最終更新日: 2017.07.17
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2017年8月期上期3Q決算説明会 質疑応答
- 開催日:
- 2017年4月13日
- 開催場所:
- ファーストリテイリング東京本部
2017年4月13日開催の決算説明会の主な質疑応答のテキストです。内容については、ご理解いただきやすいよう部分的に加筆・修正しております。
- Q1:
- 今期の設備投資の見通しの数字が変更されていますが、出店計画に変更があったのでしょうか?また、来期の出店計画はどうでしょうか?
- A1:
- 岡﨑 CFO:
アジアの出店に若干の遅れが生じたことを織り込んでいます。ただ、出店方針を変えたということではなく、これは、あくまでも出店拡大を続けていく中でのタイミングのずれです。
来期の出店としては、中国での出店数は多く、従来の出店ペースを継続していく予定です。また、東南アジア地区も業績が好調なので、この地域では出店を加速していきたいと考えています。
- Q2:
- この第3四半期でのデジタル化の進捗について教えてください。また、物流改革はどう進みましたか?
- A2:
- 岡﨑 CFO:
第3半期におけるデジタル化の進捗としては、3月末にEコマースビジネスのリニューアルとサービス拡大を実施しました。上期はEコマース関連の物流に混乱があり、お客様にご迷惑をおかけしていましたが、3月以降の物流のオペレーションは安定しています。また、Eコマース(EC)では、サイトのリニューアル、特別サイズやEC専用商品を拡充したことなどで、着実に売上が伸びています。第3四半期3ヶ月間のEC販売の伸び率は、前年同期比17%でしたが、4月以降では20%を大きく超える伸び率となっています。社内計画にはいまだ届いていないため、満足していない状況ではありますが、手応えとしては非常に良いです。
ユニクロのEC販売が、お客様に十分に認知をいただけていないところが課題だと思っています。ユニクロの店舗にご来店いただいている数多くのお客様のうち、ECを使っている方はまだごくわずかです。これを、店舗でもECでも、お客様にとって一番利便性の良い場所で買い物をしていただいて、結果として全体の購買頻度や買い上げ点数を増やしていきたいと思っています。ECでは、特別サイズ、EC専用商品などで、幅広いお客様ニーズに対応できる品揃えとなっています。これらをさらに拡充していく計画です。また、ECでは売れ筋商品の在庫を十分に持つことで、欠品をなくしたいと思っています。
デジタルマーケティングでは、ECを伸ばすためだけのデジタルマーケティングではなく、ECサイトそのものの魅力を高めていくことでリアルの店舗への来店動機も高めるようなECサイトを作っていきたいと思っています。
- Q3:
- 国内ユニクロ事業では、来期も原価率が上昇する、物流委託費も増える見込みですが、来期に向けての価格の考え方や、国内ユニクロ事業の収益性確保の考え方を教えてください。
- A3:
- 岡﨑 CFO:
国内ユニクロ事業は、為替予約を約3年間ヘッジしていますので、緩やかではありますが、今は円安の影響を受けて原価率が上がる状況になっています。ただ、商品の値上げはせず、現状の価格を維持していきたいと考えていますので、向こう1年強ぐらい原価率は高止まりすると思います。当然これを吸収していくため、まずは値引き率のコントロールによって粗利益率を改善させるということが課題となっています。去年の下期から、「毎日お買い求めやすい価格」戦略ということで、値引き率のコントロールを続けていますが、これは非常にうまくいっており、従来に比べて、値引きのコントロールをしながら売上を作ることができるようになっています。これからも、値引きのコントロールはきっちりやっていく予定です。
また、経費比率の削減も課題となっています。物流委託費は過去1~2年間ずっと上昇していますが、これには、2つの要素があり、そのひとつは物流委託費の単価そのものが上がっていること、2つ目は、物流委託費が上昇することを予見し、物流改革を進めてきたことにより、重複している倉庫費、オペレーションの内製化に伴う混乱によるコスト増などの一時的なコスト増があります。
2つ目については、この下期ぐらいで一巡すると思いますが、ひとつ目については、市場の趨勢を見極めなければわからないところがあります。今後は、2つ目で進めてきている効率改善を進め、マーケット全体の物流費の上昇をコントロールしていきたいと思っています。それに向けての手は打ってきています。
店舗人件費についても同じ状況で、基本的にはアルバイトの方の時給は上がる傾向にありますし、アルバイトの採用が簡単ではないエリアもあります。これも随分前から予見されていたので、地域正社員化を進めることで社員の安定化に取り組んできております。今後、一人ひとりの方の時給や待遇は改善していく方向に進んでいきます。国内ユニクロ事業の人件費や物流費は市場の趨勢として上がるため、これをどれだけ効率化によって吸収するかの準備を進めています。
