HOME > サステナビリティ > サプライチェーンの人権・労働環境の尊重 > 取引先工場のモニタリングと評価

取引先工場のモニタリングと評価

最終更新日: 2020.03.23
to English page

サプライチェーンにおける人権の尊重や労働関連法令の遵守、労働環境の改善を最優先課題のひとつと考え、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」に基づき、労働環境モニタリングに積極的に取り組んでいます。

労働環境モニタリング

取引先工場の労働環境モニタリング

ファーストリテイリングは、すべての縫製工場と主要素材工場を対象に、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」に基づき、人権侵害、労働環境、環境保全などの項目について第三者機関による監査を実施し、その評価結果を開示しています。第三者機関が定期的に抜き打ち監査を行い、改善が必要な工場については、ファーストリテイリングの従業員が直接訪問し、取引先工場とともに改善活動に取り組みます。また、新規に取引を開始する工場に対しては、事前監査を実施することで、適正な工場のスクリーニングを行うとともに、早期に労働環境の改善に着手できるようにしています。

2015年からは、国際労働機関(ILO)と国際金融公社(IFC)の共同活動プログラム「ベターワーク」による監査も実施しています。アパレル業界で広く導入されているベターワークの監査により、工場は監査の重複を減らすことができ、労働環境の改善により注力することができます。

2015年、ファーストリテイリングは公正労働協会(FLA)に加盟しました。FLAの労働環境基準の導入のほか、ファーストリテイリングの労働環境モニタリングプログラムの改善、およびFLA加盟企業や工場、市民団体などのステークホルダーとの対話について、FLAからの支援を受けています。

2019年2月、ファーストリテイリングの労働環境モニタリングプログラムは、FLAに認定されました。これは、当社のサプライチェーンにおいて、FLAの基準を満たすための仕組みや手続きが展開されていることを意味します。

関連リンク

労働環境モニタリングの仕組み

労働環境モニタリングの仕組み

労働環境監査を定期的に実施し、取引先工場をA~Eのグレードで評価しています。労働環境監査は、決められた手続きに沿って、工場従業員、労働組合、従業員代表、経営者層などへのインタビュー、労働協約や諸記録のレビュー、現場視察による労働安全衛生状況などのチェックにより行われます。「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」を遵守し、指摘事項が全くない取引先工場はA評価となります。比較的リスクの低い違反事項が認められた工場はB評価となります。人権を侵害する恐れや、現地の法令に違反する労働安全衛生上の違反(例えば、工場従業員にマスクや手袋などの作業用保護具が適切に支給されていないなど)が認められた場合はC評価となります。人権侵害や安全衛生、賃金や福利厚生上の重大な違反(例えば、非常口の施錠や賃金計算の不備など)が認められた場合はD評価となります。C・D評価となる違反事項が、フォローアップ監査でも解決されていない場合は、取引量の削減や取引停止につながる可能性があります。児童労働や強制労働などの深刻な人権侵害や、安全衛生上の極めて重大な違反が認められた場合はE評価となります。C・D評価となる違反事項が解決されていない場合、およびE評価の場合、企業取引倫理委員会に上程されます。企業取引倫理委員会では、当該工場の経営・雇用状況も踏まえた審議が行われ、取引の停止や見直しを生産部門に勧告します。

取引先工場の評価およびファーストリテイリング従業員の工場訪問により、透明性の欠如(虚偽報告など)、労使間の争議、人権侵害などの懸念がある工場を「リスクの高い工場」として特定しています。リスクの高い工場に対しては、第三者機関による監査や、ファーストリテイリング従業員による工場訪問の頻度を通常より増やすことで、本質的な問題の把握と解決に取り組んでいます。また、工場の労働環境における潜在的なリスクを把握し対応するためには、労働組合や労働者代表と適切なコミュニケーションを取ることが重要だと考えています。例えば、労働組合が工場においてどのような役割を果たしているかを理解するため、労働環境監査では、労働組合や労働者代表にもインタビューを行い、監査当日に工場と監査員が行うオープニングおよびクロージングミーティングにも出席を依頼しています。労働組合の活動の侵害にあたる重大な事態が発生した場合は、予防・改善措置が確実に行われたかを確認します。

