CONCEPT MESSAGE

PEOPLE
最適な生産の仕組みを
グローバルに展開することで
世界一の生産プラットフォームを構築する。

5年後、10年後を見据え、世界のどこで、どういうものを作っていくかというのが「工場政策」。お客様の声を直接聞きながら、自分の頭で考え、実行するところに醍醐味がある。

商社時代との最大の違いは、能動的か受動的か。

新卒で商社に入社し、アパレル部門のOEM部署に配属。そのときの取引先がユニクロでした。以来、OEM営業担当としてユニクロ向け商品の受注生産拡大に努め、中国におけるサプライチェーンの維持、強化に取り組みました。そうした縁もあって、2013年にユニクロに転籍したのですが、このとき私の背中を押したのが、「ファーストリテイリンググループでなら本気で世界一を目指せる」という強い思いでした。

私が商社に在籍していた当時、すでにユニクロはどこよりも早く、「小売りのブランドが自前で商品を調達する」という取り組みを推し進めていました。商社や問屋といった中間業者を介さない「中抜き」で、低価格、高品質の商品を自社で生み出そうという試みで、当時それは業界の非常識でした。

ところが、ユニクロはそうした既成概念、旧来の商習慣というものにとらわれることなく、とにかくシンプルに「お客様のために何がベストか」を追求していました。しかも、そうした常識を変えるような仕組み、考え方を柳井社長以下、社員全員が共有、模索し、自分たちが目指す「アパレル製造小売業(SPA)」の実現に向け、情熱を持って努力する企業風土を有していました。私自身、そうした社風を取引先として体感していたことが、「この企業は世界一になるかもしれない」という予感を抱かせたのだと思っています。

ユニクロに転籍し、さらにジーユーに異動してからも、サプライチェーンを担うという点で、私の仕事は商社時代と変わりません。ただし、唯一にして最大の違いは、能動的(発注者)か受動的(受注者)かという点です。

商社時代は「真心とフットワーク」、そして「泥臭さ」を身上に、いかにしてユニクロの意向に沿う低価格、高品質の商品を短期間で作るか、それを中国国内の各工場と協力しながら実現していくことがミッションでした。一方、ユニクロやジーユーにおいては、5年後、10年後を見据え、どこの工場で、どういうものを作っていくかという「工場政策」を、お客様の声を直接聞きながら、自分の頭で考え、実行するところに醍醐味があります。

今後は「縫製」と「生地」の生産国ポートフォリオをいかに戦略的かつグローバルに追求していくかがポイント。世界に進出するということは、世界に供給網を張り巡らせることと同義であり、私たち生産部の真価が問われている。

最適な生産の仕組みをグローバルに構築していく。

私はジーユーの強みを、低価格、安心品質、そしてマストトレンドファッションの提供という3つにあると考えています。ガウチョパンツやスカンツなどは、そうした強みの結晶といえます。このようなメガヒット商品は、業務の仕組みや仕方を日々見直しながらPDCAを高速でまわしていくスピード感と、チャレンジを推奨する企業風土、そして世界一になるという気概なくしては生み出されません。

とりわけ生産部では、顧客起点の開発・製造をタイムリーに実現するために、最適な生産の仕組みをグローバルに構築していくことが重要です。

ジーユーが今後、売上1兆円規模の企業となるためには、マストトレンドの開発、商品構成の見直し、生産リードタイム(生産期間)の短縮、継続的に低価格を実現する仕組みが求められています。これらはすべて、生産部の業務と密接に関わる課題であり、私たちは現在、以下4点について重点的に取り組んでいます。

第1に取り組んでいるのが、「グローバルレベルの優良な工場との強固なパートナーシップの構築」です。キーワードは、ロジカルとエモーショナル。前者については言えば、「こういう仕組み、こうした仕方なら、このように生産できる」という判断基準を、論理的に伝えること。このとき私たちが実現すべきは、その工場との継続的な取引を通じ、「ジーユーの商品を作っているなら、この工場は優良だ」と他社からも引き合いがくるほどの水準に導くことです。ロジカルとは、Win-Winのシナリオを描き、ともに協力しながら実現する、ということに他なりません。他方、後者エモーショナルについて言えば、工場経営者の共感を獲得し、「ジーユーがそういうなら、何よりあなたがそういうなら、一肌脱ごうじゃないか」という関係性を実現することです。ここはまさに人間力の勝負です。

そして第2に取り組んでいるのが、「生産拠点の拡大」です。ファーストリテイリンググループにとって、中国は今も変わらず生産の一大拠点ですが、人件費が高騰しており、低価格の商品を供給するのが難しくなると考えられます。中国以外の国へサプライチェーンを拡大していくことを推し進めています。

「お客様の期待を超え、WAO!を生み出す」

第3の取り組みは、「新たな素材調達先の開拓」です。これは第2の「生産拠点の拡大」と同時並行で進めています。「どこで縫うか」だけでなく、「どこの素材を使うか」も極めて重要です。

今後は「縫製」と「生地」の組み合わせを、いかに戦略的かつグローバルに追求していくかがポイントです。世界に進出するということは、世界に供給網を張り巡らせることと同義であることからも、私たち生産部の真価が問われているのです。

