最終更新日: 2023.04.18
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2023年8月期 第2四半期:決算説明会 Q&A
決算説明会の主なQ&Aのテキストです。内容については、ご理解いただきやすいよう、部分的に加筆・修正しています。
- Q1:
- この1年を振り返って、情報製造小売業をめざすなかで、進展した部分や手応えがある部分を教えてください。
- A1:
- 柳井会長兼社長:新型コロナウィルス感染症のまん延により、ロックダウンが多くの国で起き、物流が分断されましたが、その中でも、スマートフォンなどのデバイス、リモートワークの普及により、バーチャルでもリアルでも本当はつながっていることがはっきりしました。問題解決する場合は、現場に行くのが第一ですが、現場に行けない場合でも、互いに情報交換することで問題解決につなげることができ、グローバルとローカルの関係がより強くなりました。世界が分断されればされるほど、現実は情報でつながっていることがわかりました。また、お客様からのデータが多く集まり、世界中の服のニーズがどう動いているのかが実感としてわかるようになりました。販売している商品に対するお客様の不平不満や、評価されている点がはっきりとわかるので、商品の改善と、新しい潜在ニーズの発見につなげていけるようになったと思います。
- Q2:
- 情報製造小売業の進展が、値引率の継続的な改善に寄与していると理解して良いでしょうか。
- A2:
- 柳井会長兼社長:値引率の改善はまだまだ余地がありますが、生産と販売がつながることで、売れているものをつくり、売れないものに関しては生産を抑制しています。RFIDを使うことで、SKUごとに商品の情報がすぐに手に入り、誰でもその情報を利用できるようになったということが要因の一つだと思います。
- Q3:
- 岡﨑CFOのスライド27ページに5兆円の姿という成長のイメージが描かれています。5兆円のときは東南アジアや欧米の売上収益がグレーターチャイナの売上収益より大きいように見えます。グレーターチャイナに対する成長機会はどのように考えていますか?
- A3:
- 岡﨑取締役 グループ上席執行役員 CFO:決してグレーターチャイナに対する自信をなくしているということではありません。LifeWear(究極の普段着)のコンセプトが世界中のお客様から支持を得ているので、グレーターチャイナの成長余地は大きいですが、東南アジアの経済成長や中間所得者層の成長、欧米は巨大な市場がある中で、我々のシェアはまだ非常に小さいことを考えると、どちらも伸びしろは大きいと思います。どの地域の成長余地が大きい、小さいということではなく、これらの地域すべてを伸ばしていきたいという意志だと受け止めていただければと思います。また、ジーユー事業も成長機会が非常に多いです。低価格で、お客様のファッション需要、生活需要を掘り起こすことで、とても大きな可能性があると考えています。
- Q4:
- 北米のユニクロ事業について、2024年8月期以降は、出店を加速できるのでしょうか。年間30店舗の出店目標は達成できますか。
- A4:
- 岡﨑 CFO:出店は十分できると思います。出店先は多くあるため、出店体制を整え、今後加速していくことになると思います。今のところは東海岸、西海岸を中心に出店していますが、この対象範囲も広げていきたいです。Eコマース販売が好調な地域も見えてきているため、出店ターゲットも定まってきています。また、出店のパイプラインも準備できています。あとは、出店条件が合うように交渉しないといけませんが、十分に達成可能な水準だと思います。
- Q5:
- 東南アジアは将来的に1兆円をめざす上で、どういった環境的な条件が必要でしょうか。また、東南アジア内で展開国はこれから広がっていくのか、今後注力していきたい国、地域があれば教えてください。
- A5:
