最終更新日: 2026.03.03
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グレーターチャイナ
事業構造改革に手応え。再成長をめざす

株式会社ファーストリテイリング グループ上席執行役員
ユニクログレーターチャイナCEO
潘 寧(パン・ニン)
Q. 現在進めている事業構造改革の背景や具体的な取り組みについて教えてください。
2025年8月期のグレーターチャイナのユニクロ事業は、売上収益6,502億円(前期比4.0%減)、事業利益899億円( 同12.5%減)の減収減益でした。グレーターチャイナは、2002年に初進出して以来、大量出店と効率的な店舗運営で、急成長してきました。景気や外部環境が変化しているなか、業績が一時的にスローダウンしています。再び高い成長軌道に回帰するために、チェーンストア経営から個店経営へ構造改革を進めています。
改革の柱は四つあり、一つ目は、「価値を創出する商売への転換」です。商品の機能性や価値が伝わる戦略的なマーケティング、売場づくりを行うことで、売上の最大化、値引率の改善を図ります。二つ目は、「地域のニーズに応じた商品構成への対応」です。売上上位の商品を中心に、地域ごとの在庫数量や、投入時期を適正化すると同時に、生産地であり、販売地でもある強みを活かし、柔軟な生産体制を構築します。三つ目は「店舗の質の向上」です。スクラップ&ビルドを行った店舗の売上は従来の1.5倍となり、武漢や成都、長沙に開いた旗艦店は大成功を収めています。四つ目は「経営人材の強化」です。中国大陸でも優秀な人材が着実に育っていますが、個店経営を深く理解した経営者や店長を日本から派遣し、育成を加速しています。事業構造改革は徐々に成果が出始めているため、2026年8月期は再成長への強い決意で臨みます。
Q. すでに出始めている改革の成果はどのようなものがありますか?
個店経営では、店長がそれぞれの地域や店舗のニーズを深く理解し、一人ひとりのお客様の要望に、誠実に応えていくことが重要です。2025年の春夏より、個店ごとの販売計画に、店長やお客様の声を反映し、商品構成が改善しつつあります。また、販売動向に応じて、多頻度で増産・減産を行うことで、在庫の適正化も進みました。
旗艦店の出店や、メディアを通じた商品訴求にも手応えを感じています。SNSでの情報発信、特に若い層に人気のコンテンツを絶え間なく発信したことで、商品の価値と価格が評価され、リネンシャツ、UVカットパーカ、バレルレッグジーンズなど、売上規模が大幅に拡大しました。30歳未満のユニクロ会員も増加しています。
これらの取り組みにより、ユニクロへの信頼感も向上しています。2025年春夏にユニクロのUVカット商品がCCTV.comで取り上げられ、機能性や品質が高く評価されました。また、中国大陸で高い影響力をもつ経済誌の「第一財経」が実施する消費者投票による調査・評価で「トップブランズ」称号を14年連続で獲得しました。今後も、グレーターチャイナで最も必要とされるブランドをめざして、改革を推進します。

ユニクロ 長沙平和堂店
北米
北米での存在感が拡大。売上1兆円へ成長を加速
Q. 事業環境が変化しているなか、好調な業績が継続している背景を教えてください。
北米事業の2025年8月期の業績は、売上収益2,711億円(前期比24.5%増)、事業利益442億円(同35.1%増)と、計画を上回る、大幅な増収増益を達成しました。商品価値やブランディングの発信を強化してきたことで、お客様からユニクロへの支持や信頼が高まっていると思います。
米国に進出して20年目の2025年9月に、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で、ユニクロの哲学や歴史、先進技術を伝えるイベント「The Art and Science ofLifeWear」を開催し、多くのメディアに取り上げられました。同時期に、ニューヨーク5番街店の売場を、スタイリングや商品価値が一目でわかる、買い回りしやすい売場へリニューアルし、この手法を今後、全店舗へ展開していきます。北米の店舗でのお客様の活気や、新しい売場への良い手応えを得たことが、今後の成長への大きな自信につながっています。
ブランディングの強化や個店経営を推進してきたことで、ユニクロは、高品質でベーシック、他にはないブランドという評価が広がっており、競争力が高まっています。引き続き、価値と価格のバランスを評価いただける商品開発、販売計画の精緻化、生産性の向上など、企業努力を続けてくことで、輸入品に対する追加関税などの外部環境の変化や景気動向に臨機応変に対応し、持続的な成長を実現していきます。

