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最終更新日: 2015.01.15

中国のユニクロ取引先工場における労働環境の改善に向けた弊社行動計画について

株式会社ユニクロ
株式会社ファーストリテイリング
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香港を拠点とするNGO団体Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour(以下SACOM)が1月11日に公表した報告書にて、ユニクロ商品の生産に係わるDongguan Tomwell Garment Co., Ltd.(以下Tomwell社)および Pacific (PanYu) Textiles Limited(以下Pacific社)(※1)両社の工場における労働環境の問題点が指摘されています。株式会社ファーストリテイリングは、この指摘を真摯に受け止め、ただちに自社独自の調査を実施いたしました。その結果、指摘された長時間労働などいくつかの問題点について事実であることを確認いたしました。(※2)

株式会社ファーストリテイリング グループ執行役員(CSR担当) 新田幸弘のコメント:
「弊社では、生産現場における人権の尊重と適正な労働環境の維持を最優先課題と認識しており、この点について、SACOMと目指す方向は一致しています。Tomwell 社およびPacific社に対しては、SACOMによる報告書で指摘された問題点について早急に是正するよう強く要請するとともに、改善の実現に向けて全面的に協力してまいります。今後1ヶ月以内に、第三者機関と連携し改善状況の確認を行います。」

弊社の要請にもとづき、Tomwell社は以下の改善プログラムを実行いたします。

Tomwell社工場改善プログラム

1. 労働時間
すべての労働時間を適正に記録・報告するよう即時改善を実施するとともに、ファーストリテイリングが生産パートナー向けコードオブコンダクトで定める基準にのっとり、労働時間を削減する
今年2月以降、定められた労働時間を遵守できるよう、生産キャパシティおよび生産計画の見直しをただちに行う
2. 労働環境
政府機関による工場内の粉じん量などを測定する空気品質検査を即時実施し、結果に基づき労働環境改善の具体策を策定・実行する
上記検査結果にもとづき、工場従業員に対し、必要な保護具の着用を義務づける
工場内の整理整頓を徹底する
3. 管理方法
罰金および懲罰制度についての調査を実施、確認された場合には即時廃止する
4. 労働者代表の選任
工員組合を組織し、今年3月をめどに代表選挙と工員大会を実施する

弊社の要請にもとづき、Pacific社は以下の改善プログラムを実行いたします。

Pacific社工場改善プログラム

1. 労働時間
工場従業員の休暇日数を増やし、今年7月以降、最低週1日の休日を実現するとともに、労働時間の削減に向けたその他の取り組みを実行する
2. 労働環境
工場内の温度・湿度を含む労働環境について調査し、改善を実行する
従業員に対し、工場内での適切な保護服および保護具の着用を義務づける
3. 管理方法
罰金の徴収や処罰が行われないよう徹底する

なお、弊社が独自に実施した自社調査では、以下の通りPacific社に関するSACOM報告書の記載内容との矛盾点が明らかになっています。これらの点については、調査を継続するとともに、SACOMとの対話を実現し解明を進めていきます。

SACOM報告書と弊社自社調査結果の矛盾点

1.時間外労働に対する残業代に関しては、Pacific社は、政府の労働管理部門の認可を受け、労働時間を6ヶ月単位で計算する総合計算労働時間制が全従業員に適用されているため、土日出勤の場合も法定割増賃金は、報告書が指摘する2倍ではなく、平日と同じ1.5倍であり、この点について法令違反はない。
2.組合長による管理部門長の兼務に関しては、現在Pacific社の組合長を務めるのは、会社の総務部門の担当者であるため、組合関連法規の違反にはならない。
3.踏み台からの転落事故の頻発に関しては、2014年6月に従業員向けの安全性に関する研修を行うとともに、機械に手すりを設置しており、以降転落事故は発生していない。
4.機械からの漏電による死亡事故に関しては、弊社の聞き取り調査では病死との情報が得られた。

上記の取引先工場における改善計画に加え、弊社は、自社が取引先工場に対して実施している現行の労働環境モニタリングを強化するため、今月より段階的に以下の改善策を実行します。また、Pacific社を含む、弊社と直接的な取引関係がない素材工場に対しても、現在は実施していない労働環境モニタリングを今年2月以降順次導入いたします。

ファーストリテイリングの労働環境モニタリング強化・改善策

2015年1月~
弊社生産部との連携により以下を実施する。
生産部による工場訪問を通して、工場における記録外の残業に対するモニタリングを強化するともに、定められた労働時間に対して適切な内容(発注量、納期)で発注が行われているかを検証
工場内での事故やストライキなど労務トラブル情報がCSR部に即時共有される体制を強化
2015年2月~
現在は労働環境モニタリングの対象に含まれない素材工場に対しモニタリングを順次導入
外部監査機関およびNGOなどの第三者機関と協働し以下の改善策を実施
➢ 抜き打ち監査および工場外で行う従業員聞き取り調査の頻度を増やす
➢ 従業員による団体交渉権行使を支援
 従業員代表者の民主的な選出、定期的な労使間交渉の実施を監査基準に含む
 工場経営者および工場従業員に対し、労働者の権利に関する研修を提供
2015年3月~
NGOや他の第三者機関との連携により、工場従業員がファーストリテイリングに対し、工場の労働環境に関する問題を直接告発できるホットラインや、緊急時に工場従業員を保護する制度を順次導入

ファーストリテイリンググループでは、生産現場における労働者の雇用の維持と同時に、労働者の人権が尊重され、適正な労働環境が維持されることを重視しています。今後、SACOMおよびSACOMが連携する他のNGOに対し、弊社の行動計画について直接意見を交換する機会の実現を働きかけてまいります。

※注釈

1. Dongguan Tomwell Garment Co., Ltd. は、中国広東省でユニクロ商品の縫製を請け負う縫製工場、Pacific (PanYu) Textiles Limited社は、縫製工場に素材を提供する素材工場です。
2. 昨年末にSACOMによる報告書の内容を把握した弊社は、この内容を重く受け止め、ただちに当該2工場に対して独自の調査を実施いたしました。この結果を踏まえた当社のこれまでの対応については、1月11日付の弊社ステートメントをご参照ください。
https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/news/1501112000.html