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トップインタビュー

最終更新日: 2022.01.31
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成長の再加速

グローバルNo.1ブランドをめざして成長していく

2021年8月期は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、ユニクロ事業を中心に業績が回復し、営業利益は約66%増と、大幅な増益を達成しました。中でもグレーターチャイナ(中国大陸・香港・台湾)は、過去最高の業績を更新、欧米は5月以降に行動規制、店舗の入場規制が緩和されたことで売上が急回復しました。

世界各地では、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、感染拡大を抑え込みつつ、経済を成長させていく動きが本格化しています。我々もこれまでにも増して、積極的にグローバルに事業を展開し、グローバルNo.1ブランドをめざして、成長を加速させていきます。引き続き、グレーターチャイナと東南アジア地域では、高い成長が期待されます。 我々は、中国大陸、東南アジアからインドまでの地域を「世界経済の成長センター」と位置付け、出店を加速していく計画です。欧米も、これからさらに大きく成長できるのではないかと考えています。新型コロナウイルス感染症のワクチンが普及するにつれ、消費は確実に回復しており、コロナ禍で不採算店舗の閉店、在庫の適正化を行ったことで、収益構造も大きく変わりました。北米事業は、2022年8月期には黒字化、欧州も大幅に収益を拡大できる見込みです。グローバルで収益の柱が多様化していく期待感が高まっています。

ユニクロの店舗で売上が最も高いのは、米国のNY5番街店とSOHO店、次いでパリのオペラ店です。2021年9月にオープンしたパリのリヴォリ店は、大盛況だったオープン日以降も想定を上回るお客様にご来店いただき、LifeWearの浸透と商売への手応えを感じています。この店舗はパリでも話題の地域にあります。1870年創業の老舗百貨店が再生 された複合商業施設にユニクロが入るということもあり、オープン前から地元のお客様の注目を集めました。


2021年9月16日に、約2,000㎡の大型店「UNIQLO RIVOLI (ユニクロ リヴォリ)」をオープンしました。ルーヴル美術館やチュイルリー公園と同じリヴォリ通り沿いにあり、今パリで最も注目されている地域です。「ファッションとカルチャーの融合」をテーマに、LifeWearとアート体験をご提供しています。

これからが、成長の再加速の時期です。グレーターチャイナでは年間100店舗の出店を継続し、東南アジア、オセアニア、インドでは、これまでの出店ペースを倍増させ、年間60 店舗以上の大量出店をしていきます。北米も欧州も、出店の余地はかなりあります。それぞれの地域で、年間20店舗前後と、これまでにないペースで出店していきたいと思い ます。2022年8月期はそのための準備の期間です。2023年8月期以降のグローバルでの大幅な出店加速を、成長の原動力にしていきます。

 

高いレベルでサステナビリティ活動を推進

サステナブルな社会に貢献していくことをめざすLifeWear

アパレル業界では、「エシカル(倫理的)消費」がキーワードになっています。我々は、サステナビリティが広く言われる前から、サステナブルなモノづくりをめざしてきました。例えば、2020年秋冬シーズンに発売したリサイクルダウンジャケットは、7年前から開発を進めていたものです。使用済みのダウン商品のダウンとフェザーを100%リサイクルして、新しいダウンジャケットをつくり出す。これは東レ社との協業によって可能になりましたが、こうしたサステナブルな商品へのお客様の期待は、かなり大きいことを実感しました。

こうした循環型の商品は、製造コストが高くなり、大量生産には不向きで、高い品質を維持するのが難しいという課題を抱えています。我々は、それらの課題を乗り越え、高い品質を維持しながら、通常の商品と同じ価格で、このリサイクルダウンジャケットをご提供しています。また、我々がつくるジーンズやポロシャツなどの商品も、以前から再生素材の活用や製造工程での地球環境への負荷低減や、人権への配慮に努めてきました。我々のように、企画から生産、販売までを一貫して行うビジネスでは、過剰な生産をしないことや、工場の環境問題を把握することなど、社会的課題をしっかりと真摯に受け止め、解決に向けて取り組むことが重要だと認識しています。

それは、「服のビジネスを通じて、より良い社会をつくる」という理念を、あらゆるビジネス活動を続けていく上で貫いていくということです。社会に貢献するブランドでないと生き残れない。これからも我々は、サステナビリティに貢献できる商品の開発を積極的に続けていきます。

 

