最終更新日: 2025.04.15
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2025年8月期 第2四半期:決算説明会 Q&A
決算説明会の主なQ&Aのテキストです。内容はご理解いただきやすいよう、部分的に加筆・修正しています。
- Q1:
- ファーストリテイリングのデジタル業務変革がうまくいっている理由と、今後の伸びしろ、注目するべきKPIを教えてください。
- A1:
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丹原 グループ執行役員 CIO:現場で業務変革を進めるなかで、計画するだけはなく、失敗も含めて、繰り返し実行し、できるまでやり切ることを重視しています。これが、ファーストリテイリングの強みです。
今後の伸びしろは、海外事業だと思います。現在、事業が海外に拡大するなかで、海外事業も含めて、我々のめざすグローバルワン・全員経営、すなわち、世界で「最も良いやり方」を実行しなければいけません。日本だけでなく、現在、成長している欧米や、その他の国も含めて、現場の状況を理解し、「最も良いやり方」をつくることが必要です。その観点で、2022年から米国にもGHQ機能をもち、現在、私自身も欧州に赴任して、欧州から世界を見るということを行っています。
岡﨑 取締役 グループ上席執行役員 CFO:KPIに関しては、1つ目は、在庫回転率です。SKU単位で在庫管理を強化することで、在庫の回転が良くなると思います。2つ目は、人時生産性です。報酬を上げながら、売上を拡大していくことで、人件費比率を抑制していきます。また、営業利益率に関しては、将来に向けての投資が先行する時期もあれば、一時的に利益率が高まる時期もあると思いますが、目標としては20%をめざしつつ、15%から20%の範囲内を維持し、着実に事業を成長させていきたいです。
- Q2:
- 米国政府が発表した追加関税、相互関税について、グループ全体の下期の事業利益への影響が2~3%と試算を開示していますが、その前提を教えてください。
- A2:
- 岡﨑 CFO:影響額は、4月2日(米国時間)に、米国政府が発表した税率がすべて適用されること、下期は米国で商品価格の値上げを行わないという仮定のもと、保守的に試算しています。2025年8月期下期は、在庫の相当量が、既に米国内に入庫しているため、下期の事業利益への影響額がグループ全体で2~3%と、限定的になっています。来期については、状況が非常に流動的になっており、断定なことは申し上げられません。米国事業における商品の生産地は、東南アジアが中心です。東南アジアの国々に対する関税によっては、業績に大きな影響を受ける可能性があることをご理解ください。今後、どのような状況になっても適切に対応していきたいと考えています。
- Q3:
- 今後の生産地や価格戦略など、関税への対応策を教えてください。
- A3:
- 柳井 代表取締役会長兼社長:我々は生産調整ができますので、生産地は、「チャイナプラスワン」ではなく、「アジアプラス アジア内におけるチャイナ」に変わってきていると思います。そのため、生産地を柔軟に変更することも含めて、関税に対応していきます。価格に関しては、適正であることが最も大事です。お客様が我々の商品に対して、適正と思っていただける価格にし、我々のブランドを現地でさらに浸透させていきます。今、お客様は、良い会社、良いブランド、あるいは良い販売員から良い商品を買いたいと思っています。そのために、お客様が欲しい商品がいつでも品揃えられていることが必要です。業務改革を行っていくこと、そして、その基本が人材ですので、人材に投資を行っていきます。
- Q4:
- ジーユーの今後の可能性について、ユニクロ グローバルCOO、CIO、人事担当の立場から教えてください。
- A4:
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若林 グループ上席執行役員 ユニクロ グローバルCOO:ユニクロの立場から見ると、ジーユーは、非常にポテンシャルがあると思います。商売や経営を行う上で、会社が変わっても普遍的に通用する価値観や考え方があります。ファーストリテイリングのモットーでいえば、お客様のご要望に応えるということです。お客様が出発点であり最終到達点であるため、個店経営、SKU経営、グローバルワン・全員経営を行って、お客様の期待に応えていかなければなりません。また、小売業はピープルビジネスであるため、人材が最も重要ですし、1枚、1枚、1店舗、1店舗が売上をつくるスモールビジネスなので、基本の徹底も重要です。ジーユーが、個店経営、SKU経営、グローバルワン・全員経営を、ユニクロと同等かそれ以上の水準で磨き上げられれば、ユニクロにとっての大きなライバルになっていくと思います。
