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責任ある原材料調達

最終更新日: 2024.02.16
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ファーストリテイリングは、倫理的かつ責任ある方法により原材料を調達し、原材料の社会・環境への影響を継続的に改善していきます。

責任ある原材料調達方針

ファーストリテイリングは、お客様が本当に必要とするものだけをつくり、服の生産から輸送、販売まですべてのプロセスにおいて、環境負荷の少ないモノづくりを実現するとともに、人権や動物福祉に配慮し、それらをトレーサブルな状態にすることで、お客様が安心して商品をお買い求めいただけるサプライチェーンを構築します。このような取り組みを通して、サステナビリティと事業の成長を両立する新たなビジネスモデルへの転換を進めます。

当該取り組みを進めるため、ファーストリテイリングは、製品に使用される原材料がその生産・製造過程において、主に下記2点について配慮されたものであるべきであると考えます。

  1. 人権侵害や動物虐待が発生していないこと:栽培・飼育現場での児童労働や強制労働、動物虐待が一切ないことが確認可能な原材料
  2. 低環境負荷であること:一般的な原材料に比べ、化学物質使用量を抑える、土壌汚染を防止する、生物多様性に配慮される、温室効果ガス排出量削減の工夫がなされるなど環境に配慮された原材料

※⼀般的な原材料の環境情報は統⼀された基準がないため、Higg Materials Sustainability Index(Higg MSI)登録情報などを参考に個別に判断

ファーストリテイリングは、これらの配慮すべき点が遵守されるために、原材料別に取り組むべき課題や遵守すべき基準を定義した「ファーストリテイリング原材料調達ガイドライン」(以下「原材料調達ガイドライン」)を策定しています。具体的には、工場や生産部などの原材料調達に関わる部門が業務を行う上で配慮すべきことを、原材料別に以下の6つの項目に分けて定義しています。
①人権への配慮(強制労働/児童労働/先住民の権利侵害など)
②動物福祉の尊重
③温室効果ガス排出量の削減
④水の使用削減
⑤農薬・化学肥料の使用削減
⑥土壌保全への配慮(輪作、回転放牧等の土地管理)

なお、原材料調達ガイドラインは、国際動向、新たな科学的知見、社会的要請などによっても変動するため、当ガイドラインは毎年見直し・更新を行います。

植物系素材の調達

コットン

ファーストリテイリングは栽培過程での水・農薬・化学肥料の使用量削減、土壌保全・生態系保全への配慮、農家における労働環境への配慮がなされているコットンを、サステナブルなコットンと定義し、2025年12月末までにサステナブルコットンの調達比率100%を目指しています。具体的には、ベター・コットン*1、米国産およびオーストラリア産のコットン、リサイクル・コットン*2、オーガニック・コットン*3、フェアトレード認証コットンを、サステナブルなコットンとしています。

*1 下記「ベター・コットン・イニシアティブ」参照
*2 リサイクル原料を使用する製品の認証プログラムであるGRS(Global Recycled Standard)または、RCS(Recycled Claim Standard)よる認証を取得したもの
*3 オーガニック原料を使用する繊維製品の認証基準であるGOTS(Global Organic Textile Standard)またはOCS(Organic Content Standard)による認証を取得したもの

・ベター・コットン・イニシアティブ
ファーストリテイリングは2018年1月、サステナブルなコットンの生産をめざすNGO「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」に加盟しました。BCIは、綿花を生産する農家に水の適正な使用や殺虫剤などの農薬の使用方法や労働者の権利の尊重などについて指導することで、より良いコットンの栽培方法を普及させる取り組みを行っています。BCIの基準を満たした綿農家はベター・コットン生産者として認定されます。

セルロース繊維(レーヨンなど)

ビスコース/レーヨン、モダール、リヨセルなどのセルロース繊維は、木材パルプを化学的に溶かして繊維状にした再生繊維です。原料の採取にあたり、消失の危機にある森林や絶滅危惧種の生息地への影響、違法伐採への関与、先住民の権利侵害などが指摘されています。
ファーストリテイリングは、これらの課題に対して、危機に瀕した古代の森林や生態系の保全、人権と地域共同体の権利の認識・尊重・保護、温室効果ガス排出量削減等に向けた対応をまとめた「ファーストリテイリンググループ 木材・森林由来の素材・商品の調達に関する方針」を公開し、取り組みを進めています。例えば、セルロース繊維原料の生産工場について、第三者(Canopy)の評価に基づく推奨工場リストを作成し、推奨工場からの調達をサプライヤーに求める取り組みを進めています。

