最終更新日: 2023.10.17
to English page
2023年8月期 第4四半期:決算説明会 Q&A
決算説明会の主なQ&Aのテキストです。内容については、ご理解いただきやすいよう、部分的に加筆・修正しています。
- Q1:
- 欧米について、今後の顧客層の拡大や、出店の手応えを教えて下さい。
- A1:
-
柳井 株式会社ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長:今ほど世界中で同じ時代、背景や同じトレンドがある時代はないと思います。個人個人でスマートフォンを持っていることで、情報が瞬時に世界に行き渡るようになりました。今ほどグローバル展開がやりやすい時代はないと思います。世界中のどこでも、一定の人口と、服自体を大切にする価値観があれば、絶対に成功すると思います。
塚越 株式会社ファーストリテイリング グループ上席執行役員、株式会社ユニクロ 代表取締役 社長兼COO:北米市場は、世界の中でもすごく競争が激しい市場ですので、決して楽な商売ではないと思います。そのため、北米でチャレンジし続けることは、グループ全体にとって意味があることです。昨年4月の決算説明会で、北米事業は、事業構造改革によって赤字から脱却して、黒字になったことをお伝えしました。今はさらに成長していくタームに入ってきています。より一層ブランディングを強化して、お客様にファーストリテイリングという企業自体を支持していただくことが必要だと思います。また、出店については、やみくもに出店するのではなく、意味がある立地を厳選して出店していきます。これらが、今後、北米事業がすべきことだと考えています。
- Q2:
- 北米市場の顧客層の特徴を教えて下さい。
- A2:
- 塚越 グループ上席執行役員:我々の商売のコンセプトの原点は、MADE FOR ALLです。すべてのお客様に、我々のベーシックで高品質な商品を着ていただいて、より豊かな生活を送っていただきたいというのがLifeWearの考え方です。そのため、特定の顧客層に絞って商売をすることは考えていないです。それが我々のビジネスの根幹にある考え方です。そのコンセプトを理解いただくために、いろいろなお客様層にリーチしていかないといけないと思います。そのために、ニューヨーク5番街にグローバル旗艦店がありますし、マンハッタン南のソーホーにもグローバル旗艦店があります。これらの店舗は、ただ売上を上げるだけでなく、ブランディングや情報発信、お店で体験する場としての役割も担っています。これらの店舗を通して、北米市場にとどまることなく、グローバルに情報発信することは、結果的にグループ全体にとって、中長期的に非常にポテンシャルがあると考えています。
- Q3:
- 中国大陸は、マクロ環境が弱い印象がありますが、今後、業績への影響はありますでしょうか。
- A3:
- 柳井会長兼社長:私は、人々が豊かになりたい気持ちは全世界同じだと思います。過去数十年間、日本は決して順調ではありませんでしたが、その中でも我々は成長してきました。中国大陸でも同じことができると思います。我々の産業は平和産業で、共存共栄の中で成長していきます。MADE FOR ALLが根幹にある考え方ですので、需要はまだ多くあると考えています。
- Q4:
- 柳井さんから見た経営者としての塚越さんの魅力を教えて下さい。
- A4:
- 柳井会長兼社長:事業に対して責任感があることが第一です。米国のCEO、中国大陸のCOOも歴任し、FR MIC(FR Management and Innovation Center)という我々の教育機関の責任者や、日本の店長など様々なことを経験し、世界中のことを知っています。また、我々の基本方針は、現場が一番ですが、店舗および本部をすべて理解しています。塚越は入社して22年目ですので、経営幹部とお互いに気心も知れています。これらが、 塚越を株式会社ユニクロの代表取締役 社長兼COOに選んだ理由です。
- Q5:
- 塚越さんから見た経営者としての柳井さんの魅力を教えて下さい。
- A5:
- 塚越 グループ上席執行役員:私が2001年に初めて柳井に出会って、会社の説明を聞いたとき、一人の人間として正しい道徳観、倫理観をもち、物事に常に誠実だと感じました。それを確かめるため、22年間ずっと仕事をしてきました。そして、それは間違いないと思っています。恐らく、これは私だけでなく、ファーストリテイリングで20年、30年働いている経営チームのメンバーや、そのほかの従業員も、柳井正という人間性や、日々の仕事を愚直に、真面目に行う誠実性に共感、共鳴して、一緒に未来に向けてチャレンジしていると思います。そのため、私は今もファーストリテイリングにいますし、これからも未来に向かってチャレンジしていきたいと思っています。
