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トップインタビュー

最終更新日: 2018.01.31
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" 情報製造小売業"への変革

お客様中心のサプライチェーンに変わる

今は、非常に速いスピードでグローバル化、デジタル化が進んでいます。国境、産業、企業という概念を越え、人、モノ、情報が密接に繋がるようになりました。我々のような服をつくって販売する業界でも、アパレル業、小売業、繊維業という産業のボーダーが消滅しています。このように激変する時代のなかでファーストリテイリングが生き残るためには、情報を商品化する「新しい産業を創る」ことが重要だと考えています。

インターネットやスマートフォンが全世界に普及し、かつてないほどの速いスピードで情報が伝達されるようになっています。こうした時代の変化によって、我々のビジネスでも、お客様の声をダイレクトに聞くことができたり、お客様同士がSNSを通じて商品のコメントを交換したりすることで、商品へのフィードバックを瞬時に得ることができるようになりました。我々は、こうしたお客様の情報を分析し、お客様がご要望される商品をすぐに商品化できる「情報製造小売業」に、業態を転換し始めています。

すべてを変えるために、有明プロジェクトが始動

「情報製造小売業」に転換するために、有明プロジェクトを立ち上げました。まず、社員の働き方を変革することが一番大切だと考え、東京・有明倉庫の6階にワンフロア5,000坪の有明本部を置きました。小チーム制のフラットな組織で、部署を越えた密なコミュニケーションを取ることで、即断・即決・即実行のプロセスで仕事が実践されています。

さまざまなプロジェクトが同時進行している有明プロジェクトには、デジタルを活用した情報分析による精緻な需要予測、お取引先工場との連携によるフレキシブルな生産体制の実現、スピーディーで効率が高い物流体制の構築、デジタルマーケティングの活用によるお客様とのダイレクトなコミュニケーションの仕組み、Eコマース事業でのサービスの拡充、これらの新しい仕組みを支えるシステムの刷新などのプロジェクトがあります。これらはまだ始まったばかりですが、なかには、すでに大きな成果が出ているものもあります。

有明プロジェクトの実現のためになくてはならないのが、お取引先の協力です。お取引先である縫製工場、物流会社なども、我々と同じ方向で明確な目標に向かって改革を進めています。今までの常識にとらわれず、未来のテクノロジーを積極的に取り入れ、投資・人材・時間を惜しまず注力し、必ず「情報製造小売業」になります。

 

海外ユニクロ事業の躍進

 

海外ユニクロ事業の売上収益が初めて日本を超える

2018年8月期は、海外ユニクロ事業の売上収益が初めて国内ユニクロ事業を超える見込みです。海外ユニクロ事業の利益率は高く、営業利益も国内ユニクロ事業に迫る勢いです。2001年9月に海外1号店をロンドンに出店してから17年目で成し得る快挙です。日本市場から誕生したユニクロというブランドが、グローバル市場に進出し、世界中のお客様から愛されるブランドに育ってきたことは、大変うれしく、誇らしい気持ちです。

2017年8月期は、グレーターチャイナ、韓国、東南アジア・オセアニアの業績拡大に目を見張るものがありました。これらのエリアは引き続き高い成長が見込まれ、ファーストリテイリング全体の業績をけん引していきます。それぞれのエリアに強いリーダーシップを持つ、優秀な経営者が育ってきていることも非常にうれしく、同時に、今後のビジネス拡大への自信にもなっています。

服のビジネスでもグローバル化は速いペースで進み、"グローバルブランド"と認知されたブランドだけしか生き残れない時代へと変わっています。ユニクロがグレーターチャイナ、韓国、東南アジアの各エリアで高い成長を達成できているのは、ユニクロが"グローバルブランド"として認められてきたからだと思います。ユニクロは、ニューヨーク、パリ、ロンドン、上海などの世界の大都市のハイストリートに、ZARAやH&Mといったグローバルブランドと肩を並べて旗艦店や大型店を出店し、どのエリアでもお客様からの高い支持を得ています。我々は、グローバル市場でのポジショニングを確かなものにしたと言えます。 ユニクロがめざしているLifeWear のコンセプトは、「着心地が本当に良く、高品質でファッション性があり、誰にでも手が届くお手ごろな価格の究極の普段着」です。流行を追うファッションアパレルではなく、人々の生活に密着したブランド、人々の生活をより豊かに、より快適にする、世界唯一の新しい服のカテゴリーのブランドとして、世界中へ事業拡大をめざします。

 

グレーターチャイナ、東南アジアで確固たるブランドポジションを確立

海外ユニクロ事業の強みは、今後高い経済成長が見込まれているグレーターチャイナ、東南アジアで、確固たるブランドポジションを確立していること、強い経営基盤を築き上げていることにあります。アジア市場では、経済発展に伴い、中産階級の人口が爆発的に増えることが予想されています。これはユニクロにとっての大きなビジネスチャンスです。日本は1.2億人の市場ですが、グレーターチャイナでのホワイトカラーの人口は数億人、東南アジア市場では10億人以上と推測されています。今後は日本市場の10~20倍の市場で、我々の成長を確かなものにしていきたいと思っています。