ファーストリテイリングのモニタリングプログラムマニュアルと取引先工場向けガイドブックには、改善措置の実行プロセス、監査後の改善タイムライン、根本原因の分析方法などが規定されています。ファーストリテイリングは、各工場で問題を未然に防止するための具体策が確実に策定され、実行されるよう、工場に対して、公正労働協会(FLA)の原因分析ガイダンスをはじめとするさまざまな資料提供や支援を行っています。

さらに、国やブランドごとに、監査の合格・不合格数や違反傾向を分析しています。こうした傾向分析とあわせて、バングラデシュ、カンボジア、中国、インドネシア、ミャンマー、ベトナムといった国ごとの課題を整理し、改善策を策定しています。各国の課題の優先順位は、ステークホルダーエンゲージメントやビジネス戦略との整合を図りながら設定しています。

外注先工場の労働環境モニタリング

ファーストリテイリングは、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」において、ファーストリテイリングの事前承認を得ていない工場への生産委託を禁止しています。主要な縫製工場には、生産工程の一部を委託する外注先工場に対しても監査を実施し、ファーストリテイリングから承認を得るよう義務づけています。外注先工場は取引先工場と同様の監査を毎年受け、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」の重大な違反が認められた場合は3ヶ月以内に是正し、再監査を受けて合格する必要があります。
ファーストリテイリングは、主要取引先工場の定例監査において、承認を受けた外注先工場のみを使用しているかを確認しています。

労働環境モニタリング結果

労働環境モニタリング結果(取引先工場の評価)

労働環境モニタリングの結果は、2018年度と比較して、C評価工場の割合が微増、D評価工場の割合が微減となっています。C評価については、中国政府が防火安全や労働者の健康に対する管理を強化したことに伴い、一部の工場の監査で防火関連や社会保険関連の指摘が増えたことなどが微増につながりました。また、改善状況の確認強化や改善施策の説明会実施により、中国など一部の国ではD評価工場が減少しましたが、ベトナムなど一部の国において賃金に関する法改正への対応不備があり、D評価工場が増加したため、結果としてD評価工場の割合は微減にとどまりました。E評価となった1工場については、工場の経営および雇用への影響を考慮したうえで、取引の見直しを行っています。

労働環境モニタリング結果

評価内容
A評価指摘事項が全くない
B評価比較的リスクの低い違反事項が認められた
C評価人権を侵害する恐れや、現地の法令に違反する労働安全衛生上の違反(例えば、工場従業員にマスクや手袋などの作業用保護具が適切に支給されていないなど)が認められた
D評価人権侵害や安全衛生、賃金や福利厚生上の重大な違反(例えば、非常口の施錠や賃金計算の不備など)が認められた
E評価児童労働や強制労働などの深刻な人権侵害や、安全衛生上の極めて重大な違反が認められた

2019年度の監査における違反項目

2019年度に実施された監査において、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」の項目のうち、「健康と安全性」と「労働時間」に関する違反が多く検出されています。 ファーストリテイリングは、これらの違反の防止と改善のための取り組みを強化していきます。

2019年度の監査における違反項目の内訳

2019年度の監査における違反項目の内訳

健康と安全性
取引先工場へのトレーニングを定期的に実施し、現地法令やファーストリテイリングの労働安全衛生基準、ベストプラクティスなどを説明しています。サステナビリティ部が取引先工場を訪問する際は、防火設備の設置状況を確認し、問題があった場合は早急な改善を求めています。 また、ファーストリテイリングは、縫製工場におけるビルの崩壊や火災事故を防止するためのイニシアティブ「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(通称:アコード)」に加盟しています。

