最終更新日: 2016.04.11
to English page
2016年8月期 上期 :決算説明会 質疑応答
- 開催日:
- 2016年4月7日
- 開催場所:
- ファーストリテイリング東京本部
2016年4月7日開催の決算説明会の主な質疑応答のテキストです。内容については、ご理解いただきやすいよう部分的に加筆・修正しております。
- Q1:
- 韓国、台湾、香港は中国の景気スローダウンの影響を受けたようですが、上期の中国大陸の事業利益は増益、下期も事業利益は増益の予想という説明がありました。中国大陸でビジネスが堅調な理由を教えてください。
- A1:
- 柳井社長:
以前、「アメリカが風邪を引いたら日本が肺炎になる」と言われていた現象と同じで、中国近隣諸国は、中国経済に頼っているため、影響を受けたということです。中国本土では、確かに贅沢品への需要や、一般的な消費は以前より減速していますが、我々のビジネスが減益になるところまでの影響はないです。
- Q2:
- 米国事業で、今後、閉店および閉店に伴う損失はどれくらいを見込んでいますか?
- A2:
- 岡﨑CFO:
具体的な額は開示していませんが、上期に計上した程度の閉店損は、来期以降もある可能性が高いです。長い目で見て、可能性のある店舗は当然残しますが、改善の見込みが薄い赤字店舗については、思い切ってスクラップを行う予定です。
- Q3:
- 国内ユニクロでは、プライスラインを下げるという説明でしたが、これはいつ頃から始めるのですか?
- A3:
- 柳井社長:
もう、実施しています。プライスラインを下げるというよりも、切りの良いプライスにする、お客様にとってわかりやすい価格に設定しています。
- Q4:
- 国内ユニクロの価格設定についてですが、今、店頭では、商品の値札と売価が違う現象が見られますが、これは、急遽値下げを実施したということでしょうか?
- A4:
- 柳井社長:
値札を付け直すとコストがすごくかかるので、とりあえず今のプライスがついている商品に関しては POP で対応したということです。
- Q5:
- 今後のユニクロの価格をどう設定するのでしょうか?また、価格を下げることで、粗利益はどうなりますか?
- A5:
- 柳井社長:
今の世界的な景気の減退から考えたらプライスは上げられないですし、もっとわかりやすい価格設定、例えば、1,990 円、2,990 円といったプライスラインに統一したいと考えています。お客様がお買い求めしやすい価格に見直しをしていきます。これは教訓ですが、去年の秋冬にプライスを上げて、この上期の業績はこのような結果でしたので、これからは、できるだけ「エブリデイ・ロー・プライス」でやっていきたいと思っています。例えば、今までは週末に価格を下げていましたが、これからは、できるだけ最初から最低プライスを付けて、そのプライスで平日、週末も販売していくように変えていきます。ぎりぎりのプライスにして、それを維持することで、お客様からの信頼性を高めることができると思います。日本の経済は決して好景気ではなく、景気が悪い状況がずっと続いていると思いますので、我々はこういった価格戦略でやりたいと思っています。
- Q6:
- 今回の決算では、今まで高い成長を達成してきた韓国、香港、台湾の業績が弱かったですが、これらのエリアでは、商品と価格のバランスが悪かったのでしょうか?
- A6:
- 柳井社長:
海外市場は、すごくチャンスがあると思っています。特にアジア。世界の半分以上の人口の 40億人が中産階級になっていく市場で、人々はまだほとんど物を持っていない。彼らの所得が増えて、一番最初に消費するのはアパレルなので、ユニクロもアジア市場を中心に拡大していきたいと思っています。ユニクロは、アジアだけでなく、ヨーロッパ、アメリカの大都市の中心部でも高く評価されていますので、アジア市場でも評価されると思います。ファッション小売業をやっていれば、ファッションリーダーシップ、プライスリーダーシップというのは当然必要な要素なので、そういった原点をもう一回取り戻したいと思っています。
- Q7:
- 中国大陸では第2四半期3ヶ月間の既存店売上高がプラスに転じたということですが、中国市場に対するリスクは感じられていますか?
- A7:
- 柳井社長:
中国は大丈夫だと思います。というのは、世界の情勢が多少変わったとしても、人口が 13億人の国で、中産階級の人口が大幅に増え、ようやく消費社会が始まったばかりなので、大きな需要拡大が見込まれるからです。また、それと同じことがアジア一円でも始まっています。今まで、ヨーロッパ、アメリカ中心だ った消費が、これからは中国、アジアに移っていく現象は変わらないと思います 。
- Q8:
- Eコマースの構成比を 30%まで高める目標のようですが、海外ユニクロの出店は引き続き高水準が続くのでしょうか?例えば、グレーターチャイナでは、100 店舗の出店ペースは来期以降も続きますか?
- A8:
- 柳井社長:
今まで以上に店舗の立地を厳選して、大都市の一番良い立地に出店していきたいと考えています。グレーターチャイナの場合、100 万人以上の都市が 200 ぐらいあると聞いているので、例えばそこに 10店舗ずつ出したとしても 2,000 店舗ですよね。グレーターチャイナでは、3,000 店舗ぐらいは楽に出店できると思っています。これは決してEコマース事業と競合させるということではなく、店舗があるからこそEコマースで売れると思うので、リアル店舗とEコマースが両立できるような業態にしていきたいと考えています。
- Q9:
- 円高による影響で仕入れコストが上昇傾向にありますが、素材や縫製工場との価格交渉は強く進めているのでしょうか?今後、原価は上がっていきますか?
- A9:
- 柳井社長:
グローバル化と資本主義が進んでいけば、需要よりも供給の方が増えるのは確実なので、工場の卸値が単純に上がることはないと思います。というのは、縫製基地が今は中国だけではなく、アジア一円に広がっています。我々は、よりコストの低いところで、よりよい商品を作っていこうと考えています。今まで以上に努力して、コストは下げるようにしたいと思っています。
- Q10:
- 国内ユニクロでは価格を見直ししているようですが、それに関してお客様の反応、手応えは感じていますか?また、こういった価格設定ですと値入率は下がるのでしょうか?
- A10:
- 柳井社長:
価格を改定した商品は、すごく売れ行きがいいです。商品によっては2倍、3倍売れているものもあります。やはりお客様にとって一番買いやすいのは、いつでもどこでも同じプライスで買えることだと思います。もう一つ、先ほどビジネスモデルを変えると説明しましたが、リードタイムを短縮していきたいと思っています。デジタルで工場と我々がつながることで、お客様が要望された商品が最速でつくられて、最速で運ばれれば、今までの機会ロスや売価変更によるロスが減ると思います。ですので、値入率に関しては、十分回復できると思っています。
以上