人権・環境問題などの国際的な取り組みに積極的に参画

我々は「服のビジネスを通じて、より良い社会をつくる」という考え方のもと、業界の先頭に立って、率先して課題に取り組み、改善のための努力を行ってきました。早い時期から、人権侵害を決して容認しないという姿勢を明確にし、そのための仕組みをつくり、具体的な行動をしてきました。世界各地の現場では、工場や現地当局と粘り強く交渉を重ね、我々の基準に照らし合わせ、問題があれば、改善を求めてきました。その成果は着実に上がっていると思います。

具体的には、2004年に我々が策定した「生産パートナー向けのコードオブコンタクト」への遵守を、すべての取引先工場に求めています。これは労働問題に特化した国連の専門機関である国際労働機関(ILO)の基準に沿ったものです。また、すべての取引先工場に対して、当社の社員および第三者機関より、定期的に労働環境モニタリングを実施しています。その結果は、取引先工場にフィードバックされ、見つかった課題についてはその解決策を共に考え、迅速な改善を求めています。万が一、児童労働や強制労働などの深刻な事象が発覚した場合には、取引停止を含めて厳しく対処をしています。

我々の生産事務所がある上海、ホーチミン、ダッカ、ジャカルタ、バンガロールには、品質や生産進捗管理を担う生産部の従業員が常駐しています。加えて、主要な事務所には、労働環境のモニタリングや取引先工場への改善指導を専門的に行う専任チームを設置しています。基本的に、担当者は毎週、自分の担当する取引先工場を訪問し、直接、自分の目で見て、工場の現場を把握し、正しい生産プロセスへの改善に向けた指導を行っています。

我々は、さまざまな外部団体との連携も重視しています。ILOとのパートナーシップをはじめ、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)とILOとの共同プログラムである「ベターワーク」、労働環境改善をめざす世界的なNGOの公正労働協会(FLA)などに加盟しています。2019年からは国連女性機関(UN Women)とのパートナーシップにより、縫製工場で働く女性たちを対象とした、キャリア形成の支援プログラムの開発と展開に取り組んでいます。こうした取り組みは、国際機関などから高く評価されていますし、グローバルで見ても、業界内で最も高い水準ではないかと思っています。

その一方で、我々の取り組みには、課題が多く残っていることも理解しています。素材調達の最上流である原材料にいたるまで自ら確認し、これまで以上に高いレベルのトレーサビリティを確保したいと思っています。そのためのプロセスを、今後一つ一つ着実に実現していきます。

国連女性機関(UN Women)とのパートナーシップにより、取引先工場の女性従業員のためのキャリア形成支援プログラムを開発。リーダーシップ研修や労働安全衛生、女性の健康に関するトレーニングなどを行い、バングラデシュの縫製工場で働く女性たちが、夢をかなえるためのサポートをしています。

 

進化し続けるLifeWear

お客様のご要望にお応えし、顧客を創造していく

我々は、お客様が本当にほしい服が、ほしいときにそこにあり、すぐに買える、ということを実現しようとしています。LifeWear の本質は、「お客様のご要望にお応えし、顧客を創造する」ことです。その実現のためにスタートしたのが、有明プロジェクトです。お客様の声をもとに商品を企画し、その商品を適切なタイミングで、必要なだけ生産し、販売する。そして、日々変わっていく商売の状況に合わせ、社員全員が確実に連動し、実行していくことをめざしています。

我々には、グローバルで1.4億人のアプリ会員基盤があります。お客様とダイレクトにつながり、双方向のコミュニケーションを取ることで、お客様を起点とした商品づくりを実現できます。つまり、お客様が本当に求めていらっしゃる商品をつくるという「情報の商品化」ができるということです。

お客様の生活のニーズから生まれる「究極の普段着」がLifeWear なのですが、お客様の声を起点にしてつくられる商品は、年々増加しています。エアリズムマスクや、かぶりのインナーが脱ぎ着しづらい方のために誕生した前あきインナー、2021年に新発売したエアリズム吸水サニタリーショーツをはじめとするフェムケア(女性の体や健康のケアをする製品・サービス)関連の商品は、まさにそうした例です。お客様が生活の中で感じている不便さを解消する商品には、たくさんの喜びのお声をいただいています。

ユニクロのEコマースのサイトに、UNIQLO UPDATE(ユニクロアップデート)というコンテンツがあるのですが、そこではお客様の声によって改善され、進化した商品を多数ご紹介しています。チクチクする肌触りが気になるというお客様の声から生まれた、肌にやさしいスフレヤーンのセーターは、多くのお客様からご好評をいただいています。この1年で、50以上の商品が開発・改善されました。