関連リンク

労働時間
ファーストリテイリングは、サプライチェーンの透明性向上に力を入れており、取引先工場による虚偽報告を禁止しています。取引先工場の労働時間を監査で確認するだけでなく、生産部とサステナビリティ部が協働して、取引先工場の過度な労働時間の撲滅に向けて取り組んでいます。生産部は、過度な労働時間が発生する根本原因を取引先工場とともに特定し、改善計画を策定します。その上で、毎月、取引先工場の全従業員の週単位の労働時間実績を収集し、改善進捗を確認しています。
取引先工場は労働時間を削減するために、生産計画立案方法の見直しを行うとともに、生産ラインの自動化、従業員のスキルアップトレーニングの実施、生産性と連動した報酬制度の採用などによる生産効率の向上に取り組んでいます。さらに、取引先工場には、長時間労働が発生する見込みがある場合は、事前に生産部に連絡するよう依頼しており、生産部は可能な限り生産計画の調整などを行い対応します。サステナビリティ部も改善計画の進捗を確認し、必要に応じて取引先工場を訪問して、労働時間の実績を確認しています。さらに、社内で定期的に進捗確認会議を実施し、取引先工場の改善状況を共有しています。
これまでの取り組みを通じて、多くの取引先工場で長時間労働の改善がみられました。今後も、取引先工場の労働時間の適正化に取り組んでいきます。

新規工場の事前モニタリング

新規工場との取引開始プロセスで事前監査を導入

すべての取引先工場に「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」を遵守してもらうために、新規に取引を開始する工場に対しては、取引開始前の監査を行っています。新規取引基準を満たすことが確認された場合のみ、取引を開始します。事前監査で重大な指摘が検出された工場には、3ヶ月以内の是正期間が与えられ、フォローアップ監査で評価の改善が見られた場合のみ取引を開始します。極めて深刻な指摘が検出された工場は、取引を開始することができません。2019年度は、事前監査を実施した取引先工場の86.6%と取引を開始しました。

新規工場の承認プロセス

新規工場の承認プロセス

工場ホットライン

取引先縫製工場および素材工場におけるホットライン

ファーストリテイリングは、取引先工場に対し、従業員の苦情に対応するための仕組みの導入と公正労働協会(FLA)の基準などを踏まえた適正な運営を求めており、労働環境監査で確認しています。ファーストリテイリングの取引先工場向けガイドブックでは、苦情処理システムの要件として以下を定めています。

  • 機密保持を前提とし、匿名で通報できる窓口を少なくとも1つ設けていること。
  • 地域の法令に従って適切に苦情を処理するための手続きや報復禁止の方針が書面化されていること。
  • 受け付けた苦情が適切に処理されているか、トラッキングする仕組みがあること。
  • 現場監督者や管理職を含むすべての工場従業員を対象として、苦情処理システムに関するトレーニングを実施すること。新入社員に対するオリエンテーションと年次の更新トレーニングの両方を行うこと。

これらの要件の遵守状況については、労働環境監査で確認しています。

工場の苦情処理システムが機能しているかを確認するため、監査プロセスを継続的に改善しています。例えば、2018年には、工場がどのように苦情の解決状況をトラッキングしているか、ペナルティや報復行為が行われていないか、などの確認を強化する項目を監査のチェックリストに追加しました。

また、主要な縫製工場および素材工場の従業員や従業員代表が、現地語でファーストリテイリングに直接相談できるホットライン「ワーカー相談プログラム」を、上海、ホーチミン、ダッカ、ジャカルタ、東京などに設置しています。
取引先工場には、工場内の目につきやすい場所にホットラインの案内ポスターを掲示すること、従業員に対して問い合わせ方法を説明すること、通報した従業員に不利益を与えたり、報復行為を行わないことを要請しています。ホットラインの連絡先は現地語で案内されており、また、第三者機関による監査やサステナビリティ部の工場訪問でインタビューを受けた従業員には、連絡先を記載したカードを渡しています。

