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最終更新日: 2015.02.18

取引先工場労働環境改善に向けた新たな取り組みについて

株式会社ユニクロ
株式会社ファーストリテイリング
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株式会社ファーストリテイリングは、2001年にCSR(企業の社会的責任)の取り組みを開始して以降、CSR活動を事業との両輪と位置づけ、積極的に推進してきました。弊社のCSRは、社会貢献活動、環境保全活動をグローバルに展開するとともに、サプライチェーン全体における人権の尊重、労働環境の改善を最優先課題のひとつとしております。

工場の労働環境に対する社会的関心が高まる中、2004年には「生産パートナー向けのコードオブコンダクト(CoC)」を制定。これにもとづき、新規取引先および継続取引を行っているすべての取引先縫製工場を対象に、以下のプロセスによる定期的な労働環境のモニタリングを行なっています。

ファーストリテイリングの労働環境モニタリング

I. 事前モニタリング
全ての新規工場に、外部専門機関がCoCを基準に適切な労働環境であるかを確認
事前モニタリングに合格した工場はCoC遵守に同意する署名を提出
II. 定例モニタリング
全ての取引先工場に対し、外部専門機関が原則年2回の監査を実施
III. 評価
定例モニタリングの結果を自社基準によりA~Eの5段階で評価し、児童労働など特に深刻かつ悪質なケースはE評価として即時取引を見直し
IV. フォローアップモニタリング
定例モニタリングの評価に応じて1ヶ月から半年以内にフォローアップモニタリングを実施、継続的に改善状況を確認
C、D評価の場合、工場ごとの改善プログラムの策定、実行をファーストリテイリングCSR部が生産部および工場と連携し改善にコミット
Ⅴ. 取引見直し
最終的に改善できない場合、工場の経営や雇用状況を勘案した上で、取引を見直し

また、直接取引関係のない素材工場に対しては、「素材工場向け環境基準」に則り、環境負荷の低減を目的とした環境モニタリングを実施しています。

今年1月より、生産部門と協働で取引先工場の適切な労働時間の確認を行うとともに、適正な労使間交渉が可能な環境づくりや、サプライチェーン全体における包括的な労働環境の改善に向けた取り組みを以下の通り進めています。監査手法の改善や工場向け研修など具体策の実行部分では、専門性を有するNGOやその他第三者機関との協働を推進します。

工場労働環境改善に向けた追加施策

1. 素材工場への労働環境モニタリング導入
2015年3月中をめどに、従来は労働環境モニタリングの対象外だった素材工場に対し、ユニクロの全生産量の30%を占める主要工場の労働環境モニタリングを先行実施
2016年3月末までにユニクロの全素材工場で実施完了
2. 監査手法の改善
抜き打ち監査の拡大
➢事前予告のない抜き打ち監査や工場外での従業員への聞き取り調査を2015年から
全取引先工場に拡大することで、改善・強化策の有効性を継続的に確認
従業員ホットラインの先行導入
➢工場従業員が労働環境に関する問題を直接ファーストリテイリングに告発できる
ホットラインを2015年3月から構築・運用開始
3. 工場および労働者向け研修の導入
すでに一部を対象に外部専門機関との連携による工場管理職向け研修を実施済み
2015年5月以降、継続取引のある工場に対し、経営者および従業員それぞれを対象に労働者の権利に関する研修を順次導入。1年以内に主要工場に対する研修を完了

さらに、弊社としての取り組みに加え、ノウハウや知見の共有を目的とした業界団体との連携も強化してまいります。ファーストリテイリングはこれまでにも、バングラデシュのラナ・プラザビル崩壊事故を受けて締結された「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」や、世界の主要アパレル・フットウェアメーカーが、グローバル規模で環境や社会に及ぼす影響の削減を目指す団体Sustainable Apparel Coalition(SAC)に加盟しています。

株式会社ファーストリテイリング グループ執行役員(CSR担当) 新田幸弘のコメント:
「生産現場における人権の尊重と適正な労働環境の維持は、弊社だけでなくアパレル産業全体にとって最優先課題であると認識しています。企業がこうした課題の解決を目指すうえで、自社のサプライチェーンの枠組みを超え、他の企業やNGO、国際機関、そして社会全体と協働していくことが不可欠になっています。今後は、これまでの弊社のプログラムを発展させるとともに、業界内で取り組みのノウハウや知見の共有を進め、アパレル産業全体の工場労働環境の継続的な改善に向けて主導的な役割を果たしてまいります」

 

【参考資料】

中国のユニクロ取引先2工場における労働環境改善計画の進捗

香港のNGO Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour(SACOM)が今年1月11日に公表した報告書で、中国でユニクロ商品の生産に関わる2工場の労働環境の問題点が指摘されたことを受け、弊社は両工場の改善計画策定から1ヵ月時点での計画の実行・進捗状況を確認する追加調査を実施いたしました。2月13日時点の結果は以下の通りです。

今後も引き続き、2工場および弊社サプライチェーン全体の労働環境の継続的な改善に向けて取り組みを進めてまいります。

改善計画項目Tomwell社工場改善進捗Pacific社工場改善進捗
労働時間
生産キャパシティおよび生産計画の見直しを実施し、全工程の従業員の労働時間をファーストリテイリングが定める規定内に削減
1月より全従業員が平均週1日の休暇を取れるようシフトを調整、運用開始済み
3月以降、数百名規模の人員増強を行うことで生産量を維持しつつ、持続的に労働時間を抑制できる体制を構築
労働環境
政府機関認定業者による工場内の粉じん量などを測定する空気品質検査を実施済み。3月初旬までに提出される検査結果にもとづき、追加対応策を3月中に策定・実施予定
全工程で年間を通して工場内気温を一定に維持もしくは一定温度を超えた場合に通気性を確保する規定を導入済み
通気性改善のため染色・仕上工程で窓の改良工事を実施中、4月末までに完了予定
安全性と防護服・防護具の必要性について工場労働者への研修を導入済み
管理方法
当社チームおよび外部監査機関による100名以上の工場従業員への工場内およびオフサイトでのインタビュー調査にもとづき、罰金制度が存在しないことを確認済み
実質的に罰金制度として機能していたインセンティブ制度の廃止に向け賞与規定の見直しを実施中。3月末までに規定の改定を行い、4月末までに全工程への導入を目指す
労働者代表の
選任
2015年末までに第三者専門機関による工場労働者に対する労働法研修を段階的に実施するとともに、経営者と労働者が定期的に協議できる仕組みを導入予定

*1月15日付の弊社ステートメントで示したSACOM報告書の内容と弊社調査結果との矛盾点については、弊社見解の根拠を提示し、SACOMとの対話を通じた解明を進めております。

 

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