HOME > サステナビリティ > サプライチェーンの人権・労働環境の尊重 >ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダーエンゲージメント

最終更新日: 2024.03.22
to English page

国際的なNPOやNGOなどのステークホルダーとの対話を通じて、グローバルな社会的課題への理解を深め、事業活動の継続的な改善を図っています。一企業では対応しきれないアパレル業界全体の課題解決に貢献することをめざし、さまざまな業界団体とパートナーシップを結び、活動を行っています。

外部団体との連携

ファーストリテイリングが連携する主な組織と取り組みは、下表の通りです。

名称加盟時期ミッション組織の主な活動内容

繊維・縫製産業における健康と安全のための国際協定

2013年8月
(旧協定への署名時期)

「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定」を引き継ぐ新たな協定として、アパレルブランド各社と労働組合の協力により、2021年に発足。
前協定と同様、繊維・縫製産業における労働者の健康と安全を守ることを目的とし、法的拘束力がある。バングラデシュの労働者の安全確保に向けた取り組みを継続するとともに、他国への取り組みの拡大も検討。

縫製工場の防火・電気保安・建物安全性検査の実施、職業安全衛生委員会など工場の管理体制強化支援を行う。工場従業員が安全性の問題を通報できるホットラインの運営や、工場従業員に対する防火・建物安全のトレーニングも実施している。

サステナブル・
アパレル連合(SAC)

2014年9月

アパレルやフットウェア、テキスタイル業界の主要企業が、環境・社会的課題に共同で取り組む団体。アパレルやフットウェア、テキスタイル業界のサプライチェーンにおける環境負荷を低減し、生産活動に関わる人々やコミュニティの発展に貢献する。

サプライチェーンの環境負荷・社会的影響を測定する業界共通ツール(HIGGインデックス)を開発・普及させる。

公正労働協会(FLA)

2015年7月

企業、市民団体、大学などの協働により、労働者の権利を保護し、労働環境を国際標準に適合するよう改善する。

加盟ブランドおよび工場に対し、サプライチェーン全体にわたりFLAの労働環境基準を導入するための支援を行う。加盟ブランドおよび工場の労働環境モニタリングを評価し、改善のための指摘を行う。また、労働環境の課題解決に向け、加盟ブランドや工場と市民団体など、さまざまなステークホルダーとの連携を促進する。

ベターワーク

2015年12月

国際労働機関(ILO)と世界銀行グループの国際金融公社(IFC)の共同プログラムで、政府、グローバルブランド、工場経営者、労働組合や工場従業員など、さまざまな企業や団体、人々と協働し、アパレル、フットウェア業界のサプライチェーンの安定性や競争力を高め、工場労働者の権利向上や労働環境の改善を実現する。

加盟工場に独自の監査、トレーニングや改善提案を行い、労働環境管理の方針や体制の強化を促進する。また、各国における現地活動で得た知見を活用し、各国政府に対する政策策定や計画立案なども支援する。

国際労働機関(ILO)

2019年9月

幅広い労働の問題に取り組む国際連合の専門機関。

仕事の創出、社会的保護の拡充、社会対話の推進、仕事における権利の保障の4つの主要戦略目標に基づき、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する。

ステークホルダーとの協働プロセス

ファーストリテイリングの活動に関心を持つ可能性のある個人や団体には、当社の従業員をはじめ、取引先工場の従業員や従業員代表、店舗やサプライチェーンの地域社会の人々、人権課題の解決に取り組む個人や団体などが考えられます。ステークホルダーからサプライチェーンの人権・労働環境に関するお問い合わせやご意見をいただくとともに、さまざまな形でエンゲージメントを行っています。特に、新しい課題が発生した場合や脆弱な立場に置かれる可能性のある労働者の問題に対しては、その分野に知見を持つ専門家などから、より良い対応・解決方法についての助言を受けています。例えば、国や地域を越境して働く移住労働者からホットラインを通じた相談があり、取引先工場での勤務や母国への帰国に際して専門的な支援が必要な場合は、国際移住機関(IOM)の助言を受け、支援のできるNGOの選定を行っています。

ステークホルダーとは、状況に応じて、月次、四半期ごと、年次といった頻度でコミュニケーションを行っています。コミュニケーションを通じて得た意見やアドバイスは、戦略やプログラムの改善のための参考としています。