- 山田 グループ執行役員 ユニクロ シンガポール、マレーシア、フィリピン CEO:まず、現在出店している市場の中でも十分に成長できるチャンスがあると思いますので、そこに集中して1兆円をめざします。東南アジアは、経済成長と、アパレル市場の拡大があることに加えて、若いお客様が非常に多く、ファッションに対する意欲も高い地域です。その中で、1店舗ずつ経営体制を磨き上げることが、今後の東南アジアの成長の大きな柱になります。また、モールへの出店に加えて、ロードサイド型店舗の出店も今後加速していきたいと考えています。その際に、地域のお客様に、我々が、なぜその地域のお客様にとって、大事な存在なのかということをしっかりと対話して、その地域に根差した商売をすることが非常に大事です。それらをしっかりと現地で実行できる人材を育成し、現地の従業員が経営者として育ちながら、一つ一つの地域で商売をしていくことが非常に大切だと思います。経済環境はもちろん大事な要素ですが、それ以上に人材の育成や、地域に根差した愛される店舗づくりをしっかりと行う体制をつくっていくことが今後の課題だと思います。
- Q6:
- 国内ユニクロを中心に、2022年の秋冬から商品価格の見直しを進めてこられましたが、手応えや、お客様の反応についての教えてください。
- A6:
- 岡﨑 CFO:商品の価格全体を上げているということではなく、一品一品ごとに価格、品質、デザイン、機能などのバランスを見て、お客様に受け入れていただけるかを慎重に考えて、行いました。お客様に受け入れられると判断したもの、かつ、ビジネスとして成り立つ組み合わせで臨んだということです。今までのところは良かったのではないかと思います。しっかりと商品の価値をお伝えしていけるかがポイントだと思います。まだ十分ではない部分もあるため、さらにうまくやっていきたいです。もちろん価格に対して、お客様は非常にシビアで、どんどん値上げできる環境ではないので、価格、品質、デザイン、機能などの最適な組み合わせをどれだけ丁寧に考え、見極めながら臨んでいけるかが、一番大事なポイントだと思います。
- Q7:
- 今回の説明の中に、「第4創業」「成長の加速」という表現があります。目標の達成に向けて、来期の各事業の出店についてはどのような計画でしょうか?
- A7:
- 岡﨑 CFO:グレーターチャイナは、スクラップ&ビルドを強化しながら100店舗規模の出店を続けていきます。東南アジア・インド・豪州地区は、現在70店舗程度の新規出店ですが、できるだけ早い段階で80、90、100店舗と増やしていけるように体制を整えています。北米、欧州は、早期に20、30店舗と拡大していく体制にするべく、今取り組んでいます。そういう規模感で、まずはここ数年、出店を加速していきたいと思います。
- Q8:
- 報酬改定後の社内の反応や、社内にどのようなメッセージを発信しているのかを教えてください。
- A8:
- 柳井会長兼社長:昇給してうれしくない人はいないと思います。従業員には、評価されているということと、ローカルだけの仕事ぶりではダメだと伝えています。我々は、日本の中心であると同時に、世界の中のグローバルヘッドクオーターです。グローバルヘッドクオーターとしての担当者、責任者の仕事ぶりが重要です。新型コロナの影響が収束しつつありますので、担当者、責任者は、世界中を飛び回り、現地の経営者、店長、店舗スタッフと一緒に問題点を解決します。日本の本部に対しては、少なくとも3分の1の従業員は世界中に出ていく、3分の1か、半分の従業員は、世界中から来るようにして、本格的なグローバルヘッドクオーターにすると伝えています。服の本場はヨーロッパ、スポーツウェアやカジュアルウェアの中心は北米です。それらの情報の中心であるニューヨークに、グローバルヘッドクオーターをつくって、グローバルとローカルの情報を使い、世界中で売れる最適な商品を開発していくと同時に、それに合わせた仕事のやり方に変えていきます。その前提として、我々は日本の報酬改定を行いました。日本では、特に若い人の報酬が低いと思うので、グローバルで活躍するのであれば、報酬は上げないと良い人材が来ないと思います。今後、企業が成長できるかどうかは、良い人材が来ることに加え、今の人材が良い人材に変わっていく、つまり自己成長していくことが重要だと思います。そういうことを全従業員で、本気で取り組んでいきたいと思います。
以上