グレーターチャイナ事業では、今の売上規模3,464億円を5年後に1兆円へ、東南アジア・オセアニア事業では、約1,100億円の売上規模を3,000億円へ拡大させる計画を掲げています。また、米国、欧州でも出店を継続させることでさらなる事業拡大をし、数年後には、海外ユニクロ事業全体の売上規模は、2兆円を超える水準になると思っています。

Global is Local,Local is Global

ユニクロの商品構成、店舗レイアウト、店舗サービス、店舗オペレーションを守りながら、気候や文化が違うエリアの人々の日常生活に密着した商品を提供し、お客様からの高い支持を得るということは、思った以上に難しいことです。やや矛盾した考え方ではありますが、我々はこれを「Global is Local, Local is Global」と呼んでいます。

東南アジアを例に挙げると、常夏の気候に合わせて、冬のシーズンでも夏物商品の構成比を高くしています。我々は、お客様にとって日常着を買うために最も行きやすい店になることをめざしています。こうしたきめ細かい商品戦略を徹底させたことで、日本発のブランドでありながら、国境、文化、気候、経済格差を越えて、世界の各エリアでユニクロのファンを作りあげることができました。

グローバルで、Eコマースの成長をめざす

グローバルで事業を展開するうえで、Eコマースの拡大はきわめて重要な課題です。特にグレーターチャイナ、東南アジアでは、SNSなどを使ったデジタルコミュニケーションが発展しているため、これらのエリアでEコマース分野の新しい事業の芽が生まれる可能性が高くなっています。各エリアで最高の技術を持つ企業と組み、事業を拡大させていくことが、我々のEコマース戦略です。すでに中国大陸では、Eコマース事業が軌道に乗ってきました。Eコマースで注文した商品をお客様が店舗で受取る、または、店舗で購入した商品を自宅で受取るO2O(Online to Offline)のサービスが始まり、お客様から高い支持を得ています。

米国ユニクロ事業が軌道に乗り始めた

苦戦を強いられてきた米国ユニクロ事業にも、明るさが見えてきました。2017年8月期では、米国事業の赤字幅が半減しました。これは、現地CEOがスタッフと一緒になって、リーダーシップを発揮する体制をつくり上げてきたことによる成果です。今後は、主要都市や競争力の高いショッピングモールなど、プレゼンスの高い好立地に出店し、ブランドの認知度を上げながら、今の売上規模約700億円を数年後には1,000億円にして、黒字経営を確立したいと考えています。

欧州ユニクロ事業は、フランス、ロシアで出店ペースが加速

欧州ユニクロ事業は経営基盤が強くなり、業績が上向きにあるフランス、ロシアを中心に、年間の出店ペースが加速しています。2017年秋にはスペイン バルセロナにも進出を果たし、大成功を収めることができました。2018年秋にはスウェーデン ストックホルムへの初出店を計画しているほか、ヨーロッパ各地の主要都市への出店を進めていく計画です。

 

国内ユニクロ事業は効率性を追求

「個店経営」を推進

日本のアパレル市場は、人口の減少、高齢化社会の影響により、市場そのものが縮小するという厳しい状況にあります。そうしたなかで2016年春から始めた「毎日お買い求めやすい価格」戦略を徹底したところ、国内ユニクロ事業では客数が増え始めました。競合他社に比べて、ユニクロのプライスリーダーシップが十分に発揮できたためです。

今後の国内ユニクロ事業は「個店経営」を徹底し、1店舗当たりの売上を増加させ、同時にコスト削減を進め、効率アップを図っていきたいと考えています。地域のニーズに根ざした「個店経営」には、そのエリアのニーズを最もよく知る経験豊富な正社員が欠かせません。そのエリアにあった商品構成やマーケティング戦略へと転換することで、地域の生活をより豊かにするLifeWear が実現します。日本全国で1万人にまで増えた地域正社員一人ひとりの能力が高まり、店長のような働きができる人材に育つことで、「個店経営」の実践ができると考えています。

Eコマースと融合した新しい店舗

Eコマースの拡大とともに、リアル(店舗)とバーチャル(EC)がシームレスでつながる新しい店舗をつくっていきたいと思っています。情報を駆使した新技術と、新しいサービスを備えることで、お客様にとってより便利で買いやすい店舗にしたいと考えています。

