクト」の中で、賃金は、衣食住などの基本的なニーズを満たしたうえで、相応の社会生活が営める水準であるべきとしています。
ファーストリテイリングが2015年に加盟した公正労働協会(FLA)は、公正な生活賃金の実現にコミットしています。FLAは、グローバル生活賃金連合の「アンカー計算法」に基づき、さまざまな団体の手法を用いて工場の賃金データの収集とベンチマーキングを行うことにより、各地域の工場従業員ニーズの理解を進めています。ファーストリテイリングは、FLAと協働し、工場の賃金支払い状況を分析したうえで、生活賃金と実際の賃金に差があった場合の対応方法を模索していきます。
生活賃金の実現に向けたファーストリテイリングの目標や取り組みについての詳細は、下記リンク先をご参照ください。