株式会社ファーストリテイリング 取締役
グループ上席執行役員 COO
株式会社ユニクロ 代表取締役社長兼COO
ユニクロノースアメリカCEO
塚越 大介
Q. 北米事業は、売上収益1兆円をめざしています。どのように達成するのですか?
2027年8月期に売上収益3,000億円を達成するという北米事業の目標に、着実に近づいています。売上収益1兆円への計画も、確実に進んでいます。
ブランド認知度が高まっている今、ユニクロのファンを加速度的に増やしていきたいと考えています。ニューヨーク、ロサンゼルスはファッションの発信地です。LifeWearのコンセプトを世界に広めていく上でも、米国を起点に、世界中で圧倒的な支持を得られる商品の開発と、マーケティング・売場・Eコマースが連動した情報発信を強化していきます。次に、東海岸と西海岸を中心に、旗艦店や優良ショッピングモールへの出店、Eコマース販売が好調な未進出の都市への出店も加速します。2026年は、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、サンフランシスコなどの主要都市に、旗艦店を続々とオープンする予定です。さらに、地域社会と共存共栄をめざして、サステナビリティ活動も積極的に実施します。これらの取り組みを推進するために、少数精鋭で、強いチームワーク、高い志、情熱をもった組織を構築していきます。

ユニクロ ニューヨーク5番街店(グローバル旗艦店)
欧州
ブランドへの信頼が高まり、欧州事業はさらなる躍進へ

株式会社ファーストリテイリング
グループ上席執行役員
ユニクロヨーロッパ CEO
守川 卓
Q. 欧州事業が、売上、利益ともに高成長を継続している背景を教えてください。
欧州事業は2022年8月期以降、毎年30%~50%の売上成長を続けており、2025年8月期も、売上収益3,695億円(前期比33.6%増)、事業利益542億円(同23.7%増)と、大幅な増収増益を達成しました。
欧州事業の継続的な成長には、いくつかの要因がありますが、最も効果的だったのが、各国・各都市の旗艦店展開に伴うブランド認知の向上です。ユニクロブランドを正しく紹介するために、欧州各地の一等地や特徴的な場所に旗艦店を出店し、より多くのお客様に、商品やスタッフのサービスを提供することで、ユニクロへの理解と共感が大きく進みました。
もう一つは、ウィメンズ商品の強化です。欧州の競合他社を見ると、ウィメンズ商品の売上構成比は約7割と高いですが、ユニクロは約4割でした。お客様の声から、欧州では、ドレスやスカートなどの女性らしいアイテムが好まれることがわかり、ロンドンに開設したR&Dセンターを中心に、開発やマーケティングを強化したことで、今では、ウィメンズ商品の売上構成比は約5割強へ高まりました。
また、お客様のコア商品に対する高い評価が、ロイヤルカスタマーの拡大につながっています。リネン、カシミヤ、Tシャツ、ダウンなどのコア商品に、新たな色展開やその時代らしいデザインのアップデートを加えることで、販売規模は年々高まっています。さらに、ブロックテック、UT、ワイドパンツ、ラウンドミニショルダーバッグが大ヒットしたことで、29歳以下のお客様の売上構成比は、約35%へと高まり、若年層が最も注目するブランドになりつつあります。LifeWear のコンセプトが若い層に受け入れられていることは、大きな自信につながっています。
Q. 旗艦店は、どういった点を重視して、出店していますか?
単なる店舗数の増加はめざしていません。我々にも地域にも、ユニクロが店舗を構える意味があることが重要だと思います。世界中から人々が訪れる一等地であることや、ユニクロの商品や企業姿勢を表現できる一定の売場面積を確保できるかどうかは重視しています。しかし、それ以上に、候補となる建物が、その地域でどのような意味をもち、街の人々に愛されているか、そして、ユニクロの出店を通じて、街に貢献し、活性化したい、という同じ志をもつ建物のオーナーと組めるかどうかが、大切です。そういう視点で見ると、まだ欧州では、旗艦店を出店できる場所は多いと思いますので、これからも積極的に出店を推進します。
Q. 売上1兆円をめざして、注力する取り組みを教えてください。
コア商品は、すでに高く評価されていますが、まだ欧州のお客様の期待に応えられていない点も多いです。ウィメンズ、キッズ商品は、拡大余地が大きく、ユニクロの機能性商品も、十分に浸透していません。ブラトップがこの2年で広く浸透したように、欧州の人々へ新しいライフスタイルを提案し、お客様が必要とする商品の開発を強化することで、グローバルで売れるヒット商品をさらに生み出していきます。 旗艦店戦略とともに、地域の特色を活かし、独自のサービスを提供できる店舗の出店にも注力します。フランスのアヌシー店がその一例です。人口が少ない街ですが、スキーリゾートとして栄え、ユニクロの店舗は地元のお客様の生活ニーズに合致し、大歓迎されています。
サプライチェーン改革も重要です。欧州は、商品供給のリードタイムが長いという課題があります。有明プロジェクトの推進に加え、欧州内での配送方法の最適化など、さらなる短縮を図っていきます。2025年春、オランダにユニクロの最大規模の自動化倉庫を開設しました。今後も、急拡大する事業規模に合わせて、倉庫体制を強化していく計画です。
最後に、人材育成が最も重要です。欧州では、地域をよく知る現地人材の登用が着実に進んでいます。現在7名いる各国COOのうち、4名が現地の人材です。これに続く次世代のリーダーを育てるべく、若い社員も旗艦店の店長に抜てきするなど、計画的に成長機会を与え、育成に取り組んでいます。

ユニクロ メイヤー店(ベルギー)