- Q6:
- グレーターチャイナは、スクラップ&ビルドを強化するということですが、その背景を教えて下さい。
- A6:
- 柳井会長兼社長:グレーターチャイナは、今まで年間100店舗の出店をしてきました。出店の量を追ってきたところがあったと思います。立地が良くない店舗や収益性が低い店舗も中にはありましたので、スクラップすべき店舗はスクラップしていきます。スクラップは3年程度続く見込みです。現在、グレーターチャイナには約1,000店舗ありますが、3,000店舗までは出店できると考えています。今後は、店舗とEコマースを融合させた顧客体験を提供できる企業が生き残ると思いますので、中国大陸でも強化していきたいと思います。決して、成長を止めたわけではなく、今から中国大陸はさらに成長させたいと考えています。
- Q7:
- 取引先工場の成長が途絶えることで、御社の成長のボトルネックになる心配はないですか。
- A7:
- 柳井会長兼社長:それは全くありません。我々は生産パートナーと長年の信頼関係を築き、win-winの関係で共に成長してきました。これからも良い生産パートナーと一緒に共存共栄の関係になり、お互いに本当に良い商品をつくろうと努力する結果として、お互いが成長することが一番大事なことだと思います。
- Q8:
- 塚越さんが各国の現場を見てきたなかで、現状、何が足りてないと感じていますか。
- A8:
- 塚越 グループ上席執行役員:ブランディングが必要だと感じています。各国・各地域に行くと、ユニクロというブランドや商品を知らない方がまだ多くいらっしゃいます。これは、我々のマーケティング活動が、その地域のお客様に届いていないということです。我々は、商品を売る前に、まず私たちの会社について知っていただき、お客様に会社をご支持いただくことが必要だと思います。そのため、良いブランドとは何なのか、その国、その地域のお客様にとって、何が一番良いのか、我々の存在意義は何か、を問い続けないといけないと思います。その存在意義がない限り、そこで商売を続けることはできないと思います。その一方で、チャンスも大きいと思います。ユニクロには、グローバルで年間3,000万件以上のご意見を、お客様などからいただいています。これはお客様からの期待の表れです。お客様からのご要望をすぐに商品化して、お届けし、服を着ていただき、お客様の生活が快適で豊かになる。これが我々にとって一番良いことだと思います。こうした取り組みを、グローバルでつながり、チームで経営していくことが次のチャレンジだと思いますので、着実に実行していきたいと思います。
- Q9:
- ブランディングのどういう点をより強化していきますか。
- A9:
- 塚越 グループ上席執行役員:店舗の役割は売上をつくる場所だけではなく、体験の場になっています。また、Eコマースも、お客様とのコミュニケーションの場になっています。体験の場(店舗)とコミュニケーションの場(Eコマース)をどうつなげていくかが、とても重要なため、北米事業でもその点を強化したいと思います。また、一昔前と比べて、情報は一瞬で世界中に広がるようになりました。良い商品の情報は、いち早くお客様のもとに届きますし、その逆もそうです。お客様の方を向いて、毎日商売していかないといけないと思います。一足飛びにはいきません。一点一点、一枚一枚の商品を毎日こつこつ売っていくことを、世界中で行っていくことが大事だと思います。
- Q10:
- ニューヨークのヘッドクオーターをはじめ、ヒット商品を生み出す商品開発について、どういう点に変化を感じていますか。
- A10:
- 塚越 グループ上席執行役員:世界中どこでも、売れる商品は共通していると思います。例えば、エアリズムコットンオーバーサイズT、カーゴパンツなどの商品は、世界中どこでも販売が好調です。そのため、お客様の声をいかに商品開発に生かしていくかが、重要なポイントになります。また、商品の価値を伝える情報発信も重要だと思います。北米事業は、2021年8月期まで赤字が続いていました。値引き販売による価格訴求で売上をつくろうとしたことが、その要因の一つです。現在、値引率は大きく改善し、プロパー価格(正規価格)でお客様にご購入いただいていることは、その商品の良さが伝わってきていることだと思います。ブランディングマーケティングだけではなく、プロダクトマーケティングも徹底的に実施しています。商品の価値や物づくりのこだわり、着こなしのイメージ、着用した後のお客様の声などの情報発信を強化しています。我々はベーシックな商品を、MADE FOR ALLというコンセプトで販売しています。このような取り組みは、継続的に続けていくべきだと思います。
以上