最終更新日: 2023.07.18
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2023年8月期 第3四半期:決算説明会 Q&A
決算説明会の主なQ&Aのテキストです。内容については、ご理解いただきやすいよう、部分的に加筆・修正しています。
- Q1:
- 中国大陸のユニクロ事業が、想定以上の回復となった背景を教えてください。
- A1:
- 岡﨑取締役 グループ上席執行役員 CFO:中国大陸は、昨年まではコロナに苦しめられましたが、コロナ禍が明けた後、我々が見る限り、消費は力強く回復してきています。また、我々の価格帯の生活衣料に対する需要は非常に強いと感じます。コロナ禍においても、マーケティングやブランディング、給与水準の引き上げや採用などの投資を続けてきたことが、市場の回復期に、需要をきっちり取り込むことができた背景だと思います。中国大陸の業績回復は、想定以上ではありましたが、期待通り戻ってきたと思います。この勢いを来年度も続けていきたいです。
- Q2:
- 欧米や東南アジアの業績が引き続き好調ですが、第3四半期3カ月間の増収率が3割程度と、以前に比べると少し勢いが弱くなったとも感じます。以前と変化があれば教えてください。
- A2:
- 岡﨑CFO:東南アジア、欧米は、非常に好調な業績を維持しています。気温の変化などによる業績のアップダウンはありますが、LifeWearの存在感が東南アジアや欧米で高まってきており、根源的な需要は力強いと、手応えをもっています。我々が、店舗オペレーションにおいてお客様の求める在庫をSKU(Stock Keeping Unit)単位でそろえていければ、良い業績を残せると考えています。
- Q3:
- 第3四半期3カ月間はグローバルで在庫を適正化した印象がありますが、中国大陸の在庫水準は問題ないですか。
- A3:
- 岡﨑CFO:はい。中国大陸の在庫は、売上が上振れしたことで正常化しました。グローバル全体の総在庫も問題のない水準です。物流が安定してきたこともあり、発注コントロールもうまく行くようになっています。ただ、売上や粗利益率を最大化する上で、お客様の欲しい商品の色、柄、サイズを、過不足なくそろえることが一番重要なのですが、ここについては、まだ改善の余地があると考えています。総在庫は適正化したため、ここからはSKUレベルで、在庫の精度を上げていくことが課題だと考えています。
- Q4:
- 東南アジアは、売上は好調ですが、増益が続いた国と減益になった国と、利益面で差が出ている理由を教えてください。また、東南アジアの出店加速に向けて、進捗状況を教えてください。
- A4:
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岡﨑CFO:マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナムは、販売は好調ですが、営業利益は第3四半期3カ月間では減益となりました。インドネシアについては、セーフガードの影響があり、粗利益率が低下しました。現在、インドネシア国内の生産比率を高めることで、この影響の低減を進めており、今後、改善していけると思います。その他の国は、昨年は物流の混乱で輸送遅延があり、欠品が発生していたため、戦略的な値引きが出来なかったので、粗利益率がかなり高い水準にありました。値引きに頼らない商売をグローバルで推進していますが、一定の値引き販売はプロモーションの一環として効果的なため、今年は戦略的に値引き販売を行い、粗利益率が低下しました。ただし、もともと粗利益率の水準が高いため、それほど心配はしていません。また、経費については、中長期的なブランディングのためにマーケティング経費を積極的に増やしていることに加え、人材投資も強化しています。経費についても我々が戦略的に行っているため、心配はしていません。今後、粗利益率や販管費比率が改善し、増益していけると思います。
出店については、現在、年間約70店を新規出店するペースですが、70~80店を目標にパイプラインをつくって進めています。ただし、むやみやたらに数を追うのではなく、お客様の需要に合わせた良い立地や、モールの中でも競争力のある場所に出店するなど、質を重視しながら出店していきます。出店数が若干上下することはあるかもしれませんが、積極的に出店するという基本方針の中での調整であるとご理解いただければと思います。
- Q5:
- 国内ユニクロ事業は、第3四半期9カ月間で減益となりました。来期以降も為替が円安になることで原価が上がると思いますが、今後どのように増収増益、収益性を改善していけるのか教えてください。
- A5:
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岡﨑CFO:国内ユニクロ事業の第3四半期3カ月間は、追加生産分に使用するスポット為替レートが見通しよりも円安になったことで、粗利益率が想定に対し、若干低下しました。来期以降ですが、為替予約は継続的にしており、かつ、為替予約のレートとスポット為替レートの乖離も徐々に縮小してくるため、原価率のコントロールはしやすくなると思います。その上で、価格については、商品の特性、素材、デザインなど、需要と価格のバランスを常に見直しながら、その時の為替レートでも成り立つマーチャンダイジングで商売を組み立てるということが、粗利益率の改善に重要だと思います。
また、経費は、給与水準を引き上げた分について、中期的に生産性の改善で吸収していく方針は変わりません。今は、生産性は改善しつつありますが、まだ途上で十分に吸収し切れていない部分があるため、引き続き生産性の改善に取り組んでいきます。具体的には、店舗業務の無駄をなくし、空いた時間を接客に使いながら、スタッフ1人当たりの売上を伸ばしていきます。また、自動化倉庫は、一定の固定費があるため、売上を着実に伸ばすことで、販管費比率を改善していきます。これらに取り組むことで、再度、利益率を上げていきたいです。
- Q6:
- この春夏の商売を振り返って、消費者は価格の見直しをどのように受け止めたと評価していますか。
- A6:
- 岡﨑CFO:お客様の価格に対する感応度は、非常に高いとは思います。価格に対して非常にシビアですし、お得感やお値打ち感があるかどうかをしっかり見定められていると強く感じます。価格と素材、機能、デザインなどのバランスがお客様のニーズに合っている商品については、前期より価格が上がっていても、非常に売上が伸びている商品もあります。一方で、価格を据え置いても、トレンドを外していたり、需要が減少していたりする場合は、売上が鈍化している商品もあります。そのため、価格と価値のバランスを丁寧に見極めながらつくっていくことが、重要だと改めて感じています。
以上