「ユニクロ アップデート」では、カスタマーセンターなどに寄せられたお客様の要望・不満の声と、それをもとにして、どう商品を改善したかという経緯を紹介しています。モデル着用のヒートテックコットンクルーネックTは、肌面がコットン100%で、敏感肌のお客様にも喜ばれています。

UNIQLO UPDATE
www.uniqlo.com/jp/ja/contents/feature/update/

2021年4月には、有明本部からほど近い東しののめ雲に、3Dニットの工場を稼働しました。縫い目なく編み上げる3Dニットは、日本から生まれた世界に誇るべき技術だと思います。東雲工場は3Dニット生産のマザー工場(企業が、国外に工場を設立して事業を拡大する際に、生産のシステムや技術面でモデルとなる工場)の役割を担います。量産に移る前に生産工程に無駄や不具合がないか検証し、そのノウハウをベトナムなどの海外にある量産工場にそのまま展開しています。

有明本部5階にあるニット製品のアトリエには、東雲工場と同じ島精機製作所の無縫製ニット「ホールガーメント®」の編み機や設備があります。工場とアトリエとが物理的に近づいたことで、サンプル修正の回数が減り、その結果、3Dニットの商品企画から量産の指示を出すまでのリードタイムの大幅な短縮が可能になりました。お客様が本当にほしい服が、ほしいときにそこにあって、すぐに買える、ということの実現にまた一歩近づいたと思います。


UNIQLO TOKYOに展示していた3Dニットの編み機。30~40分で1着のニットを編み上げます。

 

LifeWearの新しい体験

UNIQLO GINZAが体現する未来の店舗のカタチ

2012年にグローバル旗艦店としてオープンしたユニクロ銀座店は、2021年に10年目の節目を迎えました。それに合わせて、「New Life, New Wear, New GINZA.」をコンセプトに掲げ、ユニクロのLifeWearをリアルに体験できるグローバル旗艦店UNIQLO GINZAとして生まれ変わりました。

コロナ禍で店舗を臨時休業していた期間に、Eコマースが大きく伸びました。しかし、リアル店舗は変わらず大事な役割を担っています。お客様は、スマートフォンでほしい商品を検索し、商品の情報を調べてから購入される一方で、商品を実際に手に取って確かめることのできる店舗にもいらっしゃいます。家族や友人と店舗でお買い物を、純粋に楽しみたいという気持ちももっていらっしゃいます。お客様はどちらか一方ではなく、両方を体験されたいのだと思います。

我々の強みは、リアル店舗が世界中にあるということです。リアル店舗で商品に触れたお客様は、Eコマースのご利用へとつながっていきます。我々は「Eコマースを本業に」と言っていますが、それは、Eコマースに本気で取り組み、成長させていくということであり、Eコマースとリアル店舗の両方を一生懸命にやっていくということでもあります。それが、当たり前のことです。

ユニクロでは、Eコマースで購入されたお客様の約4割の方が、店舗で商品を受け取っていらっしゃいます。店舗で商品を受け取るついでに、店内をご覧になって、他の商品も一緒に購入されます。Eコマースと店舗の両方でお買い物をされるお客様は、どちらか一方しか使わないお客様よりも、年間の購買金額が2倍以上という結果も出ています。Eコマースとリアル店舗には、大変良い相乗効果が生まれています。

デジタル技術の発展で、お客様は事前に入手した情報をもとに行動されるようになりました。店舗にいらっしゃる前にEコマースサイトをチェックされる方が多いので、Eコマースこそが本当のマーケティングだと気付きました。ですから、自分たちが新聞社やテレビ局のような情報を発信する役割を果たそうと考え、東京の有明本部に撮影スタジオも造りました。商品の情報発信、編集、お客様からの反響の分析など、すべて自分たちの手で行っています。ユニクロでは、ライブ配信される動画を見ながら、気になった商品をその場で購入できるライブコマース「UNIQLO LIVE STATION」を展開し、UNIQLO GINZAなどの店舗の売場を活用して、商品の魅力を定期的に発信しています。商品のポイントやおすすめのコーディネートをライブで紹介するスタッフに、リアルタイムで質問やコメントを送ることもできます。

店舗もEコマースも全部一体化して、新しい業態をつくっていきたいと考えています。その一番良い例が、今回リニューアルしたUNIQLO GINZAです。この店では、商品を売るというよりも、ブランドをアピールし、我々の取り組みを広く深く知っていただくという意味合いが強くなっています。新しくなったUNIQLO GINZAは、LifeWearを伝える店舗です。1階から12階まで、LifeWear の世界を体感できる展示をたくさんご用意しています。これまでにない体験型の店舗に仕上がったと思っています。

