HOME > IR情報 > 経営方針 > トップインタビュー

トップインタビュー

最終更新日: 2019.03.21
to English page

有明プロジェクトの成果が見えはじめた

「 情報製造小売業」への転換

現代は、国境、産業、企業の境目がなくなり、人、物、情報が密接につながるようになりました。ITの発達による情報革命が起こり、我々のような企業にも「産業革命」が起こりつつあります。これまでの企画・計画・生産・物流・販売といったサプライチェーンに代わり、お客様がほしいと思う商品をすぐに商品化できる、情報を中心とした新しいサプライチェーンへと、業態を変革していく必要があります。それが、我々がめざす「情報製造小売業」です。
「情報製造小売業」への転換を進めるため、2017年2月に有明倉庫の6階へユニクロの本部を移転し、本格的に有明プロジェクトを始動させました。小チーム制のフラットな組織による「即断・即決・即実行」で仕事が実践されるようになり、さまざまな分野で目に見える成果が出始めています。有明プロジェクトはこの2年間で、登山でいえば3合目ぐらいまで到達できたのではないかと思っています。

無駄なものをつくらない、 無駄なものを運ばない、 無駄なものを売らない

「情報製造小売業」の究極の目的は、「無駄なものをつくらない、無駄なものを運ばない、無駄なものを売らない」ということです。この実現のために、企画・計画・生産・物流・販売といったサプライチェーンのすべてのプロセスを、有明プロジェクトを推進することで変えていきたいと思っています。

有明プロジェクトのひとつとして、Googleとの共同プロジェクトが2018年夏からスタートしています。今後は、我々が世界中から集めたビッグデータや膨大な画像分析によって、ファッションで流行する色やシルエットが、いち早く分かるようになると思います。同時に我々は、ユニクロとジーユーがすでに持っている膨大な情報も有効活用することで、お客様がほしいと思う商品の企画や、精度の高い数値計画を効率的に行うことができるようになると考えています。

すでに、ユニクロのコア商品をより良いものに変えていく「UNIQLO UPDATE」という取り組みも、大きな成果を上げています。お客様から寄せられた膨大なご意見を分析し、商品の細部に至るまで細かい改良を加えるこの取り組みは、より快適なLifeWear への進化につながっています。

ユニクロとジーユーは、販売数量の多いビジネスを展開しているため、シーズン中に追加生産による補充をしなければなりません。追加生産のタイミングの判断は、ビジネスに大きく影響します。追加生産が間に合わず、販売機会ロスを招いてしまうこともあります。有明プロジェクトの推進により、生産数量の予想精度の改善、企画から生産あるいは生産リードタイムの時間短縮、物流改革が行われることで、こうした問題は解決しつつあります。これからは、人工知能(AI)やアルゴリズムなどの新しい技術を駆使することで、有明プロジェクトがさらに加速していくと思います。

「情報製造小売業」への転換

 

世界中の優秀なパートナーと協働で進める有明プロジェクト

有明プロジェクトの推進で見えてきた大きな成果のひとつが、物流改革です。日本を代表する物流機器メーカーのダイフク社との協業により、プロジェクト始動から2年もたたずに、最新の自動化機器・システムを有明倉庫に導入することができました。有明倉庫はユニクロのEコマース専用の自動化倉庫として、2018年秋からフル稼動しています。ファーストリテイリンググループの物流改革の幕開けです。すべての商品にICタグ(RFID)を導入しているため、有明倉庫での商品の搬入、仕分け、ピッキング、検品などの作業プロセスはほぼ無人で行うことができます。24時間稼動のため、繁忙期の人手不足による配送遅延という問題も解決されました。

今後は、ユニクロ店舗への商品配送でも、自動化倉庫を活用することで、効率化アップを図る計画です。すでに国内では関西地区、海外では中国、米国の東海岸、西海岸、東南アジアで新たな自動化倉庫の計画が進んでいます。今後3年間くらいで合計1,000億円の投資を行い、将来的には世界中のファーストリテイリングの拠点に自動化倉庫を導入したいと考えています。

