最終更新日: 2024.04.16
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2024年8月期 第2四半期:決算説明会 Q&A
決算説明会の主なQ&Aのテキストです。内容については、ご理解いただきやすいよう、部分的に加筆・修正しています。
- Q1:
- 欧州のユニクロ事業が仮に売上1兆円をめざす上で、出店戦略はどのように考えていますか。
- A1:
- 守川 グループ上席執行役員 ユニクロ欧州 CEO:1兆円は十分に達成可能だと思います。欧州の1店舗当たりの売上高は非常に大きく、売れる商品は国や都市によって異なります。私たちは本当の意味での個店経営をまだ実現できていないため、売上成長のポテンシャルは大きいです。今後は、売上成長に耐え得る大きな売場面積の店舗をつくることで、今以上の1店舗当たり売上高を実現できると思います。また、店舗の数以上に店舗の質が重要です。良い立地に、ユニクロのブランドを体現できる店舗を出店していくことが一番の近道だと思います。私は、日本で約10年間の営業の経験や、他の国の成長も見てきた中で、必ずブームが起こるタイミングが来ると思っています。その時に必要なものは、いかにお客様の信頼を勝ち得てきたか、いかにブランドに安心感をもっていただけるかということに加えて、店舗数だと思います。そのタイミングが来るときに備えて、現状をさらに磨き上げていきたいと思います。
- Q2:
- 欧州で29歳以下のお客様や女性のお客様が増えていますが、北米も同じ傾向ですか?
- A2:
-
守川 グループ上席執行役員:欧州の2019年8月期のウィメンズの売上構成比は45%と、半分以下でした。欧州のアパレル市場はウィメンズの規模が大きいため、明確に目標を定め、若年層や女性のお客様にアプローチを強化してきたことで、2023年8月期のウィメンズの売上構成比は52%を実現しました。
岡﨑取締役 グループ上席執行役員 CFO:欧州も北米も好調な業績の背景にある基本的な構造は、共通しています。欧州は、ラウンドミニショルダーバッグのヒットにより、若年層や女性のお客様が増え、リピーターになっていくという循環が起きました。北米は、欧州に比べると、特定の層ではなく、全般的にこの数年で新規のお客様が増加し、リピート比率が高まっています。
- Q3:
- 下期の事業方針で、「各国・各地域のお客様の生活ニーズに根差した商品構成の確立」が挙げられています。現在はどのような手応えがありますか?
- A3:
- 岡﨑CFO:東南アジアは、上期の商品構成が秋冬商品に偏り過ぎたという反省がありました。来上期は、常夏の東南アジアでも、お客様に楽しんでいただけるような通年商品や夏物商品の開発を強化していきます。東南アジア以外の国も、暖冬傾向にあるため、この下期では、シーズンの後半に新しさがあり、ニュース性がある夏物商品を投入できる余地が広がっていくと思います。また、日本は、2023年12月は暖冬で販売に苦戦しましたが、例えば、比較的長い期間着ていただけるアウターを増やすなど、商品構成の見直しに着手しています。こうした打ち手の効果がうまく来上期に現れてくると期待しています。
- Q4:
- グレーターチャイナの2024年8月期通期の出店予想が、前回(1/11)に発表した80店舗から、今回(4/11)は55店舗に減少しています。中国大陸でスクラップ&ビルドを計画している店舗数や、かかる期間の想定に変化はありますか?