おかげさまでユニクロの服は、世の中に浸透していると思います。いつも愛用してくださっている定番商品であっても、それがどんな仕組みでつくられているかを知って着用されている方は、それほど多くはないと思います。ヒートテックやウルトラライトダウンが、なぜあれほど暖かいのか、着心地が軽いのか、ジーンズ生産の過程では、どのように環境負荷を減らしているのか、ドライEXポロシャツなどに使われているリサイクルポリエステル繊維は、どうやってつくられるのか、そういったサステナビリティへの取り組みも、ぜひ、お客様に知っていただきたいと思います。

さまざまな工夫を凝らしたインスタレーション(展示物)での発信は、きっと楽しんでいただけると思います。美術館や博物館を訪ねるように、ワクワクしながら各階を巡るのは、店舗に来ていただく楽しさにつながります。UNIQLO GINZAの12階には、国内初のユニクロのカフェ「UNIQLO COFFEE」があります。お買い物を楽しみながら、リラックスできるスペースになっています。

このUNIQLO GINZAと同じような店舗を、旗艦店だけでなく、標準店でもどんどん増やしていきたいと思います。店舗は最大のメディアです。絶えず情報発信をしていくことで、お客様とつながることができます。Eコマースと店舗でのお買い物体験を、継ぎ目なくご提供していきます。

(左)1階エントランスでは、20色のカシミヤニットを使った振り子アートがお客様をお出迎え
(右上)12階の国内初のユニクロのカフェでしか味わうことのできないオリジナルブレンドコーヒー
(右下)人々の生活に彩りを与える、季節の花が並ぶ1階の「UNIQLO FLOWER」

 

「服」を通じて世界を変える

志ある個人や企業は、国境を超えて成長していく

我々は、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」ことをめざしている会社です。服の常識を変えて、社会にインパクトを与える。そうすれば、服を通じて世界を変えていくことができます。この1~2年で世界経済の構造や人々の価値観は大きく変わりました。だからこそ、我々はこれまで以上に前向きに、積極的に世界に打って出て、もっとオープンな世界をつくっていきます。

世界は、すでに一つにつながっています。各国の立場の違いにかかわらず、情報にも金融にも国境はなくなっています。経済だけが、一国の中で回っていくことはありません。グローバル化が止まったら、各国の成長が止まることになります。企業とは、グローバルな視点で、人々のために貢献していくべき存在だと思います。国を超えたビジネスとは、両国に利益があるのが当たり前です。互いに利益を実現し、一緒に成長していく。国と国が平和で安定した関係を構築していく。そうしたことに、商売の本当の意味があると思っています。

私は「独立自尊の商売人」としての信念をもっています。自分の進む道は自分で決めて、起業家精神をもち、自分と自分の仕事に自信と誇りをもつ。我々が掲げている「全員経営」というのは、この精神を全社員にもってもらいたいということです。車いすテニスの国枝慎吾選手は、ユニクロのグローバルブランドアンバサダーですが、彼は勝つことにこだわり、結果を出すことに強い意志をもっている素晴らしい選手です。こうした人が一人いるだけで、チーム全体が引っ張られて、結果を出そうという気持ちになります。企業も同じことです。組織の内外にネットワークを保ち、結果を出す。プロとして仕事をしていくために、欠かせないものだと思います。

現在の社員の半分が世界に出て、海外事業を経験すること、逆に国内事業に海外の人たちを入れて混成チームにしていくことが必要だと考えています。特に日本人、日本の企業は、こういう時代だからこそ、もっともっとグローバルに出て行き、世界中の志のある個人や企業と力を合わせて、持続可能な成長の仕組みをつくっていくことが必要だと思います。グローバルで経営できる人材を育成するには、グローバルで、経営幹部の一員として経営者にチャレンジしてもらうほかありません。優秀な人材は、失敗してもいいから、海外でチャレンジしてもらいたい。仮に失敗しても、失敗をバネにして、また活躍してもらえばいいだけです。

「私たちはこの世界で何をするべきなのか」「どういう原則に立って仕事をしていくのか」、自分たちの原点に常に立ち返り、強い信念と使命感をもって商売をしていきたいと思います。フランスの思想家であるジャック・アタリ氏と対談したときに、こんな話をしました。「私たちは全人類の祖父母であり、まだ生まれていない人類の祖父母でなければならない。次の世代の利益となる仕事をしなければならない」。まさにその通りだと思います。世界の役に立つ、お客様の役に立つ商売をしてくことで、世界は良い方向へ変わっていくと思います。お客様を信じ、商売のつくり出す価値を信じて、社会のために仕事をしていきます。

 

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