相談が寄せられた場合、ファーストリテイリングはまず内容をレビューし、調査や解決の進め方を手続きに従い決定します。そして調査を行い、問題点を把握したうえで是正措置を検討します。相談内容は機密情報として扱われます。ファーストリテイリングの従業員は、機密情報の漏洩禁止と適切な情報管理を定める「ファーストリテイリンググループ コードオブコンダクト」の遵守を誓約しています。また、相談内容は人権委員会に報告されます。特に深刻な案件が発生した場合、人権委員会は対策案への助言や改善案の提言を行います。
調査の結果、問題があった場合は、ILO中核的労働基準、現地労働法、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」などをもとに、サステナビリティ部と生産部が中心となって、改善策や対応策を取引先工場に要請し、工場の人権問題や労働環境の改善につなげています。

ホットラインの運用にあたっては、通報者のプライバシーを保護するとともに、報復行為を禁止し、不利益な取り扱いは一切認めていません。また、通報者などの関係者と適切にコミュニケーションをとり、迅速かつ一貫性のある対応をしています。ホットラインが適切に運営されているかの確認を厳密に行っており、例えば、サステナビリティ部の責任者は、相談者の通報後に担当者が迅速に折り返し連絡を行ったか、相談者が納得できる期間内に対応を完了させたか、などを管理しています。

工場ホットライン運用プロセス

工場ホットライン運用プロセス

人権侵害に関する相談

2019年度にホットラインに寄せられた相談のうち、ILO中核的労働基準、現地労働法、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」の違反にあたるものは63件ありました。そのうち53件が、賃金や労働時間の問題、ハラスメントなどの人権侵害に当たると判断されました。63件のうち43件については、2019年度中に対応が完了しています。
ファーストリテイリングは、人権侵害を未然に防止するため、これまでに受け付けた相談内容を分析し、改善策につなげています。例えば、相談内容の分析とカントリーリスク分析の結果、特にバングラデシュの取引先工場におけるハラスメントの防止と改善が重要であることが判明し、専門家と協働して未然防止策の策定と実行を行っています。

2019年度ホットライン相談案件*の内訳
*寄せられた相談のうち、ILO中核的労働基準、現地労働法、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」の違反に該当するもの

2019年度ホットライン相談案件の内訳

相談事例

ホットラインで受け付けた事例は、以下の通りです。

  • 事例1
    工場の従業員から、賃金が下がる可能性がある配置換えについての相談がホットラインに寄せられた。ファーストリテイリングが工場と話し合った結果、工場側は、配置換えによる従業員のパフォーマンス低下をサポートするトレーニングプログラムの提供も含め、法令に則った配置換えを実施していることを全従業員に説明した。配置換えを希望しない従業員に対しては、その意向を尊重した対応を行った。また、配置換えなどにより空いたポジションへの人員の補充は、公募により行うこととした。
  • 事例2
    工場の従業員から、退勤時刻を記録した後も作業を続け、生産性ボーナスを増やしている他の従業員について異議が寄せられた。ファーストリテイリングが工場と話し合った結果、工場は労働時間のモニタリングの強化と生産ラインへの送電停止や従業員へのトレーニングなど、退勤後の作業を防止する現場管理体制の強化に取り組んだ。
  • 事例3
    2017年秋、ミャンマーにある取引先工場の従業員がストライキを行った。その後7名の労働組合員が解雇されたため、組合からファーストリテイリングに相談が寄せられた。ファーストリテイリングは解雇された従業員の取り扱いについて対話の場を持つよう、工場経営者と労働組合に働きかけ、最終的に従業員の復職や退職金の支払いなどの解決策が取られた。この件以来、他の従業員から出されていた賃金と諸手当に関する懸念についても話し合いがなされるなど、労使間のコミュニケーションに改善がみられた。工場経営者は、労使協調に関するトレーニングプログラムに参加した。

