最終更新日: 2025.02.28
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グレーターチャイナ
「個店経営」を徹底し、再び確かな成長軌道へ
2024年8月期のグレーターチャイナは、売上収益6,770億円(前期比9.2%増)、営業利益は1,048億円(同0.5% 増)となりました。天候不順や消費意欲の鈍化の影響を受けたことに加え、地域のニーズに応じた商品構成やマーケティング活動が不足し、業績が伸び悩みました。一方で、国慶節やW11(独身の日)などの商戦期の販売や、Eコマースでの販売は拡大しており、ユニクロに対するお客様からの期待が引き続き高いことを実感しています。今後は「個店経営」を強化し、地域のお客様ニーズに合わせた商品やサービスをご提供できる体制を構築することで、業績の回復をめざします。
中国大陸では、ショッピングモールごとの集客力の差が、より鮮明になっています。ユニクロが地域に根差した必要不可欠な存在となるために、店舗のスクラップ&ビルドを進め、より良い立地に、よりプレゼンスの高い店舗を出店していきます。年間50店舗程度の閉店を進めると同時に、ブランド価値を体現できる店舗、地域のお客様に末永く支持される店舗を厳選し、年間50から80店舗を新規出店していきます。
また、成長ポテンシャルが大きい都市に、圧倒的な存在感をもつ旗艦店、大型店を出店し、LifeWearのブランディングを強化します。その一環として2024年5月、武漢市の中心的な商業・文化エリアに、売場面積約2,200㎡の旗艦店「ユニクロ 武漢 楚河漢街店」をオープンしました。世界で最も大学生が多いといわれる武漢での出店に先駆けて、地元の大学と組み、採用のためのフォーラムや、学生によるファッションショーを開催し、多くの大学生と交流しました。オープン当日は3万人以上のお客様が来店し、大盛況でした。労働節の期間中は、中国大陸のユニクロ店舗でNo.1の売上を達成しました。
生産地であり、消費地でもある中国大陸の強みを活かし、気候、生活習慣、文化など、地域によって異なるニーズに対応した商品構成の確立も、さらに推進します。グレーターチャイナでは、優秀な人材がすでに数多く育っていますが、こうした人材が中心となって次世代の人材を育成し、一人ひとりが経営者マインドで考え、実行する集団になることをめざします。2028年8月期に売上収益1兆円の達成に向け、まい進します。
ユニクロ 武漢 楚河漢街店
北米
テキサス州での成功を、さらなる飛躍につなげる
北米事業は、ユニクロの人気が高まっていることで、新しいお客様に加え、リピーターのお客様も継続的に増加しています。2024年8月期は、売上収益2,177億円(前期比32.8%増)、営業利益348億円、(同65.1%増)と、大幅な増収増益となりました。ブラトップやリネンシャツ、ワイドパンツなど、戦略的に売り込むべき商品を明確にし、数量を十分に準備し、商品の情報発信を積極的に行ったことが好調の要因です。かつてはアジア系のお客様が中心でしたが、今は多様な人種や民族のお客様にご来店いただき、ユニクロが大切にしている「MADE FOR ALL」に近づいてきたと実感しています。
米国や欧州で事業拡大することは、グローバルのユニクロ事業にとって大きな意味があります。日本中心だった商品開発、情報発信がグローバルになることで、より大きなインパクトを与えることができるからです。欧米のお客様の声を起点に開発した、ウォッシャブルニットリブパンツや、ブラトップ、スポーツユーティリティウェアなどの商品は、グローバルで販売が好調でした。
2025年8月期は、大型店・旗艦店級を含め、25店舗を出店し、店舗数は100店舗を超える見込みです。東海岸と西海岸の都市部での出店拡大と並行して、新たにテキサス州へ進出しました。新規都市にテキサス州を選んだのは、Eコマース販売がニューヨーク州とカリフォルニア州に次いで第3位と、ユニクロへの需要が非常に高いためです。2024年10月に、ヒューストンの1号店を皮切りに、ダラスにも進出、計5店舗を新規出店しました。いずれの店舗も計画を大幅に上回る売上となり、改めてお客様の期待値の高さを確認できました。テキサスのお客様は、西海岸・東海岸よりも多様性に富んでいるため、次の新規都市への重要な足掛かりになります。
北米事業は、2027年8月期に売上収益3,000億円、営業利益率20%を目標に掲げています。さらにその先を見据えると、売上収益1兆円も可能です。米国だけでなく、カナダも市場ポテンシャルが非常に高いです。我々の企業理念やLifeWearのコンセプトを伝え、地域の人々に支持され、信頼されるブランドになるための取り組みや情報発信を強化していきます。そして最も重要なのは、人材の育成です。経営者マインドをもった店長・販売員を育成し、チーム一丸となって、北米市場で最も愛されるブランドをめざします。
ユニクロ ニューヨーク5番街店(グローバル旗艦店)
欧州
欧州事業が大躍進。旗艦店が成長ドライバー
2024年8月期の欧州事業*は、売上収益2,765億円(前期比44.5% 増)、営業利益465億円(同70.1% 増)と、大幅な増収増益でした。ファーストリテイリンググループの各事業の中でも、最も高い成長率を達成しました。この成長を継続し、2027年8月期には売上収益5,000億円、営業利益率20%をめざします。
欧州は洋服の発祥地であり、お客様は本質的な服の良さを求めています。欧州の文化とLifeWearとの親和性がとても高く、ブランドコンセプトへの共感が広がっていることが、業績好調の主な理由です。カシミヤ、リネンなどの天然素材の商品は、以前からお客様に支持されていますが、最近ではヒートテックやブラトップ、エアリズムなど、ユニクロが独自に開発、販売している機能性商品の売上も好調です。いつでも、どの店舗でも、欠品させない在庫管理や、整理された売場、親切なサービスも大変好評で、欧州市場ではまったく新しいタイプのリテーラーが来たと、高い評価を得ています。
欧州では、旗艦店が成長ドライバーとして重要な役割を果たしています。誰もが訪れる大都市の一等地に、ユニクロを象徴する店舗を出店することで、「我々は何者で、どういう思想で服づくりをしているのか、地域にどんな貢献をするのか」、目の肥えた欧州のお客様に、ユニクロの企業姿勢を余すことなくお伝えしています。2024年4月には、イタリアのローマに初の店舗「ユニクロ ローマ コルソ通り店」をオープンしました。ローマで屈指のにぎわいを誇るコルソ通りに面した店舗は、売場面積約1,300㎡の旗艦店です。街の伝統や建物の優美な雰囲気と調和しながら、LifeWearを多くのお客様に提供しています。
ユニクロの欧州でのシェアは0.5% 未満であり、約70兆円といわれるアパレル市場のごく一部に過ぎません。未進出の国や地域も多く、成長余地は非常に大きいです。今後は、物流や人材への積極的な投資も行いながら、年間20店舗程度を出店する計画です。
欧州では、現地を熟知するローカルの人材が、経営幹部として育っており、人材の厚みが増しているため、各国により深く入り込み、さらに個店経営も強化していきます。欧州のお客様に最も愛され、信頼されるブランドになるための努力を続けていきます。
* ロシア事業は営業を停止しているため、欧州事業に含まない
ユニクロ ローマ コルソ通り店