サプライチェーンのすべてのプロセスを変革するためには、世界中の優れたパートナーとの提携が不可欠です。自動化倉庫はダイフク社との提携によって、スピード感を持ってプロジェクトを進めています。またIT関連の世界では、Google、アクセンチュア社などとの協働により、人工知能(AI)などの新しい技術を駆使した仕組みを構築中です。生産の現場では、東レ社、島精機製作所だけではなく、中国や東南アジアの生産工場とのパートナーシップをより強固なものとしています。東レ社とは、ヒートテック、ウルトラライトダウン、島精機製作所とはホールガーメント技術による3Dニットといった、ユニクロ独自の商品が開発されています。これからも、世界中の優れた技術と能力を活用しながら、新しいサプライチェーンに向けた改革を進めていきます。

海外ユニクロ事業の躍進

 

海外ユニクロ事業の売上収益が日本を超えた

海外ユニクロ事業の躍進は目覚ましく、2018年8月期の 売上収益は8,963億円(前期比26.6%増)と、海外の売上収益が国内を初めて超えました。売上の拡大だけではなく、収益性も高まり、営業利益は1,188億円(前期比62.6%増)と、国内ユニクロ事業とほぼ同水準にまで達しています。今後も、グレーターチャイナ、東南アジア地域での事業拡大が、ファーストリテイリング全体の業績をけん引していきます。また、欧州ユニクロも収益性が高まっています。新しく進出したスペイン、スウェーデン、オランダの業績も順調です。米国ユニクロの赤字幅は、前年に比べて計画通り半減し、2019年8月期には黒字に転換する見込みです。

国内・海外ユニクロ事業の売上収益

 

ユニクロのLifeWear が世界中のお客様に浸透

世界の各地域でのユニクロの成功は、LifeWear のコンセプトがお客様に浸透したからではないかと思います。LifeWearとは、「本当に着心地が良く、高品質でファッション性があり、誰にでも手が届く価格の究極の普段着」です。流行を追うファッションアパレルとは異なり、人々の生活に密着したブランドです。ユニクロの服は、日本のものづくりの価値観を継承し、細部までこだわった服をつくり続けてきた我々の長年の努力から生まれました。着る人が主役になる、シンプルで完成度が高い服、技術革新の成果である新素材を大胆に使った服、あらゆる人のための上質な服です。

グレーターチャイナ、東南アジアで大量出店を継続

ユニクロ事業の今後の成長を担うのが、グレーターチャイナと東南アジアです。アジアでは経済発展に伴い、今後も中産階級の人口が爆発的に増え続けることが予想されます。「中国の消費はスローダウンしているのでは?」と、よくマスコミや投資家に聞かれますが、ユニクロに関してはそんなことはありません。中国の消費はほかの地域よりも良いぐらいです。我々は、中国、東南アジアからインドまでの地域を「世界経済の成長センター」と位置づけ、大量出店を継続していく計画です。これらのアジア市場で、すでに確固たる経営基盤を築いているユニクロには、事業をさらに拡大するビジネスチャンスがあります。日本の人口はわずか1.2億人ですが、グレーターチャイナのホワイトカラーの人口は数億人、アジア全体では10億人以上と推測されています。日本の10倍、20倍の市場で、我々の成長を確かなものにしたいと考えています。

高い成長が期待されるインド市場へ進出

2019年秋にはインドに初出店する予定です。インド市場は長期的に見れば、中国市場と同じぐらいの高いポテンシャルがあると思います。インドの繊維産業はまだ古い産業で、これからインドの人たちと一緒に改革をしていかなければならないと思っています。20年以上前に我々が中国の生産工場の人たちと、ユニクロの生産体制をつくった時と同じです。インドでは、文化、宗教が地域によって異なるため、お客様が求める服のニーズも違うことが予想されます。クルタなどの民族衣装も企画・販売する必要があると考えています。小売業として、お客様へのサービス精神や接客方法なども従業員に教え、小売ビジネスを一から育てる必要があると思います。

我々の最終目標はユニクロが服のブランドとして、アジア発で初めての「グローバルブランド」になることです。アジアの強い生産力、購買力に日本の技術力を加え、「アジア発のユニクロ」が世界中のお客様に支持されることをめざします。

欧州は大都市へ出店攻勢 ブランドビルディングを強化

欧州ユニクロの戦略は、欧州の大都市における最高の立地 に大型店を出店し、ブランドの存在感をより高めていくことです。グローバルで見ると、ファッションビジネスでうまくいっているブランドは、欧州を源流としているところが多いと思います。やはり、服の文化の歴史が長い欧州で、ブランディングを成功させない限り、世界で成功することはできないと思っています。