店舗では今まで以上にサービスレベルの向上や店舗スタッフのスキルアップが必要になります。たとえば、「お客様がECで発注した商品を店舗で受取る」といったサービス、ジャストフィット商品のための採寸サービスなどに対応しなければなりません。「EC発注・店舗受取り」が簡単になれば、大型店でしか買えなかったコラボ商品などをECで発注し、近隣の店舗で手軽に受取れるようにもなります。こうしたサービスが広がれば、EC販売が大幅に増えていくことが予想されます。またECの拡大と同時に、店舗オペレーションの効率化も図ります。2017年秋から導入したRFIDによる在庫管理により、棚卸や在庫検索などの作業も簡略化される見込みです。

 

ジーユーは、日本発の新しいファストファッション

停滞期こそ変革期

高い成長を続けていたジーユー事業にとって、2017年8月期の業績は、大幅な減益という厳しい結果になりました。経営体制、人材育成、組織力、商品開発力、リードタイムの短縮、ローコストでの店舗経営など、課題が山積みですが、こうした停滞期こそが変革期だともいえます。ジーユーが最優先で解決しなければならない課題は、ジーユーというブランドが、グローバル市場でどういったポジションを取っていくのかという、ブランドの再定義です。この課題を克服すれば、再度ビジネスを飛躍的に拡大させることができると思っています。
ジーユーの強みは旬のファッションをいち早く商品化し、圧倒的な低価格で提供できることです。ジーユーのコンセプトはユニクロとは異なるため、ユニクロと競合することはありません。将来的には、この2つのブランドが共存する店舗を増やしていきたいと考えています。これによって相乗効果が生まれ、より多くのお客様のニーズにお応えすることができると考えています。

ジーユーが、さらに事業を拡大するためには、グローバルブランドとしてのポジションを確立し、海外市場で成長していく必要があります。2017年3月に進出した香港の店舗は大きな成功を収めました。また、中国大陸、台湾の市場でも手ごたえを感じ始めています。今後は韓国、東南アジアへと出店エリアを拡大していきたいと思っています。そのためにも今の業績停滞をバネに、商品開発、素材調達、生産拠点の開発など、サプライチェーンすべてのプロセスを変革していきます。

現在の売上規模は約2,000億円ですが、10年後には1兆円企業となることを目標にしています。日本発のファストファッションブランドとして、ジーユーを、ファーストリテイリンググループの第二の柱として成長させていきたいと考えています。

 

グローバルワン・全員経営の経営体制を実践

すべての社員が経営者マインドをもつ企業

「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という企業理念は、ファーストリテイリングを良い会社にしたいと思い、掲げたものです。社員全員がクリエイティブな力を発揮して、イノベーションを起こす会社にしたい。本当に良い服、最高のサービスをお客様にお届けしていきたいと思っています。

我々が最も大切にしているのは、世界中の全社員が、「グローバルワン・全員経営」の精神で、情熱的に仕事をすることです。各エリア、各事業で、最も成果が上がったことを、グループ全員で共有して実践する組織です。一般的に小売ビジネスは、マネージャーが考えて指示を出し、店舗の販売員がその指示に従うという組織構造です。しかし、ファーストリテイリングでは店舗のアルバイトからトップ経営者まで、すべての社員が経営者マインドをもち、自らが考えて、お客様に最高の商品、最高のサービスを提供するという「全員経営」を実践しています。

 

世界No.1のアパレル製造小売業をめざす

ファーストリテイリングを「情報製造小売業」へと変革し、新しいビジネスモデルを確立させることで、世界No.1のアパレル製造小売業にしたいと考えています。2000年度には米国GAP社の2割程度しかなかった我々の売上規模は、2015年度にはGAP社と並ぶ水準に成長しました。現在は、我々と同じように企画・デザイン・生産・販売を行う"アパレル製造小売業"で成功を収めている、ZARAを展開するInditex社、H&M社に次ぐ、世界第3位の売上規模となりました。

ユニクロがZARAやH&Mといったファストファッションのブランドと差別化が図れているのは、ユニクロがめざすLifeWear( 究極の普段着)というコンセプトにあると思います。ZARAやH&Mのようにファッショントレンドを重視するブランドと、ユニクロがめざすものは異なります。我々のLifeWearは、「着る人の価値観からつくられる服、服に個性があるのではなく、着る人に個性がある」という考えに根ざしています。

有明プロジェクトを進めることにより、よりお客様の声を生かした、お客様のニーズに応えることができる「情報製造小売業」に転換し、同時に、我々のLifeWearも進化させていきたいと思っています。

ファーストリテイリングのビジネスは、お客様、そして社会を豊かにするためにあります。その目的を忘れず、世界をより良い方向に変えていくための努力を、我々はこれからも続けていきます。

 

株主還元は業績に応じた高配当を実施

成長のための投資資金、財務健全性のための内部留保、株主の皆様への利益還元といった配分を基本とし、業績に応じた高配当を方針としています。2017年8月期の1株当たりの年間配当金は、前期と同額の350円を実施しました。

今後も株主の皆様への利益還元を、経営の最重要課題のひとつであると考え、高配当を継続してまいります。

 

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