そして第4の取り組みは、「サステナビリティ(持続可能性)」の追求です。この言葉は、まさに時代のキーワードであり、世界共通です。「ジーユーの商品は安くて品質もいいけど、工場の生産環境、労働環境は劣悪だよね」という状況では、お客様に信頼されません。

私たちはパートナーである工場に対して、環境基準や労働基準にまで踏み込んで、パートナーシップを築き上げてきました。それはなぜかと言えば、サプライヤーもまた、私たちの大切なチームメイトだからです。

ひとつの商品を生み出すためには、価格を設定し、品質を定め、素材を選び、デザインを決め、工場を選定し、サンプルを作り、それを何度も検討しながら、工場発注となります。マーチャンダイザー、デザイナー、サプライヤー、そして生産部とか「四位一体」になって取り組むことが必須であり、このとき生産部が主体となってサプライヤーによりよい環境を提供し、サプライヤーがそれに応える形で優れた仕事をしてくれていることが、競合他社と比較した際のジーユーの差別化、競争優位となっています。

私はこの「サステナブル」な取り組みを、綺麗事ではなく差別化要因としてこれからもとことん磨き上げていくことで、「期日通りに期待を超える商品を作る=お客様のWAO!を生み出す」ことを、本気で目指していきたいと思っています。

私たち生産部がサプライヤーとジーユーの「Win-Winの輪」「笑顔の輪」をグローバルに張り巡らすことができたとき、ジーユーは世界中の人々の生活や暮らしだけでなく、世界そのものをよりよい方向へと変えることができる。

目指すは、競合他社からも「ジーユーに生産を頼みたい」と言われるレベルの世界最高の生産プラットフォーム。

ジーユーが掲げるブランドメッセージ「YOUR FREEDOM」とは、ファッションのライフウエアを提供することで、世界中の人々の生活・暮らしを変えることだと私は考えています。そのためには、どこよりも低価格、安心品質、マストトレンドファッションを組み合わせた「驚き=WAO!」を提供価値として追求することが不可欠です。

とはいえ、この3つの要素はときに矛盾をはらみ、課題解決を難しくします。価格を下げ、品質を上げることは、これ自体が矛盾していますし、それを追求するほどにサステナビリティとも矛盾してきます。しかし、よくよく考察すれば、短期的には工場の赤字となっても、長期的には黒字にできたというビジネスモデルは数多ありますし、繊維工場は機械工場と比べると自動化も遅れ、改善の余地が多分に残されていることに気づきます。

大切なことは、生産部員とサプライヤー工場がチーム一丸となってチャレンジすること。ジーユーの夢、価値観、世界観をサプライヤーにも共有し、共感を得て、一緒に世界一になると信じてもらう、感情移入してもらう。理屈だけでなく、気持ちでもつながった真のパートナーシップがあれば、どんな困難にも立ち向かえるはずです。

私には、世界一の生産プラットフォームのイメージができています。それはどういうものかと言えば、グローバルに供給網を張り巡らし、各国の市場のニーズやトレンドに合わせ、臨機応変に工場とのマッチングができるというものであり、競合他社からも「ジーユーに生産を頼みたい」と言わしめるほどの生産プラットフォームです。これは決して「夢」ではなく、それを「現実」とするくらいでなければ世界一の供給はなし得ませんし、世界一の供給なくして、世界一の企業にはなれないと考えています。

「明るさ」こそが、活力に満ちたチームワークを生み出す。

私は今ほど、サプライチェーン・マネジメントの奥深さ、影響力の大きさを、感じたことはありません。日本市場だけで勝負するのであれば、地理的なことを考えても、引き続き中国を中心に生産拠点を構えていけばいいかもしれません。でも、私たちが目指しているのは世界です。いずれヨーロッパにも供給することを考えれば、アフリカも生産拠点の候補となりえますし、同様に北アメリカに供給することを考えれば、中南米も候補となりえます。

ジーユーがグローバルに展開すればするほど、サプライチェーンもグローバル展開が必要不可欠であり、ジーユーの生産部は従来にも増して、社内外から多くの期待が寄せられています。それだけに私も、人材育成に力を注ぐとともに、「世界一のプロ集団」を目指し、人材確保に注力しています。

ここで求める資質、素養をいくつか挙げるとすれば、「チャレンジ精神」「バランス感覚」「スピーディな意思決定」「チームワーク」です。モノづくりの品質やコスト構造といった専門知識も当然、身に付けなければなりませんが、それは入社後でもキャッチアップできます。そう考えると、何より大切なのは「明るさ」かもしれません。

生産部の仕事において、もっとも重要なのは工場を経営する経営者とのコミュニケーション。「強固なパートナーシップの構築」も、このコミュニケーションの積み重ねであり、どんなときも「明るさ」を忘れず、誰に対しても分け隔てなく笑顔で接することができる人は、明るく、活力に満ちたチームワークを生み出すことができます。

ファッションのライフウエアを世界に提供することと表裏一体で、私たち生産部がサプライヤーとジーユーの「Win-Winの輪」「笑顔の輪」をグローバルに張り巡らすことができたとき、ジーユーは世界中の人々の生活や暮らしだけでなく、世界そのものをよりよい方向へと変えることができると私たちは固く信じています。そしてその信念が、そのまま現在の生産部の大きなモチベーションとなっているのです。