最終更新日: 2021.07.09
インドネシアの元ユニクロ取引先倒産に関する公正労働協会の調査結果について
株式会社ファーストリテイリング
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2019年10月、国際NGOのClean Clothes Campaignおよび、ユニクロの元取引先であり、2015年に倒産したインドネシアの縫製事業者PT Jaba Garmindo社の元従業員による労働組合は、ユニクロとの取引が同社倒産の原因となったなどとして、公正労働協会(FLA)に対し申し立てを行っていました。この申し立てを受け、FLAは詳細な独自調査を実施し、このたび調査報告書を公表しました。
公表された調査報告書では、ユニクロとの取引は、Jaba Garmindo社倒産の原因ではないことが明確に結論づけられました。調査報告書はさらに、ユニクロおよびファーストリテイリングは、Jaba Garmindo社の元従業員に金銭的な補償を行う責任を含め、この問題に関するいかなる責任も負わないと結論づけています。調査報告書の概要は以下のとおりです。
- Jaba Garmindo社の倒産は、経営陣が無責任な与信提供を受け、これにより債務超過に陥ったことなど財政的な経営の失敗によるものである。
- 工場の生産能力に占めるユニクロ発注量は、倒産前年の2014年当時10%程度であり、ユニクロはJaba Garmindo社の主要な取引先ではなかった。
- ユニクロがJaba Garmindo社への発注を停止した主要な原因は、同社製品に係る品質問題である。
- ユニクロには、Jaba Garmindo社との取引期間中に、支払い遅延や一度同社より出荷された製品の差戻し等の不適切な購買行為はなかった。
- 2015年当時および現在のインドネシア国内外の規制や国際的に認められた基準に照らしても、ユニクロおよびファーストリテイリングには、Jaba Garmindo社元従業員に対する未払い賃金や退職金の支払い義務は認められない。
なお、FLAの調査報告書はあわせて、弊社にはいかなる責任もないものの、Jaba Garmindo社と取引のあった他の19ブランドとも共同して、救済のための資金拠出の仕組み作りを行うことなどを推奨しています。報告書はまた、退職金の支払い責任が雇用主のみにあることから、解雇された労働者のための失業保険給付制度の改善をインドネシア政府に勧告しています。
これに対し弊社は、報告書が指摘しているように、本件のような問題が生じた根本的な原因はインドネシアにおける失業者保護制度の欠如にあると考え、より本質的な問題の解決に寄与するため、2019年に国際労働機関(ILO)とのパートナーシップを締結しました。このパートナーシップのもと、弊社は、インドネシアにおける公的雇用保険制度の創設、失業者向けの技能再教育プログラムの拡充、公的な職業安定事業の充実化を通じて、インドネシアの労働者の体系的な保護の強化を支援してきました。この結果、2020年11月には、インドネシア政府による失業給付を含む雇用保険制度の新設を盛り込んだ「雇用創出オムニバス法」がインドネシアで成立しています。
あわせて弊社は、将来起こりうる同様の事態から縫製産業の労働者を保護するための取り組みを進めており、定期的に生産パートナーの財務状況を把握するとともに、必要に応じて支援や助言を行っています。さらに、取引先における事業の閉鎖または倒産に際して、労働者が受けられる法的保護の水準を把握するために、生産国ごとのリスク評価を実施しています。
弊社は、今後もサプライチェーンにおいて、労働者の権利が守られ、適正な労働環境が維持されるよう取り組みを進めてまいります。
公正労働協会(FLA)調査報告書(英文)
https://www.fairlabor.org/report/jaba-garmindo-indonesia
国際労働機関(ILO)とのパートナーシップ締結について
https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/news/1909040900.html
インドネシアの失業者保護の取り組み(ILO / UNIQLOプロジェクト)について(英文)
https://www.ilo.org/jakarta/whatwedo/projects/WCMS_736748/lang--en/index.htm
本件の一連の経緯詳細は以下の通りです。
https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/news/1801180900.html