- A4:
- 岡﨑 CFO:現在、集中的に進めているスクラップについては、今後、約3年間をめどに考えています。この下期は、出店する店舗の質にこだわっているため、一時的に出店数が減少しています。今後の約3年間は、まとまった数のスクラップを実施するため、店舗の純増数は少なく見えるかもしれませんが、出店の目線は下げていません。欧州の成功例にもあるように、店舗の質が非常に重要です。出店する店舗の質を上げながら、店舗数も純増させていきたいです。
- Q5:
- キャッシュが積みあがっていると思いますが、今後の投資と還元の考え方を教えてください。
- A5:
- 岡﨑 CFO:配当性向は3分の1程度を維持し、確実に株主の皆様に還元しながら、売上5兆円、10兆円をめざす上での、リスクテイクもしなければいけないと思います。また、サプライチェーン、IT、デジタル領域の組織力の強化など、ビジネスシステムへの投資は、今後も必要になってくると思います。まずは、そうした投資を優先し、成長の道筋をしっかりつくることに注力していきます。その上で、さらに資金に余力がある場合は、あらゆる手段を考えながら株主の皆様に還元していきたいと思います。資本コストを大きく上回るROEを上げて、企業価値を高め続けていくことは、当然の責務だと思っています。
- Q6:
- 成長戦略におけるM&Aの位置付けを教えてください。
- A6:
- 柳井会長兼社長:過去に買収した企業は、買って良かったと思います。買収したことで、その企業がある国のビジネスに入り込むことができ、海外ユニクロ事業の成長にも貢献できています。
- Q7:
- 上期に中国大陸が苦戦した要因は、主に外部環境によるものでしょうか。
- A7:
- 岡﨑 CFO:中国大陸が上期に苦戦した理由は、外部環境半分、内部要因半分だと思います。内部で改善できることは、まだたくさんあります。中国大陸は非常に広いため、それぞれの地域特性に合った商品構成が構築できていたか、各地域で旗艦店となるような店舗を出店し、ブランディングを強化できていたか、個店経営はできていたかというと、まだ反省が多いです。私たちの強みは、お客様の信頼を裏切らないこと、店舗に来ていただいた時に欠品なく欲しい商品があることだと思いますが、中国大陸では、欠品についても改善の余地があります。市場環境としては、商戦時期に需要が大きく盛り上がる一方で、全般的にお客様の財布のひもは固くなっています。そのような環境の中で、いかにお客様に選ばれ続けるかが重要です。本日お話しした戦略を実行することで、お客様の期待に応えていけると思います。
- Q8:
- ファーストリテイリングだからこそ、現地人材が育っている要因はありますか?経験を踏まえて教えてください。
- A8:
- ニコリーナ スウェーデン&デンマークCOO:要因は大きく3つあります。まず1つ目に、企業理念がユニークだからです。ユニクロに入社を希望する理由として、「取り組んでいることに本当に感心しているから」、「商品がすばらしいから」、「共感するから」という答えが多いです。企業理念のおかげで、良い人材が入社しています。2つ目に、店舗の一人ひとりが、本当に経営者マインドをもって、働いているということです。これも非常にユニークなことです。私は毎日、店舗の店長やスタッフに、「何が売れると思いますか?」、「どうやったら売れますか?」、「どの色が売れますか?」、「何着売れますか?」、「商品をどう見せたらいいですか?」など、具体的な質問をしています。私たちがめざす個店経営につながりますが、店長、スタッフの一人ひとりの意見が商売に反映されることは、他の企業ではありません。3つ目に、私たちのユニークな育成、研修の仕組みです。例えば、スカンジナビアでは、スタッフに対して3カ月に1回昇格できるチャンスがあります。会社と価値観が合い、本気で成功したいと思う人材には、無限の機会が与えられると言っても過言ではありません。これらが、私たちの独自性であり、非常に有能な人材を獲得し、成長させるいい循環になっていると思います。
- Q9:
- 欧州のお客様に対して、ユニクロの良さはどの程度伝わっていますか。改善の余地はありますか。
- A9:
- ニコリーナ スウェーデン&デンマークCOO:お客様にブランドの価値を理解し、納得していただくためには、商品を直接、体験していただくしかありません。いかに新規のお客様を増やすかが、私たちの仕事だと思います。新規のお客様が増えていることが、今の事業拡大期に起きていることであり、大きなチャンスだと思います。柳井は、「LifeWearは、お客様が選んでくださって初めてLifeWearになる」ということを自身の著書の中に書いています。そのために最も重要なことは、お客様が本当に欲しいと思う商品を適切にご用意することです。地元のお客様のニーズを本当に理解しているか、商品構成がお客様のライフスタイルのニーズに合っているか。これらは個店経営と同じで、私たちの学びには終わりはありません。お客様との距離を縮めるために、何度も何度もそれを繰り返し、精度を上げていくことが基本であり、重要だと思います。
- Q10:
- グレーターチャイナについて、1月、2月に販売に苦戦した要因を教えてください。
- A10:
- 岡﨑 CFO:1月、2月の販売に苦戦した理由の一つは、天候要因です。1月は天候の変化が非常に激しかったため、厳しい商売でした。私たちは実需の商売ですので、気温が短い期間で大きく上下したことで、春物商品の立ち上げに苦戦しました。お客様も春物を買うべきか、冬物を買うべきか迷われるような気候だったと思います。2月の春節商戦で売上は回復しましたが、1月、2月を通して見ると、売上は想定したほどではありませんでした。気温が高くなるにつれ、売上も戻ってきているため、構造的に厳しい状況になっているわけではありませんが、お客様の財布のひもが固くなっていることは事実なので、お客様に選ばれるブランドになるための努力を続けていきます。
以上