丹原 CIO:ジーユーには、大きな成長のポテンシャルがあると思います。その上で、核となるのは、私のプレゼンテーションでも説明したように、グローバルワン・全員経営です。ユニクロが、うまくできた部分や「最も良いやり方」は、当然、ジーユーでも通用すると思います。ジーユーらしさを磨くと同時に、グローバルワン・全員経営という本質の部分を磨いていけば、今以上に良くなると思います。
寺師 グループ執行役員 人事担当:私はジーユーの存在意義を確立しなければいけないと思います。お客様から見て、ジーユーとは何か、ジーユーの店舗に行けば何が手に入るのか、ということをしっかり伝わるようにしなければいけません。そのためには、商品やマーケティングなどが、すべて連動して仕事をしていく必要があります。人材に関しては、ジーユーは、経営者と社員が今以上に一緒に働き、教育をしていく必要があります。ジーユーには優秀な社員は多くいますので、成長できる余地があると感じます。私も、ジーユーの経営者と一緒に事業改革を進めていきたいと思います。
- Q5:
- ユニクロ 中国大陸事業が進めている事業構造改革のスピードがさらに速まる可能性や、遅れるリスクがあれば教えてください。
- A5:
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若林 ユニクロ グローバルCOO:私はユニクロに入社して約30年がたちますが、日本の市況はずっと良くなかったと思います。その状況でも、ユニクロも含めて成長する企業と、成長できない企業がありました。そのため、現在の厳しい環境でも、常にピンチはチャンスだと思います。中国大陸は、国土が広いため、日本以上に気温、気候、客層、店舗ごとの環境などが違います。そのなかで、「顧客の要望に応え、顧客を創造する経営」が重要です。お客様を起点に考え、適切な商品の品揃え、売場、在庫、お客様へのコミュニケーションを、個店レベル、SKUレベルで丁寧に行うことが何よりも重要だと思います。現在、国内ユニクロ事業の業績が好調な理由は、個店経営、SKU経営、グローバルワン・全員経営といった、基本的なことを再度徹底しているためです。
事業を行う上で、リスクは常にあります。中国大陸のユニクロ事業も、リスクに立ち向かっていくチームや個人が、個店経営、SKU経営、グローバルワン・全員経営を日本よりも突き詰めて、正しい方向で努力すれば、国内ユニクロ事業よりも、より大きな効果が実現できますし、大きな成長のチャンスがあるマーケットだと思います。
- Q6:
- 欧州のユニクロ事業の成長ポテンシャルを改めて教えてください。また、欧州の2025年8月期通期の出店予想数が、期初の15店舗から10店舗に減少した理由を教えてください。
- A6:
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岡﨑CFO:現在、欧州の業績が伸びている理由は、既存のお客様がリピーターになっていただいていることに加え、口コミなどの評判が評判を呼ぶことで、新規のお客様がさらに流入する良いサイクルが起きているためです。欧州全体でユニクロブランドの知名度が上がってきたことで、新規に出店をすると、早い段階で新しいお客様が利用してくださり、既存顧客のベースができあがっていきます。欧州事業では、そのような顧客層の拡大、顧客の創造が、事業拡大の非常に良い循環を起こせていると思います。この良い循環を続けていくことができれば、欧州には大きな需要があると、手応えを感じています。
新規出店も積極的に行っていきたいと考えていますが、通期の出店予想数を下げた理由は、期ズレによるものです。積極的に出店を行いつつ、出店数を追うのではなく、質の高い出店を続けることが重要だと思います。
- Q7:
- 欧州では若年層のお客様が増加しているという傾向に変化はありますか?
- A7:
- 岡﨑CFO:若年層の方に新規で流入している状況は、今も続いています。ただし、ユニクロは、あらゆる人に寄りそう服として、MADE FOR ALLがコンセプトですので、特定の顧客層のみに強いということではなく、あらゆるお客様層に買っていただけています。
以上