CONCEPT MESSAGE

PEOPLE
ジーユーはユニクロ以上にローカライズが難しい。
しかし、それを成功させてこそ、
グローバルでの勝機が見出せる。

現地スタッフの価値観を理解して尊重できる、開かれた精神の持ち主だけが、世界を舞台に活躍することができるのだ。

「教える」から「活かす」へと意識が変わる。

私が台湾に赴任したのは、入社4年目の秋のこと。異動を告げられた際は、正直言って驚きましたが、「自分を成長させるうえでも大きなチャンス」と考えて、台湾に赴きました。ですが、最初の半年間は、現地スタッフとうまくいかずに苦労しましたね。言葉の壁もありますが、一番の原因は、私自身の接し方にあったと思います。こちらに来たばかりの頃は、台湾人スタッフのできていないところばかりが目に付いて、「できるようにしてやろう」と思っていたんです。いわば「日本から来た先生」のような感覚で接していたために、「やり方を押し付けている」と受け止められて、反発を買い…スタッフが全然ついてきてくれませんでした。

そこで、「先生」という意識を取り払い、フラットな目線でスタッフの働きぶりを見ていくと、言われたことはきっちりやるし、決定力もある。台湾人の真面目さや優秀さが分かってきたのです。そして、「売上を伸ばしたい」「商売を大きくしたい」という意識が高く、私以上に貪欲なのだと気づいてからは、むしろそのハングリー精神に敬意を抱くようになり、「教える」というよりも彼らを「活かし」、持てる能力を最大限に発揮できるようサポートするのが自分の役割だという風に、考え方が変わっていきました。

また、台湾の人たちは、日本人と違って成長意欲を率直に表に出しますし、「認められたい、評価されたい」という気持ちも強い。逆に「良いのか、悪いのか」、明確に評価されないことを嫌うため、期初にしっかりと目標をすり合わせて、仕事を委ね、結果に対して評価をするよう心がけていくなかで、スタッフの信頼を得られるようになり、チームとしての連帯感も生まれてきたのです。海外で働くために重要なのは、その国の人々を理解して、好きになり、相手のことを尊重しながら共に働いていく心。そんなマインドを持つ人こそが、世界を舞台に活躍できる人材なのだと私は考えています。

日本流を踏襲していたのでは、現地の嗜好にフィットしない。
試行錯誤しながら売り方を変え、「台湾独自」を実行に移してきた。

お客様の声をヒアリングして、翌日には売り場を即修正。

私がこの地に赴任したのはジーユーが台湾に初進出した翌年で、店舗運営の基盤も確立されていない時期だったため、「いかにして売るか」に関しても暗中模索の日々でした。台湾の市場特性を知らぬまま、日本の計画に基づいて商品を仕入れてしまったために、大量の不良在庫を抱えたこともありました。

この経験を通して痛切に感じたのは、商売をローカライズしていくことの必要性。各シーズン、グローバルでどんなトレンドを打ち出すか。プロモーションする商品の構成や売り場展開の基本方針は日本の本部で策定されますが、それを踏襲するだけでは台湾市場にマッチした売り場はつくれない。よって以降は、台湾独自の判断で、この国のお客様や気候に合わせた商売をしようと決めたのです。

台湾は気候が温暖なため、アウターはあまり売れませんが、Tシャツやショートパンツはよく売れます。キレイめのコーディネートより、カジュアルなスタイルが好まれるのも特徴です。したがって、グローバルのトレンドが「チェック柄」だったなら、チェックのボトムスにカジュアルなトップスを組み合わせて、日本とは違う展開をする。そして、台湾人スタッフに店頭でお客様の意見をヒアリングしてもらい、「買われた理由」「買われなかった理由」を分析したうえで、次の日には売り場を変えるといった取り組みを継続してきたのです。

