最終更新日: 2011.01.31
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これまでにないソーシャルビジネスの推進に向けて
グローバル化が加速するこの時代において、自社の活動が世界にもたらす影響を企業はしっかりと認識しなければならないと考えます。発展途上国は、多国籍企業の活動の影響を特に受けています。そのような状況下、ソーシャルビジネスは、継続的そして永続的に社会に貢献するための手段として非常に有効です。
そもそもソーシャルビジネスは、利益最大化を目指す一般的な企業とは異なる目的に向かって進むものです。今の経済の仕組みは、「人は富を蓄えることにのみ興味・関心を持つ」という一面的な見方の前提の上に成り立っています。しかし、現実は必ずしもそうではありません。利潤に対する欲求の他に、社会や家族の中での役割を持ち、また自身の精神面の充実を求めるなど、人生とは実に多面的なものです。
ソーシャルビジネスは、持続可能な方法で貧困層が抱える課題に取り組み、資本主義経済の欠陥を補う役割を果たします。企業が収益の一部を社会貢献に投じ、社会的責任を果たすことは世界的にも知られてきています。なかでもソーシャルビジネスにその資金を投じることで、ビジネスのノウハウと社会的課題の解決への意欲を融合し、ビジネスを通じてさまざまな社会的課題に取り組むことができるのです。これまでのCSRは資金を寄付金として提供するという形態をとってきましたが、ソーシャルビジネスでは、得られた利益はそのソーシャルビジネスに還元され、そして新たなソーシャルビジネスの資金となります。要するに、ソーシャルビジネスでは、1ドルの価値が何倍にもなるのです。
今回、ファーストリテイリングとパートナーシップを組んで推進するソーシャルビジネスは、これまでにないまったく新しいものです。グラミンユニクロは、ソーシャルビジネスの理想とユニクロの専門的なノウハウを融合させ、貧困や衛生、教育の欠如等、社会に蔓延する問題に取り組んでいきます。ファーストリテイリングはグラミン銀行と初めて覚書を交わした日本企業です。どんなビジネスでも始めるときは課題や壁はつきものですが、他の企業も後に続くよう、どんな困難にも立ち向かっていきましょう。

ムハマド・ユヌス氏
経済学者。マイクロクレジットの創始者でもある。2006年には貧困層の経済的・社会的基盤の構築に対する貢献でグラミン銀行とともにノーベル平和賞を受賞