CONCEPT MESSAGE

PEOPLE
ジーユーが海外で追求する
「利益拡大」と「現地化」は、
広く社会に貢献できる。

同時進行ですべての店舗をマネジメントしていくためには、チームワークだけでなく、自らの強いリーダーシップも大事。重要だったのは、「短い時間にどれだけ人に影響を与えられるか」ということ。

店長とスーパーバイザーは勝手が違った。

これまでを振り返りひとつ自分が誇れるのは、泥臭くやる、がむしゃらにやるということを貫いてきたこと。とくに入社2〜3年目くらいまでは、知識も経験も不足していましたので、とにかくその部分を早く補おうと、人の2倍は働くつもりで日々の仕事に取り組んでいました。

ただ、こうした姿勢はときに周囲との温度差を生み、自分のワンマンプレーを生み出したのも事実。2年目の秋、店長として新店舗の立ち上げを任されたとき、開店当初に思うような結果を出せなかったのも、このことと無関係ではありませんでした。全力を尽くしてきた自負と、それなりの自信もあっただけに、お客様の期待に応えられない自分がもどかしく、私はますます孤立しそうになりました。そんなとき、過去の自分の経験談を語りながら私を導いてくれたのが、当時のスーパーバイザーでした。私はその言葉もさることながら、自分に理解を示し、寄り添おうとしてくれるその行動に、仕事は一人ではなくチームでやるものだということを教わりました。

ただ、いざ自分がスーパーバイザーになると、まったく勝手が違いました。自分の店舗のことを考え抜き、スタッフたちとも腰を据えて向き合っていく店長とは異なり、3店舗、5店舗と担当する店舗が増えるので、従来の仕事の仕方では対応できません。同時進行ですべての店舗をマネジメントしていくためには、チームワークだけでなく、やはり自らの強いリーダーシップも大事。各店舗やスタッフ一人ひとりに割ける時間も短くなる以上、「自らの言動を通じて、短い時間にどれだけ各人に影響を与えられるか」が重要でした。

そこで私は課題に直面するたびに、各店舗の店長だけではなく、スタッフの意見も聞くよう心がけました。店長の視点とスタッフの視点、双方の意見を聞いて初めて見えてくる現場の事象があります。一つひとつの現場を理解し、独り善がりの判断とならぬよう周囲に助言をもらいながら、解決策を導き出す。こだわったのは、一連のサイクルをできるだけ早く回し、最短で答えに辿り着けるようにしたことです。手前味噌ですが、このやり方によって自分なりの勝ちパターン、負けパターンを短期間で蓄積することができました。また、それが後ろ盾となってスタッフたちにも好影響を与えられるようになり、結果もついてくるようになったのです。それだけに現業務にアサインされたときは、自分に対する期待も少なからずありました。

今まで以上にスタッフの意見に耳を傾け、彼らの言い分を論理的に整理することでストーリーとして共有し、一緒に課題を解決していくようになった。結果、業務のスピードは日本にいるときよりも落ちているが、仕事の質としてはむしろ向上している手応えを感じている。

積み上げてきた自信が大きく揺らいだ。

着任早々、自分への期待はもろくも崩れ去りました。日本と世界は、やはり違いました。香港においてもまずは率先垂範とばかりに、私は新店舗オープンに向けて業務をリードしていきました。実際、それが営業支援としての私のミッションでしたので。ところが、香港のスタッフたちには逆効果のようでした。「この人は私たちの職場にずかずかと入り込み、いったい何を始めているのか」「私たちの売場をどんどん変え、違うものをつくりだしているではないか」「私たちのことを否定しているのか」と。

海外においては職位に関係なく、担当する業務においては平等、対等を旨とします。そのため、何かひとつ事を前に進めるにしても、「僕はこう思うけど、あなたはどう考える?」と、日本にいた頃以上に意見を求めながら仕事を進めることが大切になってきます。コミュニケーションの主語は、自分ではなくいつも相手。この点で当初は、もどかしさを感じたのも事実でした。

ただ、そうこうするうちに、ある考えが私の頭をよぎるようになりました。「自分がこれまで正しいと思っていたやり方は、本当に正しいのか。もしかしたら、もっといいやり方なり考え方というのが、あるのではないか……」と。

積み上げてきた私の自信は大きく揺らぎました。不安になった私は、正直に上司に相談しました。このとき上司に言われた言葉は、今でも私のひとつの指針となっています。「壁にぶつかるということは、ステップアップした証拠だ。その点には自信を持っていい。大事なことは自分の強みを見失わないこと。人は強みでしか伸びていかないのだから」。

自分で言うのもおこがましいのですが、私は論理的な思考と行動、そして人脈の広さが強みだと理解しています。ひらめきや思いつきでは動かないという点で、計画を立てるときはいつも悲観的ですし、必ず誰かに相談するようにしています。ときにこれが足かせになることもありますが、論理的であるからこそ成功も失敗もきちんと検証でき、自らの知見として蓄積できると考えてきました。

私は上司の言葉によって自らの強みを見つめ直し、今まで以上にスタッフの意見に耳を傾け、彼らの言い分を論理的に整理することでストーリーとして共有し、一緒に課題を解決していくよう心がけるようになりました。結果として、業務のスピードは日本にいるときよりも落ちていますが、仕事の質としてはむしろ向上している手応えを感じています。