特にリスクの高い人権侵害への対応

リスク評価や取引先工場のモニタリングを通じて、サプライチェーンにおいて特にリスクの高い人権課題を特定しています。ファーストリテイリングが特定する、発生した場合に特にリスクの高い人権課題は、児童労働、強制労働、抑圧とハラスメント、差別、建物の安全性欠如、組合結成の妨害、ストライキの不当な解散、苦情を申し立てた従業員に対する報復行為、賃金の不払い、虚偽報告などの透明性に関する問題、未承認の委託先への外注です。これらの領域で問題が発生した場合は、迅速かつ重点的に対応に取り組みます。

2019年度、ホットラインや監査を通じて、特にリスクの高い人権侵害である抑圧とハラスメントおよび差別について相談と指摘がありました。そのうち、事実であることが確認され、2019年度中に解決に至ったのはハラスメント案件10件と、差別の案件1件でした。ハラスメントがあった取引先工場では、ハラスメントに関する社内規程を見直した上で、再発防止のための社内トレーニングを実施し、ハラスメントを行った従業員には警告を与えました。ファーストリテイリングは、ハラスメントに遭った従業員に対し、どのような対応策を取ったかを伝えています。差別の問題があった取引先工場では、女性従業員が工場経営者から妊娠を理由に退職を求められました。ファーストリテイリングは工場経営者に改善を求め、結果的に女性従業員は復職し、再発防止策として、工場は妊娠中の従業員管理についてのガイドラインを改定し、管理職向けのトレーニングを実施しました。

人権侵害の未然防止と業界全体の課題への取り組み

人権デューディリジェンスやステークホルダーエンゲージメントを通じて提起された様々な人権侵害のリスクについて、地域やグローバルの専門家とともに、未然防止策を実施しています。

児童労働の防止

児童労働は、子どもたちの健全な成長を阻害するとともに、教育の機会を奪うことにもなる深刻な社会課題です。ファーストリテイリングは、「子どもの権利とビジネス原則」などに基づき、児童労働の撤廃と防止に取り組んでいます。
サプライチェーンにおいては、児童労働防止のための施策を講じるよう取引先工場に求めています。「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」に児童労働の禁止を明記し、労働環境モニタリングでは、取引先工場が従業員を採用するときに、信頼できる身分証明書を用いて年齢をチェックしているかなどを確認しています。特に児童労働のリスクが高いミャンマーの取引先工場に対しては、2018年、現地の団体とパートナーシップを組み、児童労働のリスクや防止策、若年労働者に関する法令についてのトレーニングを実施しました。トレーニングでは、適切な採用プロセスや年齢確認方法、問題が発見されたときの是正策についての説明を行いました。トレーニング実施後、参加した取引先工場は社内規程の策定や見直しを行い、採用時のより厳密な年齢確認プロセスの構築に取り組んでいます。

2019年、ファーストリテイリングは、CCR CSRとミャンマーの主要取引先工場に向けたプログラムを開始しました。CCR CSRは、子どもの権利に関するCSR戦略やプログラム、プロジェクトの改善、開発、実行における企業支援を2009年から行っているパイオニアであり、経験と専門性のある社会的企業です。
CCR CSRと今までに実施した活動は下記のとおりです。

  • 若年労働者を含む法令違反のリスクアセスメント
  • 法令リスト、チェックリスト、若年労働者の管理に関するガイドラインなどの工場経営者向けツールキットの開発
  • 適切かつ持続的な若年労働者のマネジメントを実現するための具体的なアクションプランの開発
  • 児童労働の防止と改善および若年労働者の管理に関する経営層向けトレーニングを各企業の事情にあわせて提供

責任ある雇用

ファーストリテイリングは、人身取引を含む強制労働を絶対に許容しない方針を明確にしています。とりわけサプライチェーンにおいて、国や地域を越境して働く移住労働者は差別的な処遇を受けやすい立場にあります。こうした立場にある労働者が雇用時や雇用中に不当に扱われていないか確認するとともに、雇用側の取引先工場に対するトレーニングなどの取り組みを強化していきます。
また、2019年2月、ファーストリテイリングは、公正労働協会(FLA)とアメリカン・アパレル・フットウエア協会(AAFA)が2018年10月に策定した「責任ある雇用」に関する業界コミットメントへの支持を表明しました。これは、労働者による雇用手数料の負担など、グローバルなサプライチェーンにおける移住労働者に対する強制労働のリスクを低減するための、業界をあげたコミットメントです。全世界の取引先工場と協力して、以下の状況が実現されるよう取り組みます。

