FAST RETAILING

ソーシャルビジネスと
サステナビリティへの
取り組みを通じ、
国際社会に良い影響を与えていきたい。

Hiroki Oka

SPECIAL 03

社員たちの「使命」と「実行」

ミッション・業務内容

岡が担当する「グラミンユニクロ」は、生産から販売に至るすべての事業プロセスをバングラデシュ国内で完結させることで、同国の繊維産業の発展のみならず、貧困や健康問題、教育問題といった社会課題の解決を目指していくソーシャルビジネスだ。これは同時にサステナビリティへの取り組みにも通じることから、岡はサステナビリティ部の業務も兼務している。「どちらもたくさんの努力が必要で大変」と本人は笑うが、自らが語る業務内容は未来に向けた大きな希望を宿す。そのことを誰よりも自覚しているからこそ、岡は自身の職務と誠実に向き合っている。

人の役に立ってこその
自分の人生。

ユニクロは自分の価値観を体現できる会社だった

前職はベンチャー企業でブライダルの仕事をしていました。もともと「人のために生きる」というか、「人の役に立っている」という実感が自分の行動の起点、原動力となってきたこともあり、「人の役に立ってこその自分の人生だな」と考え、選んだ仕事でもありました。

ただ、働くうちにふと思ったんです。やりがいを感じてはいましたけど、ドメスティックだし、お客様も富裕層の人たちばかり。もし自分が「人のために生きる」「人の役に立つ」ことに価値を見いだしているのであれば、本当に助けを必要としているような人たちに向けて広くグローバルに貢献できたほうが、より満足のいく人生になるのではないかと。

この点で、ユニクロは私の価値観を体現できる会社でした。お客様のため、社会のために役立ってこその企業だと本気で考えていましたし、それをグローバルで成し遂げることで「あらゆる人」の役に立とうと、新興国にも積極的に進出していましたから。

こうした経緯もあって、入社して以降は事あるごとに「新興国での仕事がしたい」と言い続けていましたね。そして声をかけてもらったのがグラミンユニクロでした。「貧しい国の人たちの暮らしをより豊かにする」というミッションは、自分にとっても望むところでした。

主語にすべきは “I”ではなく“We”。

「駐在員」であって「仲間」ではなかった

グラミンユニクロはソーシャルビジネスという、ユニクロにとっても初の試みでした。そうしたチャレンジングな環境に20代後半で身を投じ、30歳までに何らかの成果をあげることができれば、バングラデシュの発展に貢献できるし、その後の自分のキャリアにおいてもより多くのアウトプットができるようになるだろうと、期待も高まる一方でした。

それだけに着任して数カ月後、現地従業員から「岡さんは私たちのことを何も理解してくれない」と言われたときは正直、ショックでしたね。ただ、その理由については自分でも心当たりがありました。ひと言で言えば、主語が“I”だったから。

リーダーシップを発揮していく上で大切なことは、「私はこう思う」「私だったらこうする」ではなく、「私たちはどうすべきか」とチームに投げかけ、「その国や地域のお客様のためになること」を皆で一緒に考え、実行していくこと。ところがそのときの私はと言えば、宗教も文化も何もかもが異なる環境にも関わらず、日本で取り組んできたことや自分の価値観のみをもとに現地での取り組みを比較して、できていないことを指摘し、変えようとばかりしていました。

結果として、主語を“We”で語るべきところをすべて“I”で語り、現地従業員からは「駐在員」と特別視されるばかりで、「仲間」とは見なしてもらえていなかった、というわけです。それに気付いてからは“I”を“We”に変えることで、現地従業員との距離を縮めていきました。

途上国の成長は
繊維産業から始まる。

従来とは異なる収益構造の確立にチャレンジしている

バングラデシュにおける事業は、売上で得た収益を事業に再投資することでビジネスの発展を目指すという、ユニクロにとって従来のビジネスモデルとは異なる収益構造へのチャレンジであり、その成功は二つの大きな意味をもたらすと考えています。

一つは、その国の発展に大きく貢献できること。かつての日本がそうであったように、国の経済成長というのは軽工業から重工業へと徐々にシフトしていくことで遂げられていきます。つまり繊維産業は、途上国が成長を遂げるための礎になりえ、バングラデシュにおいても繊維産業が国の基幹産業となっています。

もう一つは、サステナビリティに寄与すること。これまでのCSR(企業の社会的責任)という枠組みではなく、本業として取り組んでこそ、社会の持続的な発展に大きく貢献できます。現在、私がサステナビリティ部の業務を兼務するのも、グラミンユニクロでの知見、ノウハウを広く活用していくことが目的です。

社会課題を解決し、新たな価値を創造する

私たちは現在、自社の事業を支える3つのテーマ、「People(人)」「Planet(地球)」「Community(地域社会)」における課題を解決することに取り組んでいます。

事業活動を行う国や地域で働く人たちの健康、安全、人権を守ることはもちろんのこと、とりわけ新興国や途上国で重要となってくるのが、多様性を尊重しながら一人一人がやりがいをもって働き、成長できる環境を整えていくことです。

サステナビリティ部では海外事業担当として、タイやベトナム、インドを受け持っていますが、今も現地従業員たちと、いかにして「環境負荷低減」を実現するか、どうやって「地域社会との共存・共栄」を図っていくか、議論を重ねています。

まだ緒に就いたばかりですが、そうした話し合いや、そこから生まれたアイデアの実行を通じて、私自身もまた、現地従業員の「やりがいや成長」に寄与していけたらと、取り組んでいる最中です。

一つ一つの取り組み、一人一人の考えや行動をつなぎ合わせる

一連の業務を通じて感じているのは、ユニクロには約20年におよぶ社会貢献の歴史があり、良い取り組みが、さまざまな国や部署で行われてきたにも関わらず、それを組織全体に活かすことができていないということ。同様に、社員一人一人が良い会社にしていきたいと強く思って実行しているにも関わらず、個々人や一部の人たちの取り組みに終始しており、全従業員に共有できていないということです。

私としては、既存のこうした一つ一つの取り組み、一人一人の考えや行動をつなぎ合わせ、世界中の全従業員の意識改革や行動変容を促すことができれば、ユニクロひいてはファーストリテイリングは、国際社会にとって真に必要とされる企業となり、世界を良い方向へと変えていく力になれると信じています。

グラミンユニクロにしてもサステナビリティ部の取り組みにしても始まったばかりであり、これからもたくさんの努力が必要です。ただ、どちらの仕事も私の価値観、人生観と合致しています。だからこそ担当国の仲間たちの力を結集し、着実に実行することを自らの使命とすることで、私自身も国際社会に良い影響を与えていきたい、そう思っています。

UNIQLO

岡 宏樹

Hiroki Oka

ユニクロ グラミンユニクロ 兼 サステナビリティ部

2012年に中途で入社。標準店や大型店で店長を務め、2016年にバングラデシュに赴任。同国内ではすべての事業プロセスを一気通貫で行う必要があったことから、店舗運営や人事教育のみならず、出店や店舗デザインなど、あらゆる業務に従事した。2020年9月からはサステナビリティ部も兼務。海外事業担当として、担当国(タイ、ベトナム、インド)のサステナビリティ推進に取り組む一方、サステナビリティの教育担当として、全社の意識改革・行動変容も推し進めている。

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