ユニクロは、2017年秋にスペイン、2018年秋にはスウェーデンとオランダに出店しました。これらの地域では好立地にある、伝統的な建築物への出店を果たしています。伝統的な建築を生かした店舗づくりを行うことで、欧州の文化と日本文化の融合をめざしました。それぞれの地域のお客様にとって、日本から来たユニクロは新鮮に映り、話題となり、街の活性化にもつながっています。

米国はブランド認知度アップとEコマースの成長が鍵

米国ユニクロは経営が安定して、黒字化が見えてきました。現地のCEOがスタッフと一緒になって、経営体制をより強いものにつくり上げてきたことによる成果です。

米国は世界で最も大きな市場です。その市場で本格的に成長するには、ユニクロのブランド認知度は、まだまだ低いと思います。欧州の出店戦略と同じように、米国の大都市に旗艦店や大型店をつくり、米国でユニクロというブランドの存在を知ってもらう必要があります。

店舗づくりを進めるだけでなく、国土が広い米国ではEコマース事業と店舗の連動が非常に重要です。Eコマースでは、サイズ展開を広げたり、セミオーダー商品をラインナップしたことで、毎年高い伸び率を達成しています。現在、米国ユニクロにおけるEコマースの売上構成比は、20%強まで高まりました。米国ではショッピングモールの衰退が急速に進んでいます。価格だけで勝負をするアパレルブランドが乱立するモールへの出店だけでは、事業として成功することはできません。ユニクロのLifeWear のコンセプトや、商品そのものの良さを本当に評価していただける好立地に、出店していきたいと思っています。

 

国内ユニクロ事業は新しい小売業をめざす

Online to Offline が日本でも普及し始めた

国土が広い中国大陸ではOnline to Offline(O2O)が盛んです。欧州や米国でもO2Oが急速に普及し始めています。我々のように、日本に強い店舗網があり、これから本格的にEコマース事業の拡大をめざす企業にとっても、O2Oビジネスを効率的に運営し、Eコマースと店舗がつながる新しいビジネスを構築することがとても重要だと考えています。

2018年度から「ユニクロ店舗受取り」、「コンビニエンスストア受取り」のサービスを開始しました。すでに、これらのサービスを利用するお客様は、件数ベースで約30%を占めています。Eコマースで、ほしいものを注文した際、近所のユニクロ店舗やコンビニエンスストアで受け取れるサービスは、お客様にとって利便性の高いシステムです。ユニクロ店舗で商品を受け取れれば、すぐその場で試着することもできます。また、今まで大型店でしか買えなかったコラボ商品も、Eコマースで手軽に買うことができます。店舗で買っても、Eコマースで買っても、便利にお買い物を楽しめるO2Oを、さらに普及させていきたいと考えています。

国内ユニクロ事業は収益性を重視

日本のアパレル市場は、人口の減少や高齢化社会の影響により、市場そのものが縮小しているという厳しい状況にあります。そうした中、2016年春から「毎日お買い求めやすい価格」戦略を開始しました。競合他社に比べて、高品質で買いやすいユニクロの価格は、多くのお客様から支持を得ています。

これからも、増収と高い収益性を維持していくためには、それぞれの店舗が、地域のお客様のニーズに合った商品構成と、徹底したコスト削減をする必要があります。「個店経営」の実現が、これまでにも増して重要になっています。「個店経営」という、地域のニーズに根ざした商売を実践するためには、その地域を最もよく知る経験豊富な従業員が欠かせません。そのためにユニクロでは、地域正社員制度を採用しています。現在、国内ユニクロ事業全体では、販売員の約3分の1に相当する10,000人が地域正社員として働いています。地域密着の「個店経営」を支える人材です。

 

ジーユーは、日本発の新しいファッションブランド

停滞期こそ変革期

営業利益の減益が2年間続きましたが、これからがジーユーの実力発揮の本番だと、前向きに考えています。ユニクロの3分の2から半分ぐらいのプライスで買える、ファッションアイテムのニーズはかなりあると思います。アジア市場でも展開することは、十分に可能です。

