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質疑応答の概要

最終更新日: 2025.10.14
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2025年8月期 通期:決算説明会 Q&A

決算説明会の主なQ&Aのテキストです。内容はご理解いただきやすいよう、部分的に加筆・修正しています。

Q1: 
ユニクログレーターチャイナについて、業績は底打ちしましたか。構造改革の手応えを教えてください。
A1: 
塚越 株式会社ファーストリテイリング グループ上席執行役員 COO:グレーターチャイナは、チャンスは見えてきたと思います。ブランド認知の向上、来店や購買動機を喚起するために、マーケティング、ブランディング、質の高い出店、Eコマース、物流などをすべてつなげていく必要があると思いますし、その構造改革はまだ道半ばだと思います。
8月、9月は前年同月比で若干の増収となりましたが、10月の国慶節は、前年同月の売上を下回りました。華東地区、華南地区は、気温が非常に高かったため、販売に苦戦しました。一方、華北地区は、非常に好調な売上でした。このように、中国大陸では、地域によって売上が大きく異なりますので、個店経営を追求していく必要があります。中国大陸全土で一律の商売をするのではなく、個店、地域ごとのお客様のニーズや気候を踏まえて、個店経営を追求していかないと、一時の数字の改善だけでは、本質的な改善にはならないと思います。引き続き、CEOの潘をはじめ、グレーターチャイナのメンバーと、グローバルヘッドクオーターのメンバーが全力を注いで、業績改善と構造改革をやり遂げていきたいと考えています。
Q2: 
「北米でブームを起こす」と塚越さんが話されていましたが、ユニクロ北米事業の売上1兆円に向けたブレークスルーを教えてください。
A2: 
塚越 グループ上席執行役員 COO:コロナ禍前、北米事業が赤字で苦戦していた時、値引きを使って売上額を追求していました。コロナ禍は不幸な出来事でしたが、我々にとっては、自社都合の商売を、大きく構造改革するチャンスになりました。持続的に成長するためには、ブランドを支持・信頼していただくことが重要です。そのため、この数年間は、継続的なマーケティング活動に集中したことが、現在の好業績につながったと考えています。
北米でのユニクロの市場シェアは、まだ0.5%未満です。ほとんどのお客様が、ユニクロのブランドやLifeWearを知らないですし、我々の商品を着たことがないと思います。お客様一人ひとりに、どのように商品を提供していけるかが、今後の成長のポイントです。そのために、旗艦店戦略やEコマースの成長、物流の改革が重要です。1枚1枚、1店舗1店舗の積み上げがない限り、売上1兆円はありませんので、愚直に継続して取り組んでいきたいです。

柳井 株式会社ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長:全世界でブームが来ている、あるいは、来るのではないかと思います。現在のように、世界中でこれだけ売れるのは、今までなかった現象です。我々が画期的に成長できたのは、原宿店から始まったユニクロのフリースブームがあったからです。原宿店の成功で、日本における全国ブランドになりました。現在、それと同じことが、世界で起きていると考えています。ブランドや商品をお客様に知っていただかない限り、成長はありません。ブームになっていることで、今後、ユニクロを知っていただくお客様がさらに増えれば、ありがたいと思います。
Q3: 
今後、北米で旗艦店戦略をさらに強化するのでしょうか。
A3: 
柳井 会長兼社長:旗艦店戦略も重要ですが、意味のある店舗を出店すること、そこでお客様にお買い物体験をしていただくことが、重要だと考えています。リアル店舗やEコマースでのお買い物体験を通して、ユニクロとはどういうブランドかを、お客様に感じていただくための商業活動を続けていきます。
Q4: 
Q:2026年8月期のユニクロ中国大陸事業は増収増益予想ですが、その背景と課題を教えてください。
A4: 
柳井 会長兼社長:2025年8月期は、前年対比で減収減益となりましたので、2026年8月期は、増収増益にすることが、最低限の目標です。希望としては、もっと伸ばしたいと思います。中国大陸は国土が広いので、サプライチェーンやEコマース、生産と販売を直結させる体制を、基本に返って再度やり替えることが必要です。そして、一番大事なことは、個店経営とSKU管理だと思います。個店経営を実現することで、お客様が欲しい色、欲しいサイズ、欲しい商品が、確実にその店舗やEコマースにあって、買ってくれと訴えているような売り場をつくることです。

