最終更新日: 2023.09.15
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サプライチェーンにおいて責任ある調達を実施するための方針とガイドラインを策定し、生産パートナーとのより良い関係の構築に努めています。
責任ある調達方針
ファーストリテイリングの各ブランドは、取引先の工場に商品の生産を委託する、発注者の立場にあります。発注者側が、適切な手順で取引(責任ある調達)を行うことによって、受注者側である工場の経営の安定化や成長、より良い労働環境の実現につながると認識しています。適切な取引を行うための指針として、「責任ある調達方針」を策定しています。この方針を着実に実行し、説明責任を果たすことが、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーからの信頼を得るために重要であると考えています。また、取り組みの見直しと改善にあたり、公正労働協会(FLA)や、国際労働機関(ILO)と国際金融公社(IFC)の共同活動プログラムである、ベター・ワークの助言を受けています。
責任ある調達方針では、生産部などの調達関連部門が業務を行う上で配慮すべき事項について定めています。例えば、発注においては、工場の生産設備や生産能力に基づく発注計画を立案することや、事前に合意した数量、納期で発注し、工場の同意なしに数量や納期の変更をしないことを求めています。また、価格や、支払い時期の交渉などにおいて、優越的地位の濫用があってはなりません。価格の交渉においては、法定最低賃金を含む労働コスト、原材料コストの上昇といった要素も考慮に入れます。さらに、工場との取引関係を終了する際には、工場の経営・雇用状況などを踏まえた適切な終了時期を設定し、工場に適切なタイミングで伝えるとともに、取引終了まで工場の状況をモニタリングし、人権侵害などの問題が発生していないことを確認します。
教育活動とモニタリング
責任ある調達方針にもとづき、生産部などの調達関連部門の従業員に対して、定期的にトレーニングを実施しています。2022年度は、ファーストリテイリンググループ各ブランドのマーチャンダイジング、商品計画、R&D、生産などの担当メンバーのべ454人に対してトレーニングを行いました。また、方針の遵守状況に関して、取引先へのアンケートとヒアリングを定期的に行い、改善に努めています(下記「企業取引倫理委員会」を参照)。
責任ある調達の推進
より良いパートナーシップ構築のための生産部門による取り組み
ファーストリテイリングは、商品がつくられる背景も含めて、「本当に良い服」をお客様にご提供するため、長年にわたり、取引先とのパートナーシップを構築してきました。その結果、少数の取引先と長期的な関係を結ぶことに成功しています。また、工場が計画的な生産を行えるよう、発注計画を事前に共有し、生産キャパシティを確保しています。
パートナーシップを強化するため、主要工場を中心にさまざまな施策を行っており、こうした取り組みは、「責任ある調達方針」を推進する基盤となっています。例えば主力ブランドのユニクロでは、下記の取り組みを行っており、効果が高いものについては、ユニクロ以外のブランドへの展開も進めています。
- 定期的なトップミーティングおよび工場カンファレンスを毎年開催することにより、事業展開や商品生産に関する方針を、取引先に適時に共有しています。
- 生産事務所がある上海、ホーチミン、ダッカ、ジャカルタ、ベンガルールに、品質や生産進捗管理を担う生産部の従業員が常駐しています。工場担当者および繊維産業で経験を積んだ技術者(匠)が、毎週、担当の縫製・素材工場を訪問して、直接自分の目で工場の現場を把握し、正しい生産プロセスへの改善指導などを実施しています。こうした取り組みにより、適正な生産能力を現場で把握し適正な発注につなげたり、課題の迅速な発見と対応が可能になります。
- 工場との発注計画の共有を毎週行っています。
関連リンク
企業取引倫理委員会
企業取引倫理委員会が取引を審議
ファーストリテイリングと工場の取引において重要な問題が発生した場合(例えば、不良品の発生、納期遅延など)、その問題を企業取引倫理委員会に上程し、責任割合や取引見直しなどを審議します。企業取引倫理委員会の委員は、社外監査役などが務めています。
主要取引先向けに年1回のアンケートを実施
公正な取引を推進することを目的に、主要取引先向けに年1回のアンケートを実施しています。アンケートでは、労働環境や人権が守られた発注が行われているかなどについて確認します。主要な縫製工場と素材工場に対しては、2022年度から、ベターバイイングによる匿名でのアンケートに変更しています。ベターバイイングは、アパレル産業のサプライヤーが中心となって発足した、発注者側の責任ある調達推進に取り組むグローバルNPOです。アンケート内容で改善が必要と判断された場合は、サステナビリティ部が取引先とファーストリテイリング側の双方にヒアリングを実施し、問題がある場合は企業取引倫理委員会に上程します。