- Q4:
- ジーユー事業の来期は、すでに報道にあるように、キャンペーンを単品訴求からコーディネート訴求へ転換するというのでしょうか?もう少し詳しい説明をお願いします。
- A4:
- 岡﨑 CFO:
ジーユーは、ここ数年間の業績が非常に好調でした。その要因としては、大きなヒット商品が出たということがあります。ただ、ヒット商品によって、ややホームラン狙いの商品構成というか、商売に偏ってしまったのが大きな反省点だと思います。今期のキャンペーン商品は、トレンドを外していたわけではないですが、思ったほどのホームランにならなかったため、売上が下回った分、在庫の消化を進め、粗利率が低下する結果となりました。また、売れ筋商品が欠品し、機会ロスも生じています。こういった状況で、業績回復が長引いてしまいました。
ジーユーは、ファッションのブランドですので、単品勝負ではなく、お客様にファッションを楽しんでいただけるためのスタイリング、デザイン性、完成度の高い商品へと、方向性を切りかえていくべきだと思います。ファッショントレンドを当てるこということは、それほど難しくないですが、商売として、トレンドのど真ん中で、多くのお客様に支持される商品をしっかり数量を持って展開していくことが大切です。ジーユーは、スタイリングによる提案でファッションを楽しんでいただくといった方向に舵を切っていくことで、より安定的な成長を狙える事業にしたいと思っています。
- Q5:
- ジーユーがオープンした香港の店舗が大盛況だったということですが、今後の出店計画を教えてください。また、上海の店舗はあまり成績が良くない印象ですが、今の状況はどうですか?
- A5:
- 岡﨑 CFO:
ジーユー事業の海外展開につきましては、お蔭様で、香港では非常に高い評価をいただいており、予想以上の売れ行きとなっています。従って、香港では積極的に出店し、成長させていきたいと思います。また、中国(上海)、台湾についても堅調に立ち上がってきておりますので、しっかり伸ばしていきたいと思っています。ただし今は、一気に店舗数を拡大するというよりは、今後の事業の成功のため、これらのエリアでオペレーションの確立、人材の育成が大切になっています。体制が整い次第、攻めに向けてアクセルを踏んでいきたいという状況です。上海に出店しているジーユーは、苦戦している店舗があるのは事実ですが、全体がそうだということではありません。上海全体として、利益が出せる商売になりつつあります。
- Q6:
- 海外子会社からの配当受け取りに関する方針を変更したことで、将来の税金費用を65億円引き当てたようですが、もう少し詳しく説明してください。
- A6:
- 岡﨑 CFO:
これは、将来起こり得る税金費用を引き当てたもので、この部分をすべて配当するわけではないです。今まで、100%子会社は配当をしていませんでしたが、一部の100%子会社が配当を実施し始めるなど、配当方針を変更したことで、会計原則に従って、将来起こり得る最大の税金費用を引き当てたということです。実際に配当をするかどうかについては、各子会社の資金や設備投資などの状況を見極めて、機動的に判断していく予定です。
- Q7:
- 国内ユニクロの原価率についてですが、社内レートの円安傾向により、原価率は、今期では上期より下期の方が少し厳しく、来期の上期はもっと厳しくなりますか?素材調達の集約化などの原価率を下げる努力もされていると思いますが、その効果はどうでしょうか?
- A7:
- 岡﨑 CFO:
決済レートはずっとヘッジをローリングでしてきていますので、過去の為替レートを見ていただいたら大体想像していただけると思いますが、激変緩和で大きな変動がないようになっています。じりじりと為替レートは円安になっており、この傾向は向こう1年強続きます。原価率は為替だけでなく、素材調達コストなど色々な要素の組み合わせで決まりますので、そのまま上がるということでもありませんが、やや強含み、上昇していくことを前提としています。
- Q8:
- 有明プロジェクトですが、2月に有明に引っ越しした後、組織も変えるなど、革新的なことをされていると思います。その効果として、品揃えの適正化、値下げロスの抑制といったことがあると思いますが、来期以降も、値下げロスは抑制されるのでしょうか?
- A8:
- 岡﨑 CFO:
有明プロジェクトの手応えはありますが、我々の目指している水準にはまだまだ達していないと思います。ただ、これからはさらに踏み込んで改善を図っていきますので、有明プロジェクトの効果が本格的に出てくるのはこれからです。来期、再来期に出てくると思います。
以上