塚越 グループ上席執行役員 COO: 中国大陸でのユニクロ会員は9,000万人いて、2025年8月期は、新たにユニクロ会員が約1,350万人増加し、その内、若年層のお客様が4割以上です。このように、中国大陸でお客様からの支持を得ていることが、我々の原動力になっています。
一方で、チャレンジは、お客様一人ひとりのご要望に応えていくことです。例えば、販売に苦戦している華東地域では、気温が高い時に必要な実需の商品をお客様に提供すべきですし、華北地域では、一気に気温が下がったなかで、商品構成が実需とマッチしたため、足元で販売が好調です。個店経営の追求というのは、本部が店舗を管理するのではなく、店長が1店舗1店舗に合った商売をしていくことです。店長の成長が、結果的に事業全体の業績を上げ、お客様からの支持の拡大につながると思います。これを継続していきたいと考えています。
個店経営への転換が徐々に進んでいることや、ブランド認知度がアップしていること、そして、我々が戦略的に打ち出した商品の販売が好調で、チャンスが見えてきた単品が増えてきたことが手応えにつながっています。UVカット商品がCCTV(中国中央電視台)で取り上げられた事例も含めて、今後も商品への支持を増やしていくことが必要だと思います。
Q5: 
国内ユニクロ事業における価格戦略を教えてください。
A5: 
岡﨑 株式会社ファーストリテイリング 取締役 グループ上席執行役員 CFO:お客様は価格に対して、非常にシビアである環境は変わりません。我々の調達に使用する為替レートが円安傾向であることに加え、原材料価格も上がってきています。利益を確保するためには、商品一つひとつ、価値と価格のバランスを見直しながら、価格の適正化をある程度進める必要があります。ただし、お客様が価値を本当に感じていただける商品に絞って、対応していきます。
Q6: 
2026年8月期の海外ユニクロ事業が業績を伸ばす上で、リスクと機会を教えてください。
A6: 
塚越 グループ上席執行役員 COO:既存の市場で、ブランド認知が大きく拡大し、ファンのお客様が増えていることは、我々にとって大きなチャンスだと思います。また、日本だけでなく、海外でも売れる商品は共通しています。グローバルのお客様の声をもとに、商品を開発し、提供していくことで、業績を伸ばすチャンスがあると思います。
一方で、課題は、適正な在庫を各事業・各店舗で、もつことだと思います。販売が好調な商品は、しっかり在庫を確保し、売上を拡大すると同時に、不振商品は在庫を極小化することが重要です。そして、商品の価値をお客様に伝え、値引き販売を抑制することで、利益も確保していきたいです。
また、目先の売上だけでなく、お客様にリピーターになっていただき、最終的にファンになっていただきたいと思います。1回だけのお買い物ではなく、継続してご来店いただくことが重要です。商品の進化やアップデートポイントを、常時、お客様に伝えないと、既存のお客様のつなぎとめや、新規のお客様の創出につながりません。これらをグローバルで継続して実施していきます。
Q7: 
国内ユニクロ事業で、今後のさらなる改善余地があれば教えてください。
A7: 
塚越 グループ上席執行役員 COO:改善ポイントは、在庫の欠品と過小だと思います。毎月、お客様からのお問い合わせをグローバルで数百万件頂きますが、在庫の欠品に対するご不満は、まだゼロになっていません。こうしたご不満を解消していくことが、次の成長につながると思います。
日本ではユニクロのブランド認知が高く、多くのお客様にご来店いただいており、感謝しています。一方で、それが継続する保証はどこにもありません。我々の商売の原点は、「顧客の要望に応え、顧客を創造する経営」だと思いますので、お客様からのご不満を改善することに加え、お客様が潜在的に求めているものをご提供することが、次の顧客を創造する経営につながると思います。ヒートテックカシミヤをはじめとする商品の進化をお客様にご体験いただき、デファクトスタンダード(事実上の標準)になっていくことが、日本市場で必要だと思います。そのため、こうした商品を、スピードをもって開発し、お客様に提供していかなければならないと思います。
Q8: 
ヒット商品の開発は軌道に乗っていると思いますが、さらに強化するために何が必要ですか。
A8: 
柳井 会長兼社長:お客様の評価を上げることだと思います。現在は、デジタルやAIの時代です。全世界の評価が瞬時に伝わり、それがAIやSNSを通じて増幅されます。そのため、お客様の視点に立って、お客様が評価している点をさらに強化し、価値の創造をもっと貪欲にやっていくことが必要だと思います。
Q9: 
ジーユー事業は今後、どのような変化を期待できますか。
A9: 
柳井 会長兼社長:ジーユーには、もっとファン(楽しい)がないといけません。楽しい売り場、楽しい商品、新しいファッションなど、「ジーユースタイル」がもっと必要です。それを再定義するということに加え、商品にも今の時代の雰囲気がないといけません。売れる商品は、全世界で共通しています。ジーユーは、今まで日本や、東アジアの一部だけで商売をしてきましたが、今後は、いかにグローバル化を進め、世界で通用するファッションや、服を着る楽しさを作り出していくか、そして、情報から商品をつくるスピードをいかに上げていくかが重要だと思います。
Q10: 
定款の一部変更により、取締役の定員を現行の10名以内から15名以内に変更したこと、および塚越氏が取締役候補になられた背景を教えてください。また、その上で、創業家としての立ち位置を教えてください。
A10: 
柳井 会長兼社長:今から世界中で事業を拡大するということは、ライバルが増えるということです。デジタルや製造業、物流など、すべてが好敵手になります。その中で勝つためには、人材の質が重要です。店頭の販売員も含め、人材の質を上げなければいけません。我々は「グローバルワン・全員経営」という、全員が経営者のつもりで仕事をすることを掲げています。特に経営幹部は、本当に正しい考えをもった優れた人たちの集団にする必要があります。人材の獲得競争に勝ち抜き、我々の考え方に共鳴して、入社していただかなくてはなりません。そのためには、取締役自体を、優秀な人の中から選ぶ必要があります。現在の取締役は、自分がその典型ですが、男性で比較的高齢の方が多いです。今後は、女性や若い人が入ってこなければいけません。次の時代をつくる人が入って、活躍できる状況をつくりたいと考えたため、取締役の定員数を変更しました。塚越が取締役候補になったのは、有資格者の1人だからです。
創業家に関しては、私の息子は経営者ではなく、株主として会社のガバナンスを担ってもらいたいと考えています。

以上  

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