ファーストリテイリングは、当社ウェブサイトやFLAなど外部団体のウェブサイトを通じて、人権に関する情報を開示しています。カスタマーセンターを通じて、電話や電子メールなどによるさまざまな問い合わせにも対応しています。

繊維・縫製産業における健康と安全のための国際協定

ファーストリテイリングは2013年8月、ビルの崩壊や火災事故から縫製工場の労働者を守ることを目的とした「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」(アコード)に署名し、工場における職業安全衛生委員会設置や適正な労働環境維持に取り組んできました。

2021年にはアコードを引き継ぐ枠組みとして「繊維・縫製産業における健康と安全のための国際協定(International Accord for Health and Safety in the Textile and Garment Industry)」(国際アコード)が発足し、ファーストリテイリングも2021年9月に署名しました。国際アコードは、ブランド企業、労働組合、業界団体の三者で構成される「既製服産業持続可能性協議会(RMG Sustainability Council、RSC)」との協力を通じて、バングラデシュにおける職業安全・労働環境維持のための支援を継続することを目的としています。さらに、従来のアコードに加え、人権デューディリジェンスへの取り組みを強化する可能性なども検討されています。

また、ファーストリテイリングは2023年5月、国際アコードの下、パキスタンで生産を行うブランド各社と労働組合の協力により新たに発足した「パキスタンの繊維・縫製産業における健康と安全のための協定(Pakistan Accord on Health & Safety in the Textile & Garment Industry)」(パキスタンアコード)に署名しました。パキスタンアコードは法的拘束力を伴う協定であり、独立した管理体制のもと、パキスタンの労働者の安全性向上をめざしています。ファーストリテイリングは、パキスタンアコードに早期に署名した企業の1社として、パキスタンの取引先工場で働く人々の健康と安全を確保する取り組みを継続、強化していきます。

アジアにおける労働者の社会保障充実と労働環境整備

2019年9月、ファーストリテイリングと国際労働機関(ILO)は、アジアにおける労働者の社会保障の充実と労働環境の整備に取り組むことを目的としたパートナーシップを締結しました。ファーストリテイリングは、2019年9月から3年間で180万米ドル(約1億9千万円)の資金を拠出し、ILOによるアジア各国を対象とした労働市場および社会保障制度に関する調査と、インドネシアでの雇用保険の導入促進および失業時の労働者支援を強化するプロジェクトを支援しました。

本プロジェクトの対象となるアジアでは、急速な経済発展にともなう産業構造および労働市場の変化に起因して、特に縫製産業に従事する労働者の突発的な失職のリスクが高まっています。一方で、アジア諸国における既存の社会保障制度と労働市場政策は、失業のリスクや長期失業に伴う生活困窮のリスクに十分に対応していないという課題があります。本プロジェクトを通じて、ILOは、インドネシアでの雇用保険制度の創設に向けた機運を高め、政府の動きを後押しする取り組みを進めました。こうした活動の結果、インドネシアでは2020年11月、雇用創出法が公布され、失業期間中の収入を保障する雇用保険制度が追加されました。インドネシア政府は2022年2月に失業給付の支給を開始しました。

また、こうした制度創設支援と並行して、失業者の再就職支援を行う労働局職員や職業カウンセラーを養成するための研修プログラムの開発・実施、就職に必要な技能および知識を習得するための訓練を提供する公共職業訓練所のプログラム強化(コンピューターネットワーク、アニメーション制作など、再雇用の見通しが高まっているインドネシアの新興産業に関わる科目追加支援)についての技術協力も行われました。

関連リンク

他のアジア諸国における社会保障制度の強化の必要性と、その実現可能性に関する調査を実施し、今後の各国での協働可能性の検討も行っています。2022年には、バングラデシュにおいて労働災害時の労働者への収入保障と医療補償を目的とした労災補償スキームの確立に向けた取り組みが開始されました。ILOが主導して2022年6月に発足した労災補償スキーム(Employment Injury Scheme 、EIS)は、労働災害による収入減から労働者を保護する、バングラデシュでは初の制度です。ファーストリテイリングは、EIS立ち上げにあたり支援を表明した7ブランドのうちの1社で、2023年末までにこのプログラムから46名が補償を受けました。

関連リンク

ページトップへ