香港に赴任し、自らのリーダーシップによってジーユーに変革をもたらそうと息巻いていた私でしたが、リードされたのはむしろ私の方でした。パラダイムシフトは他ならぬ自分のなかに起こりました。

「利益拡大」と「現地化」で、その国に貢献する。

香港は1時間半もあれば、端から端まで移動できるような小さな都市です。しかし、ここに700万人もの人々が暮らし、その国籍も実に多彩。加えて世界中から、年間4,000万人もの観光客が訪れます。結果として、アジアのみならず世界への発信力を有しており、当地での事業の成功はジーユーの存在をグローバルに知らしめることへとつながります。そこで目下、私が課題として取り組んでいるのが、「利益拡大」と「現地化」です。

「利益拡大」においては、売上を上げてコストを下げるという基本が大事。とくにジーユーも、そしてかくいう私自身も、「オペレーションは強いが、商売は弱い」と感じているだけに、いかに売上を上げていくかがポイントだと考えています。そこで現在はマーケットの特性を見極めながら、現地従業員たちとさまざまなトライ&エラーを重ね、香港での商売に磨きをかけています。

「現地化」については、いかに現地従業員たちを輝かせるか、そういう職場なり環境をいかにして私たち本部スタッフが実現できるかが、大きなポイントだと考えています。そこで私はさまざまなアイデアを現地従業員に提案し、そこに彼らのアイデアをミックスしてもらい、彼らの手で実行してもらうよう仕向けています。また、現地従業員たちからのアイデア、企画についても、その実現に向けて日本のインフラやリソースを活用できるよう、私が本部との橋渡し役を担っています。

私の一連の取り組みは時間がかかるように見えて、実は一番の近道だと考えています。なぜなら、「利益拡大」と「現地化」はワンセットだと思うからです。「現地化」への取り組みを通じて、従業員の満足度が向上すれば、香港でのジーユーの認知度も高まる。そのことが従業員の誇りとなって商売を磨き、お客様満足となり、「利益拡大」へとつながると思うからです。そして、もたらされた「利益拡大」が新たな店舗を生み出し、そこに新しい雇用が創出されて、「現地化」をさらに深化させることへとつながっていく。私はこうした絵を描いていきたいと考えています。

同時に思うことは、進出先の国や地域の人たちが輝いて働ける職場を提供することは、そこへの恩返しであり、企業が社会に対し果たすべき責務だということ。綺麗事と笑われるかもしれませんが、私はこうした高い志を持って、香港事業を拡大していきたいと真剣に考えています。

あらゆるお客様が等しく気軽にオシャレを楽しめる環境を整備できたらと夢見ている。そして、現地の人たちが生き生きと働ける職場を提供することによって、世界規模で生活水準の底上げに貢献できたら、それはとても素敵なことだと思う。

水平展開できるプラットフォームを作る。

これは香港に限らず海外事業全般にいえることですが、日本と比べれば事業規模も小さいため、どうしても本部メンバーの人数は限られます。そのため一人一人の裁量は大きく、裏を返せば責任も重大なだけに、チームの結束は固く、絆は強いです。こうした環境のなかで、苦楽をともにしながらチームワークで「利益拡大」と「現地化」に取り組む仕事はやりがいも大きく、そして非常に楽しいです。言葉の壁や文化の壁など、日本では考えられない障壁に阻まれますが、個人的な見解として、私は「夢」と「ちょっとした勇気」さえあれば、そうした障壁はいくらでも乗り越えられると実感しています。

それに海外展開において、ジーユーには2つの強みがあります。「スピード」と「グループ力」です。イノベーションによって時代はものすごいスピードで変化、進化していますが、ジーユーは時代の最先端について行けるだけの企業体質を、国内事業を通じて身につけてきました。それにユニクロやセオリーなど、ファーストリテイリンググループとして蓄積してきた知見、ノウハウもしっかりと共有しています。こうした強みを活かしながら、本部メンバーたちが求心力となって、現地従業員たちと大きなうねりを生み出し、海外事業を盛り立て、世界展開を拡大していくという仕事は、とてもダイナミックです。

しかも私たちの仕事は、B to BではなくB to C。たとえばここ香港で、デジタル技術を使って700万人もの人たちにポンと情報を発信すれば、1時間足らずでお店に来ていただくことも理論上は可能。デジタルに限らず、何らかの成功事例を生み出せれば、お客様の流れを一気に変えることができます。私たちのアクションがお客様のリアクションを生み出し、そのリアクションが私たちを成長させてくれる。このサイクルをどんどん回しながら、事業が拡大していく様子、市場が拡大していく様子を目の当たりにしながら仕事ができるというのは、やりがいも喜びもひとしおです。

今の私の夢は、香港事業を通じて今後の海外事業に水平展開できるような、そんな強固なプラットフォームを作り上げること。このプラットフォームをもとにジーユーが世界各地で店舗を展開し、あらゆるお客様が等しく気軽にオシャレを楽しめる環境を整備できたらと夢見ています。