動物系素材の調達

ファーストリテイリングでは、アパレル生産を目的として屠殺された動物からの原材料の調達を禁止しています。
動物は、飼育などにあたり、動物福祉の5つの自由(飢えや渇きからの自由、不快からの自由、痛み、外傷や病気からの自由、生態に即した行動をとる自由、恐怖や苦痛からの自由)に沿って、倫理的に扱われなければならないと考えています。このような考えのもと、原材料調達ガイドラインにて、動物が生きている状態での採取や強制給餌を行っているなど動物福祉の5つの自由に反する農場からの調達は禁止しています。
また、ファーストリテイリングでは以下の項目に沿って調達をするとともに、環境負荷低減のため、リサイクル素材や代替素材の使用を推進していきます。

  • ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)および国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに挙げられている動物由来の原材料は使用しません。
  • 一般的に食用として受け入れられている動物の食用肉の副産物のみを使用します。ただし文化や風習を考慮しながら使用可否を決定します。
  • すべての⽣産⼯程において動物でテストされた化粧品や、動物由来の化粧品を使⽤しません。

メリノウール

ファーストリテイリングは、動物愛護の観点から、メリノウールのサプライヤーに対して「ミュールシング」を行う農家からの調達を廃止していく取り組みを進めています。ミュールシングとは、皮ふ表面のシワが深いメリノ種の羊に害虫が繁殖することを予防するために、子羊の臀部の皮ふの一部を切り取る措置です。

カシミヤ

カシミヤは飼育現場での動物福祉だけでなく、近年広大な土地利用と放牧地砂漠化など生物多様性への影響も課題となっています。ファーストリテイリングは、動物愛護・放牧地管理の観点から、カシミヤのサプライチェーン全体でトレーサビリティを確保するシステムの構築を進めています。具体的には、取引先に対し、動物愛護と放牧地の適切な管理を規定した基準書への署名と、ファーストリテイリングによる監査への同意を求めるとともに、適切な動物の取り扱いと放牧地の管理に関する研修を継続的に行っていきます。

ダウン、フェザー

ファーストリテイリングは、強制的に給餌した鳥から採取したり、鳥が生きている状態で引き抜いたダウンやフェザーの使用を禁止しています。2019年12月末時点で、ダウン商品の生産に携わるすべての取引先縫製工場がRDS(Responsible Down Standard)の認証を取得しており、以降もこの取り組みを継続しています。また、お客様が着られなくなったファーストリテイリングのダウン商品を回収し、ダウンとフェザーを取り出し、その後洗浄工程を得て新しいダウン商品の素材としてリサイクル活用する取組を、2020年より進めています。

関連リンク

使用禁止素材

ファーストリテイリングは、下記の素材の使用を禁止しています。

  • エキゾチックアニマル(クロコダイル、アリゲーター、ヘビ、トカゲ、オストリッチ、カンガルー、クジラ、サメなど)、野生動物由来や動物の胎児のレザー/スキン
  • リアルファー(毛皮)
  • モヘヤ(アンゴラヤギの毛)、アンゴラ(アンゴラウサギの毛)
  • アルパカ
  • 角 / 骨 / 歯

石油系素材の調達

ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、といった繊維は石油の副産物から生産されています。これらの石油系素材(合成繊維)は自然環境で分解されず、洗濯時のマイクロプラスチックの脱落や不適切な廃棄処理による環境汚染が指摘されています。ファーストリテイリングは、このマイクロプラスチックによる環境への影響を重要課題として認識し、影響の最小化に向けて取り組んでいます。具体的には、自社製品を対象に洗濯時のマイクロファイバー流出量の測定と結果の分析や対策の検討を進めています。素材生産工程においても、戦略的パートナーと連携し影響の検証と対策を進めています。具体的には、検証を実施した自社の定番製品について、検証結果に基づき、サプライヤーとのコミュニケーションなどを通じて改善のための取り組みを実施しています。さらに、マイクロファイバーに特化したアパレル業界横断の枠組みであるマイクロファイバーコンソーシアムに参画し、繊維製品のライフサイクル全体で環境へのマイクロファイバーの流出を最小限に抑えるための研究と連携の取り組みに継続的に参画しています。

また、ファーストリテイリンググループの2030年8月期温室効果ガス排出量の削減目標達成(商品の原材料生産・素材生産・縫製に関わる排出量*を2019年8月期比20%削減)に向けて、資源効率の向上が期待でき、より少ない温室効果ガス排出量で生産される原材料の利用を促進しています。具体的には、2030年8月期までに、ポリエステルなどの合成繊維を含む全使用素材の約50%をリサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材に切り替えることを目指し、温室効果ガス排出量削減の可能性がある原材料への切り替えを順次行っています。
*ユニクロとジーユー対象

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