最終更新日: 2010.02.19
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社会にとって価値ある会社であるために

株式会社ファーストリテイリング
代表取締役会長兼社長
柳井 正
ますます力を増す世界企業
現在の社会では世界的な企業の影響力はますます強くなってきています。社会を変えるのは国よりもむしろ企業であるケースが、今後さらに増えていくでしょう。
社会を変える力を持つことは、すなわち、大きな責任が伴うことを意味します。影響力のある者は強い責任感を持たなければなりません。自分たちの会社は何のために存在し、いかに社会に貢献できるかを考える。逆にお客様の立場からすれば、社会にとってプラスになっていない企業からは商品を買いたくないと考えるでしょう。社会にとってプラスになっているかどうかがその企業の価値を決める。そういう時代になったことを経営者はもちろん、全従業員が厳しく自覚しなくてはなりません。
私たちファーストリテイリンググループは「グローバルワン 全員経営」を掲げ、その実行に全力を挙げています。それは、グループ全社が一つの会社のように、世界中で最もよい方法で経営していく。グループの全従業員が、経営者の視点で日々の業務に取り組み、常に仕事を進化させていくことを意味しています。当然ながらCSR(企業の社会的責任)は経営者だけの問題ではありません。店舗で1枚1枚の商品を販売している全ての従業員、パートナー工場で1枚1枚の服を縫っている全ての従業員がそのことに気づき、常に自らの責任を意識しながら仕事をする。そうした姿勢を要求し、実現していきます。
仕事は全て社会から見られている
私たちは年間約5億着の服を生産し、販売していますが、お客様にとってはお買い上げ頂いた1点1点の商品が全てです。私たちは全ての商品を自ら企画し、生産や物流のプロセスに関与し、自らの店舗で販売しています。全ての商品に関して、どの商品を、誰が、いつ、どこで、どんな方法で生産し、販売しているのか、確実に把握しています。
しかし残念ながら、グループ全体で2008年は2件、2009年に入って1件、商品の自主回収を行いました。こうした事態の発生を未然に防ぐことがもちろん最重要ですが、万一、商品の不具合や社内の不祥事が発生した場合、私たちは関連する全ての情報を速やかに公開します。私たちの仕事は社会から全て見られています。仮に単純なミスであったとしても、進んで公開する姿勢がなければ、ミスでは済まされません。自らの仕事の是非を判断するのは、自分ではなくお客様や社会です。そのことを常に意識しつつ業務に取り組むことが不可欠です。
「個の尊重、会社と個人の成長」はファーストリテイリンググループ 企業理念 FAST RETAILING WAY(FR WAY)の重要なValueの一つです。社会からの期待に応えるためには全ての従業員が成長していかなくてはなりません。個人の成長エネルギーの集合体が企業です。自らが「成長しよう」という強い意思を持ち、お客様に価値のある商品やサービスを提供するという理念の実現のために行動する従業員に対して、私たちは世界のどの企業よりも魅力的な機会を提供し、成長のための支援を惜しみません。
環境問題に対する取組みも重要です。FR WAYに掲げる行動規範「高い倫理観を持った地球市民として行動します」に基づき、日々の事業の中で、できる限り環境に負荷を与えない仕組みを構築します。2020年までに1990年比で25%の温室効果ガスを削減するという日本政府の提案が世界的に高く評価されたように、グローバル社会の意識は大きく変わりつつあります。世界中で活動する企業として、環境の問題に無関心では許されません。これまでも私たちは店舗での省エネ・省資源の推進、工場出荷時の梱包資材の削減、効率的な物流体制の構築などに努力していますが、今後は社内にプロジェクトチームを立ち上げ、さらに力を入れて取り組みます。また、すでに実施している全商品リサイクル活動も、さらに大幅に規模を拡大し、推進していきます。
企業姿勢を買って頂く
「会社」がある前に「社会」がある。これが私たちの基本的な考え方です。社会にとって価値があるものとは何か。それを考えて経営しない限り、企業の成長はあり得ません。服を買って頂くと同時に私たちの考え方を買って頂く。私たちはこういう考え方で事業をやっています。できたら賛同してください。ぜひ一緒にやりませんか—。このように私たちのほうから発信していかなければなりません。そうしてFR WAYにある「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」を実現する。それが私たちの使命であると考えています。
今後とも変わらぬご支援・ご助力をお願いいたします。