ただし、販売のローカライズは、口で言うほど容易くはありません。なぜならばジーユーは、ユニクロのようなベーシックな服ではなくて、ファッションを売っているブランドだからです。ベーシックな無地の服を各国で売るよりも、好みの分かれる柄物の服を各国で売る方が難度は高くなりますし。台湾の人々の感性に合うようなコーディネートを探り出し、独自の売り場展開やプロモーションを実現するために、どれほど試行錯誤をしたことか…。でも、それをしなければ事業を軌道に乗せることができない以上、立ち向かうのは当然ですし、ローカライズを成功させてこそ、グローバル展開の勝機があると私は考えています。

台湾の店頭に、新たな文化や楽しさを。

一方、過去に行った施策の中には、ローカライズの範疇に入らないものもあります。例えば、ハロウィンのイベント。台湾では、日本のようにハロウィンの文化が根付いておらず、仮装した人たちが大勢集まるような光景も見られません。ですが、「お客様に楽しく新しい体験を届けたい」との想いから、思い切ってトライしてみたのです。

当日は、店舗スタッフがかなりホンキの仮装をして、売り場もハロウィンらしく賑やかにディスプレイ。お客様にも仮装したスタッフと一緒に写真を撮っていただいて、Facebookで拡散をしてもらい、抽選で賞品をお渡しするという仕掛けを組み込みました。すると予想を上回る反響があり、売上にも大きな山が!

台湾では前例のないイベントだっただけに、成功するかどうかは賭けでしたが、失敗を恐れず挑んだことで、台湾の店頭に新たな風を吹き込めたのではないかと考えています。

眼前の課題を一つひとつクリアしながら、
事業をスケールアップしていこうと思う。共に働く大切な人たちのためにも。

次なる改革を、デジタルで、おしゃリスタで。

2014年に2店舗から始まったジーユーの台湾事業は今、8店舗へと増加。EC事業もスタートし、2017年にはついに黒字化が達成されました。この黒字を一時的なもので終わらせることがないように、継続的な増収増益を実現し、台湾におけるビジネスをスケールアップすることが現在の私の命題となっています。そしてそのためには、これからもさまざまな課題を乗り越えていかなければならないと理解しています。

例えば、出店を加速させたいと思っても、立地・面積・家賃の面で条件に合う物件が見つけにくいという問題。これについては、仮に対象物件が狭いなら、店舗では展示だけを行って、販売にはEコマースを利用するという風に、デジタルとの融合で業態を変革していく道筋もあると見ています。

また、台湾のお客様にジーユーの真のブランド価値が伝わっていないこと、今もなお「安いユニクロだ」と捉えられていることも、早急に解決しなければいけない課題です。そこで今、台湾独自に進めているのが、店舗スタッフ全員の「おしゃリスタ化」。ジーユーは元来、お客様自身が自由に商品を選ぶというスタイルで、デパートのような接客はあまり行ってきませんでした。そのため日本の場合、おしゃリスタは各店に1、2名しか存在しませんが、台湾では全員がおしゃリスタになる。そしてお客様一人ひとりに寄り添って、お好みに合うコーディネート提案をしていくことが、「YOUR FREEDOM 自分を新しくする自由を。」というブランドメッセージの普及・浸透につながると考えています。

止まることなく、挑戦ができる訳

先程、「ジーユーは売り方のローカライズが難しい」と述べましたが、個人的には、毎年トレンドが入れ替わり、自分を新しくできる商売は楽しいと思いますし、お客様にもその楽しさを知っていただけるように創意工夫をしながら販売できるところが、ジーユーならではの醍醐味だと感じています。

自らの判断で売り方を変えていくということは、その結果に対する責任も重くのしかかってくるということです。しかしそれでも、営業部隊のリーダーとして勇気を持って決断し、挑戦を重ねることができるのは、台湾人の店長やスタッフが可愛いからです。

日本にいた時代にも、店長やスタッフは「家族」と考えていましたが、台湾に来てからはその意識がより濃厚です。仮に事業が傾けば、皆が活躍する場を失ってしまうから、絶対につぶしてはいけないし、事業を大きくすることで、能力を発揮できる場を広げたい。台湾のメンバーが経営幹部となれるよう、成長をサポートしていきたい。そんな想いが今日も私を突き動かしています。