ジーユー事業はこれから、好調さを取り戻すと思います。この2年間は、ファッションを追いすぎて、それぞれの商品コンセプトがバラバラになっていましたが、ようやく、経営の基本である「お客様のニーズを捉えた商品をつくる」ということができるようになってきました。

ジーユーがめざすのは、「ファッションと低価格」です。これに徹することが大切です。これからは本当に旬の商品を、大量に売ることを考えていきたいと思います。ファーストリテイリングが進めている有明プロジェクトは、ユニクロよりもジーユーにプラスに働くと思います。ファッションのあらゆる情報をデジタルを駆使して収集し、分析する力が、有明プロジェクトによって飛躍的に進化します。旬のファッションをいち早く、しかも大量に商品化することが可能になります。その恩恵を最も受けられるのが、ジーユーです。

 

グローバルワン・全員経営の経営体制を実践

世界No.1のアパレル製造小売業をめざす

ファーストリテイリングは現在、ZARAを展開するInditex社、H&M社に次ぐ、世界で第3位のアパレル製造小売業です。ユニクロは、これらのグローバルブランドと世界各地で競合すると同時に、共存共栄しながら、グローバルブランドとして各国・各地域のローカルブランドと競争しているといえます。ZARAやH&Mはファッションを中心に商品展開しているブランドですが、我々ユニクロは、LifeWear (究極の普段着)というベーシックなウエアを中心とするコンセプトでお客様からの支持を集めています。これからもファーストリテイリングは、グローバルブランドとして確かな成長を続け、将来的には売上収益ともに、世界No.1のアパレル製造小売業になりたいと思っています。

 

すべての社員が経営者マインドを持つ

「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という企業理念は、本当に良い服、最高のサービスをお客様にお届けしたいという気持ちから掲げたものです。ファーストリテイリングのすべての社員一人ひとりがクリエイティブな力を発揮して、イノベーションを起こす企業になることで、企業理念を実現していきます。世界中の全社員が「グローバルワン・全員経営」の精神で、情熱的に仕事をすることが求められます。各地域、各事業で最も成果が上がったことを、グループ全員が共有し、実践する組織でありたいと思います。ファーストリテイリングは店舗のアルバイトからトップ経営者まで、すべての社員が経営者マインドを持ち、自らが考えて、お客様に最高の商品、サービスを提供する「全員経営」を実践していきます。

FRグループ企業理念

 

経営の執行と監督の分離によりガバナンスを強化

ファーストリテイリングは、独立性のある社外取締役が取締役会の過半数を占める経営体制により、ガバナンスの強化を図っています。また、執行役員制度を導入することで、日々の経営執行と取締役会の監督機能を分離し、執行のプロセスが迅速に実践される体制にしています。

私は今年70歳になるので、ここ数年間は、次世代の人材が、経営のトップあるいは経営執行チームになるための後継者育成に力を注いできました。我々が必要とする経営者は、グローバルで活躍し、ローカルの人たちと一緒になって事業を拡大できる人材です。新しいことにチャレンジして、たとえ失敗したとしても、次に成功するためには何をしたら良いのかをじっくりと考えることのできる人材です。業界の動きの後追いでは、成功する企業にはなれません。世の中の変化、業界の変化を先取りして、事業を次に進めることができる経営執行チームの人材は、すでに育ってきています。

 

ESG活動の推進 世界をより良い方向に変えていく

企業活動の目的は、安定的に事業を拡大させていくとともに、世界中のお客様の生活を豊かにしていくことにあります。その継続が、社会全体の幸せにつながっていくと信じています。

ファーストリテイリングは、年間13億点の服を製造、販売している企業グループです。我々の企業活動が、世界に与える影響は大きなものであると認識しています。例えば、環境(Environment)の分野では縫製工場や素材工場での環境保全、社会(Social)の分野では工場で働く人の労働環境や人権、地域社会への影響などについて配慮をすることが重要です。投資家の間でも、ESG評価について企業に厳しく問うようになっています。ファーストリテイリングはESGのそれぞれの分野で、お客様、取引先、株主の皆様、従業員といったあらゆるステークホルダーに満足していただける活動を積極的に行っていきます。服のビジネスを通じて世界をより良い方向に変えていく努力を、これからも続けていきます。

 

ページトップへ