  • 労働者が雇用手数料を負担しないこと
  • 労働者がパスポートを自己所有し、移動の自由が確保されていること
  • 採用前に基本的な労働条件が通知されていること

「責任ある雇用」のコミットメント実行に向けて、2019年9月、ファーストリテイリングは、国際移住機関(IOM)と、移住労働者の採用および雇用の条件をより良く理解し課題に対処していくための新しい連携プロジェクトを開始しました。IOMは、移住労働に関わる課題解決の第一人者として、各種の取り組みを行っている政府間機関です。このプロジェクトは、ファーストリテイリングのサプライチェーンの管理向上と、移住労働者の人権と労働権の保護に関する取り組みの強化を目的としています。移住労働者を採用している日本、タイ、マレーシアの取引先工場の雇用慣行についての調査から開始し、その結果をもとに、移住労働者を守るための原則と具体的な対応策を取引先工場の方針やガイドラインに盛り込みます。当社の経営者や調達担当者、各国の担当者への研修なども実施します。

抑圧とハラスメント

抑圧とハラスメントは、労働環境や労働者の精神的・肉体的な健康状態に悪影響を及ぼします。健康的な労働環境の実現のために、労働者が抑圧とハラスメントを受けることなく働ける環境を作ることは極めて重要です。ファーストリテイリングはいかなる形の抑圧・ハラスメントも容認しません。「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」にも、従業員の尊厳を守ることが明記されています。
ファーストリテイリングのホットラインでこれまでに受け付けた相談内容と、カントリーリスクを分析したところ、特にバングラデシュの取引先工場におけるハラスメントの防止と改善が重要事項であることが判明しました。対策の一つとして、2019年に、現地NGOのアワジ財団(Awaj Foundation)、チェンジ・アソシエーツ社(Change Associates Ltd.)と協働し、取引先工場に苦情処理委員会を設置するパイロットプロジェクトを開始しました。苦情処理委員会は、ハラスメント防止に関する方針やガイドラインを策定し、ハラスメントの調査や調停の役割を担うものです。取引先工場の経営者、労働者、苦情処理委員会の委員に対し、NGOによるトレーニングが実施されました。不適切な言動の具体例について活発な議論を行うなど、トレーニングを通じて、参加者はハラスメントに関する基礎的な知識を身に着けることができました。パイロットの結果を踏まえ、バングラデシュにおける苦情処理委員会の仕組みを確立していきます。

生活賃金

サプライチェーンで働く人々のより豊かで安定した暮らしの実現に向けて、ファーストリテイリングは最低賃金の保障だけではなく、生活賃金の実現を目指しています。 ファーストリテイリングは、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」の中で、賃金は、衣食住などの基本的なニーズを満たしたうえで、相応の社会生活が営める水準であるべきとしています。
ファーストリテイリングが2015年に加盟した公正労働協会(FLA)は、公正な生活賃金の実現にコミットしています。 FLAは、グローバル生活賃金連合の「アンカー計算法」に基づき、さまざまな団体の手法を用いて工場の賃金データの収集とベンチマーキングを行うことにより、各地域の工場従業員ニーズの理解を進めています。ファーストリテイリングは、FLAと協働し、取引先工場の賃金支払い状況を分析したうえで、生活賃金と実際の賃金に差があった場合の対応方法を模索していきます。

取引先工場へのトレーニング

取引先工場には、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」や最新の労働環境基準などを正しく理解してもらうために、定期的にトレーニングを実施しています。例えば、労働環境基準の改定ポイント、防火安全基準や残業時間に対する正しい賃金計算方法などに関するプログラムを提供しています。2019年度は、11カ国の371工場を対象に、トレーニングを実施しました。

ページトップへ