What Diversity Means to Us

　マレーシアはさまざまな民族、言語、宗教が混在する多様性に富んだ国です。日々の生活の中で、それぞれの違いを理解して受け入れているのと同時に、共通するものがあることを誰もがわかっています。ダイバーシティ＆インクルージョン（D&I）はマレーシアでは新しい考え方ではありません。ライフスタイルの一つであり、誰もが心地よく暮らすために欠かせないものになっています。

　ユニクロを含むファーストリテイリンググループは、グローバルでD&Iの推進に取り組んでいます。D&Iの真の価値を理解して推進するためには、すべての従業員とビジョンを共有し、それに向かって意識や行動を変えていくことが重要です。
　さらに加速させるためには、国や地域の特性に合わせた活動が求められています。一つ例を挙げると、ユニクロマレーシアでは女性の管理職は男性より多く、ジェンダーギャップの解消は他の国や地域より進んでいるかもしれません。
　その一方で、従業員の民族構成比はマレーシア全体のそれとは異なっています。すべてのお客様により良い商品・サービスを提供するためには、私たちの組織にもマレーシアという国の多様性を反映させることが重要です。従業員の長期的なキャリア形成のサポートや採用を通して、ユニクロで働く魅力を伝え、多様な民族的背景を持った従業員がともに生き生きと働けるチームを作っていきたいと考えています。これもD&I推進の一つです。

　ユニクロマレーシアでは、2020年10月にD&I委員会を設立しました。設立前から、各部署でメッセージの発信や啓発イベントが行われていました。優れた取り組みも多かったので、部署横断の組織で情報を共有してアイデアを出し合えば、さらに加速することができる。そう考えたのが、D&I委員会設立の理由です。 　D&I委員会には、人事、サステナビリティ、マーケティング、PR、総務などからメンバーが参加しています。委員会メンバーの積極的な働きかけで、一体感のある活動ができるようになってきました。 　たとえば、ユニクロマレーシアでは年2回、社内外に向けてD&I意識の向上を目的としたキャンペーンを行っています。このキャンペーンを通して従業員の意識が高まり、ビジネスにおける意思決定の際に「D&Iの観点ではどうなのか？」と各部署で検討されるようになってきています。

　私たちの具体的な活動を一つご紹介します。2021年の国際女性デーに合わせて、1カ月間にわたってキャンペーンを実施しました。このキャンペーンでは、ビジネスの重要な軸である、商品、店舗、サステナビリティ、お客様、従業員、社会、それぞれが繋がるように設計しました。
　地元の女性アーティストとコラボレーションした「UTme！」の特別デザインのコレクションを発売しました。「Women＆Flower」をテーマにしたコレクションには、すべての女性が自身のアイデンティティをしっかりと持ち、日々の生活を送れるようにという願いが込められています。
　売上の一部は女性支援団体に寄付し、困難な状況に置かれた女性の自立に必要なノートパソコンや技能訓練用のミシンなどの購入に充てられました。
　社内向けには、トークセッションやワークショップを行いました。トークセッションでは、一人ひとりの従業員の個性を活かすためのマネジメントのあり方や環境整備について議論しました。ワークショップでは、異なる人種のメイクアップを体験するパートを設けて、楽しみながら理解を深める工夫をしました。

　一人ひとりの違いが、私たちを特別でユニークな存在にしています。組織と個々人の成長には、一人ひとりを受け入れ、尊重するD&Iが不可欠です。
　多様な人が集まることは、私たちの組織を強くします。異なる視点は新しいアイデアをもたらし、従業員の生産性を向上させ、より高い価値をお客様に提供できるようになるからです。
　私は、ファーストリテイリンググループがD&Iをグローバルに推進していくために設立した、グローバル・ダイバーシティ・リーダーシップチームにも参加しています。複数のグループ執行役員を中心に、ファーストリテイリンググループのD&Iのあるべき姿を議論するとともに、各地域の取り組みや課題を共有しています。このチームに参加して、マレーシアの独自性を気づかされました。D&Iが日々の生活に根付いているマレーシアに生まれ育ったことを、誇りに思っています。
　これからも、個性や強みを最大限に活かす、誰もがありのままの自分でいられるインクルーシブな環境づくりを、一緒に働く仲間と共に進めていきます。